目次
1. ナタデココの原料と名前の由来

ナタデココの原産地はフィリピンで、1953年に発祥し1973年以降に現在のような作り方がされるようになったという。日本でも1970年代に販売が開始されたが、約20年後の1990年代にファミレスのメニューに取り入れられたことやマスメディアの影響により、一大ブームとなった。ナタデココの原料について見ていこう。
ココナッツ
ナタデココの原料は、ココナッツである。ココナッツの果汁を主原料とし、酢酸菌の一種であるナタ菌(グルコノアセトバクター・キシリナス)などを使用して作られる。
名前の由来
ナタデココは、スペイン語のナタ(液体の表面上にある皮膜という意味)とココ(ココナッツという意味)を組み合わせてできた造語である。つまり、ココナッツの表面上にある皮膜という意味だ。
2. ナタデココを原料から作る方法

ココナッツの果汁にナタ菌などを加えると、ナタデココができる。液状の果汁から膜状の物質を作るには、発酵という過程が必要となる。つまり、ナタデココは発酵食品なのだ。では、どのような作り方でナタデココができるのだろうか。
発酵食品
ココナッツの果汁や脱脂したココナッツミルクにナタ菌を入れ、一定の温度と湿度において発酵させる。発酵がうまく進むと、液状のココナッツ果汁の上部に厚い膜ができる。市販品のナタデココは、この膜を2cm角程度のサイコロ状にカットしたものだ。詳細な作り方は公開されていないが、培養は10〜14日程度、果汁の殺菌や形成された膜の洗浄などの作業も行われていることが推察される(※1)。
国産のナタデココもある
国内で販売されるナタデココは、主にタイやフィリピンなどの自社工場での製造や輸入によるものだ。フジッコ株式会社では、唯一国内の工場にて国産ナタデココの製造を行い、ばらつきのあった食感の安定化に成功している(2022年12月現在、※2)。
3. ナタデココの美味しい食べ方

ナタデココは、ゼリーなどのデザートに含まれた商品が多い。ナタデココのみで販売されるものも、シロップ漬けにされた状態が基本だ。甘みがあるため、料理に使う場合はデザートの材料として用いるとよいだろう。
食べ方のアレンジ
ナタデココはそのままシロップ漬けの状態で食べても美味しいが、下記のようなアレンジもおすすめだ。
ナタデココヨーグルト
無糖のヨーグルトにナタデココと好みの量のシロップを加えて、混ぜながら食べる。好みでフルーツを加えても美味しい。
ナタデココあんみつ
シロップをきったナタデココとフルーツ缶詰を器に盛り、茹で小豆をトッピングする。好みでシロップをかけて食べよう。アイスを加えてもよい。寒天の代わりにナタデココを使うことで、食べごたえが出る。
ナタデココゼリー
市販のゼリーにナタデココをトッピングして食べてもよいし、ゼリーを手作りする際にナタデココを加えて固めてもよい。ゼリーのプルプルとした食感とナタデココの歯ごたえがマッチして美味しい。
ナタデココ入りフルーツポンチ
好みのフルーツとナタデココを混ぜ合わせ、サイダーやジュースを注いだもの。大きな器に盛り付けると、パーティーメニューにもぴったりなデザートになる。
結論
ナタデココの原料は、主にココナッツの果汁とナタ菌と呼ばれる酢酸菌である。果汁をナタ菌で発酵させてできた厚い膜を切り分け、シロップ漬けにしたものが一般的な市販品のナタデココだ。ココナッツの液体にできた膜という、正体がそのまま名前になっている点も面白い。ナタデココの原料がココナッツであることは有名だが、発酵食品ということはあまり知られていない。ブームは去ってしまったが、さまざまな食べ方で楽しんでほしい。
(参考文献)
※1出典:日本醸造協会誌(第73巻 第2号) フィリピンの発酵食品(栂野 豊明)p90
※2出典:フジッコ株式会社 ナタデココブームの立役者
監修管理栄養士:児玉智絢
経歴:女子栄養大学栄養学部を卒業後、管理栄養士免許を取得。食品メーカーの商品開発などを経験後、フリーランスとして栄養・健康分野の記事監修を中心に活動中。
監修医師:中澤 佑介先生
経歴:患者さんに近い立場で専門的医療を提供したいという想いから、泌尿器科クリニック(泌尿器科/内科)を開院。2023年5月 金沢駅前にメンズヘルスクリニックを開院予定。
【資格】金沢医科大学 医学博士、日本泌尿器科学会 泌尿器科専門医