目次
1. 脳みそじゃなかった!「かにみそ」の正体とは

独特の風味と色、そして味わいが通を唸らせるかにみそ。かにの中でもかなりインパクトのある部位である。甲羅の中に入っていることもあり、脳みそと考えられがちだが答えはNOだ。
かにみその正体は中腸腺と呼ばれる内臓のひとつ。人間でいうところ肝臓と膵臓の機能を併せ持った臓器である。かににとっては、栄養を分解吸収し貯蔵する臓器ということになる。よって栄養が豊富で旨み成分が多く、珍味とされている部位なのだ。
ひとくちにかにみそといってもかにの種類によって、味わいや色が異なるといわれている。ズワイガニは緑がかった色、毛蟹は黄色がかった色だ。タラバガニはかにみそがあまり流通していない。食べることはできるそうだが、水分が多く、固まらず、身の部分に流れ出してしまうという。臭みの原因にもなりかねないため、ほとんど食べることはない。
2. 正体が脳みそではないのに「かにみそ」と呼ばれる理由

ここで問題になるのが、脳みそではないのになぜ「かにみそ」と呼ばれているのかということ。内臓なのであれば「キモ」と呼ばれるほうが適切であろう。
語源については諸説あるが、見た目が味噌に似ていたからというものが有力だ。確かに茶色がかった色合いは味噌に似ていないこともない。
3. 回転寿司の「かにみそ」の正体は?

回転寿司や居酒屋でかにみそを注文することもあるだろう。これらは多くの場合、加工品である。かにみそであることは間違いないが、茹でて食べるものよりも濃厚で舌触りも若干異なる。より凝縮した旨みを楽しめることから、パスタやカナッペなどにして食べることもできる。
前述の通り、かにみそは内臓なので非常に劣化が早い。このため、水揚げ後いかに早く加工するかが美味しさの鍵を握ることになる。かにはさまざまな加工品になることも多く、まるごと出荷されるものは、実はさほど多くないという。かにみその製造に使うのは甲羅。中から内臓を取り出し、悪いものがないか確認したのち、炊き上げと呼ばれる工程を経て、冷やして充填、または瓶詰めにされる。
この炊き上げは熟練の技が必要となるもので、温度はもちろん、時間や混ぜ具合によって味わいに大きな違いが出るらしい。
結論
かにみそは、かにの脳みそではなく、内臓であることがわかった。見た目の色がみそににていることから、この名が付き、世の中に浸透したと考えられている。年末年始、かにみそをちびちびやりながら日本酒を飲む...そんな大人の楽しみ方をしてみるのもいいかもしれない。
監修管理栄養士:黒沼祐美
経歴:女子栄養大学栄養学部を卒業後、管理栄養士、健康運動指導士資格を取得。企業給食管理、食品メーカーでの商品開発、医療機関での栄養指導、健保組合での特定保健指導などを経験。その後、食文化や料理技術を学ぶためイタリアにて1年間料理留学を経験し、2012年より在住。これまでの経験を活かし、現在はオンラインでの特定保健指導や食・栄養関係の記事監修などを行う。