- 閉経女性の血中のβ‐クリプトキサンチン濃度が、骨粗しょう症の発症リスクを下げる
- 喫煙者のメタボリックシンドロームリスクを下げる
- アルコール性肝障害に対し、防御的な働きをする
- 動脈硬化の予防に役立つ
- インスリンの抵抗性リスクを下げる(糖尿病の発症や悪化を防ぐ)
- ※1、7、8出典:農林水産省 https://www.maff.go.jp/
- ※2出典:徳島県医師会 柑皮症 https://www.tokushima.med.or.jp/kenmin/doctorcolumn/pc/1426-830
- ※3、9出典:公益財団法人長寿科学振興財団 健康長寿ネット https://www.tyojyu.or.jp/
- ※4出典:文部科学省「日本食品標準成分表2020年版(八訂)」果実類/(かんきつ類)/うんしゅうみかん/砂じょう/普通/生 https://fooddb.mext.go.jp/details/details.pl?ITEM_NO=7_07029_7
- ※5出典:厚生労働省 e-ヘルスネット 果物 https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/food/e-01-003.html
- ※6出典:糖尿病 52 巻 4 号 (2009)「みかんの大量摂取を契機にケトーシスで発症した2 型糖尿病の 1 例」 https://www.jstage.jst.go.jp/article/tonyobyo/52/4/52_4_301/_pdf
1. みかんの食べすぎによる影響
みかんを食べすぎると起こりやすい症状について、代表的なものを3つ紹介する。
肌が黄色くなる
よく見られるのが、肌の色が黄色っぽくなる症状だ。これは、みかんに含まれるカロテノイドという色素により、脂肪が黄色く染まることで起こるもので、柑皮症という。黄疸とは異なり、カロテノイドを多く含む食品をたくさん摂ると出る症状で、病気ではない。肌が黄色くなっているのに気付いたら摂取を控えることで、自然に落ち着く。(※1、2)
下痢や腹痛
食物繊維には便通を促す作用があるが、過剰摂取すると下痢や腹痛を引き起こすことがある。食物繊維は一般的に不足しやすく積極的な摂取が推奨されているが、サプリメントなどで食物繊維を摂取する習慣があると、摂りすぎによる不調のリスクも考えられる。(※3)
みかんに含まれる食物繊維は、可食部100gあたり0.4gと決して多くはない(※4)。みかん1個あたりの可食部は約70gのため、5個食べても食物繊維の摂取量は約2gだ。何十個も食べない限りはリスクは低いだろう。
太る可能性
みかんには果糖やブドウ糖が含まれる(※4)。果糖はブドウ糖と異なり直接的に血糖値を上げるものではないが、摂りすぎると中性脂肪に合成され太る原因となる(※5)。また、みかんの食べすぎが糖尿病を引き起こした稀なケースも報告されている(※6)。果物は太りにくいというイメージがもたれがちだが、糖の摂りすぎは健康を害するため注意が必要だ。
2. みかんの食べすぎにならない量
みかんを食べすぎてしまったら翌日は控えるなど、食べすぎが習慣化しないようにすることが大切である。では、継続的にみかんを食べる場合は、どのくらいが適量なのだろうか。
1日の摂取目安
果物の1日あたりの摂取量は、200gが目安とされている(※7)。みかん何個分に該当するかは、大きさによっても異なる。一般的な中サイズ(1個あたりの可食部が70g)の場合、1日3個程度が適量といえるだろう。ほかの果物も食べる場合は、全体で200gになるよう調整しながら摂取量を決めよう。
3. みかんを食べすぎずに適量とるメリット
みかんには、健康効果の期待できるさまざまな成分が含まれている(※4、8)。代表的な栄養素や成分、それぞれの効果を見ていこう。
主な栄養素と効果
ビタミンC、食物繊維のほか、カロテノイド色素であるβークリプトキサンチン、フラボノイドの一種であるヘスペリジン(ビタミンP)について紹介する。
【ビタミンC(※9)】
コラーゲンを合成する成分で、毛細血管、歯、軟骨などの健康を維持する。また、メラニン色素の生成を抑制する働きにより日焼け予防に役立ち、ストレスや風邪への抵抗力も高める。さらに、抗酸化作用による疾病予防効果も期待できる。
【食物繊維(※3、8)】
過剰摂取すると下痢や腹痛の原因となるが、適量の摂取は便秘の予防や改善に役立ち、腸内環境を整える。また、みかんに含まれる水溶性食物繊維のペクチンは、食後血糖値の上昇を抑えたり、血中コレステロール値を下げたりする働きもする。
【β‐クリプトキサンチン(※10、11)】
温州みかんに多く含まれるカロテノイド色素で、健康効果についての研究が進められてきてた。実際の効果に関しては研究中の段階だが、下記のような可能性が示唆されている。
【ヘスペリジン(※8)】
ビタミンPとも呼ばれる成分で、みかんのじょうのう(袋)や筋に含まれる。フラボノイドの一種で、高血圧や動脈硬化の予防に効果が期待できる。
結論
みかんの食べすぎは柑皮症を起こしやすいが、病気ではないため心配する必要はない。ただし、食べすぎが慢性化すると、下痢や腹痛などの胃腸の不具合や、糖の過剰摂取による肥満の原因となる。日常的にみかんを食べる場合は、1日2~3個を目安にするとよい。美味しいだけでなく健康に役立つ成分も含まれるため、食べすぎない程度に食生活に取り入れよう。
(参考文献)
監修管理栄養士:佐々木倫美
経歴:管理栄養士取得後、介護施設、病院にて給食業務、栄養管理業務に携わる。現在病院にて主に透析患者への栄養指導に携わる傍ら、栄養・健康分野の記事監修を手掛ける。
監修医師:中澤 佑介先生
経歴:患者さんに近い立場で専門的医療を提供したいという想いから、泌尿器科クリニック(泌尿器科/内科)を開院。2023年5月 金沢駅前にメンズヘルスクリニックを開院予定。
【資格】金沢医科大学 医学博士、日本泌尿器科学会 泌尿器科専門医