1. チョコレートの食べ過ぎによる身体への影響
ミルクチョコレートやビターチョコレート、ホワイトチョコレートなど、いろいろな種類のあるチョコレートだが、食べ過ぎによる身体への影響とは?
肥満につながる可能性
パパッとつまんで気軽に食べやすく、小腹満たしにピッタリのチョコレートだが、美味しくてついつい食べ過ぎてしまうという人もいるだろう。チョコレートの原料であるカカオ豆は、抗酸化物質のカカオポリフェノールが含まれている。カカオポリフェノールは、さまざまな病気の元である「活性酵素」を抑える働きがある。また、動脈硬化を予防する働きがあり、身体によいとテレビや雑誌、新聞で話題だ。
身体によい影響を与える一方で、チョコレートのような食品は、炭水化物や脂質が多めで高エネルギーであることが多い。とくに高カカオチョコレートは一般的なチョコレートより約1.2~1.5倍の脂質を含むものがあり、食べ過ぎは肥満になる可能性があるため注意が必要だ(※1)。
カフェインの過剰摂取
ダイエットに効果があると期待されている高カカオチョコレートや、コーヒーにはカフェインが含まれている(※1)。カフェインを過剰摂取すると、中枢神経系の刺激の影響で心拍数の増加・めまい・興奮・下痢・吐き気・不眠症・不安・震えのような健康被害をもたらす可能性がある。このため食品から摂取するカフェインは、注意が必要である。
2. チョコレートの食べ過ぎにならない量
次にチョコレートの食べ過ぎにならない量を紹介しよう。
1日の摂取量
理想的な食事の間隔は、4~5時間程度と考えられている。しかし現実的には、昼食と夕食の間隔が6~7時間くらい開いてしまうという人もいるだろう。なかにはさらに間隔が開くという人もいるのでは?そんなときにおすすめなのが、軽めのおやつを食べることだ。おやつは間食ともいい、ネーミング通り食事と食事の間に食べるものだ。おやつを取り入れることで、夜遅く食べ過ぎるのを防ぐ働きがある(※2)。
チョコレートのようなおやつを食べるときに注意しておきたいのが、食べる時間を決めることと食べ過ぎに注意することだ。食事のリズムとバランスを意識して、おやつの量は一日に200kcal以内を目安にするとよい。チョコレートでたとえるなら、板チョコレート1/2枚が目安量だ。ちなみにチョコレート以外のおやつの目安量は、一日でポテトチップスが約1/2袋、アイスクリームが小1個、せんべいが3~4枚、ショートケーキが1/2個、どら焼きが1個だ(※2)。
3. チョコレートを食べ過ぎず適量とるメリット
最後にチョコレートを食べ過ぎず適量とるメリットを紹介しよう。
成分と健康効果
チョコレートの原料であるカカオに含まれているカカオポリフェノールは、抗酸化物質の働きによって心臓病のリスクを低減したり、動脈硬化を抑制したり、脂肪蓄積を抑えたりする働きがある。摂取することで脳機能を改善し、生活習慣病を予防することが研究結果として報告されている。また、ストレス抑制や便性改善、冷え症改善などに効果が期待できるという研究が進められている。
ある研究結果によると日本人女性がチョコレートを摂取すると、脳卒中の発症リスクが低下する可能性があるという。ポリフェノールを摂取すると一酸化窒素という物質が血管壁で作られる。一酸化窒素は血管を拡張する働きがあり、血圧低下に働くという。研究を集めて総合的に検討した結果、チョコレートを摂取すると、短期間で収縮期血圧の平均値を低下させることが示されている。さらに、インスリンを効きやすくする働きにより血糖値を改善する効果が期待できる。
結論
健康効果が期待できる栄養を含むチョコレートだが、食べ過ぎると肥満につながる可能性や、カフェインの過剰摂取に注意する必要がある。先述したように、一日に食べる量は1/2枚が目安だ。これからは食べ過ぎに注意して適量を食べてもらいたい。
(参考文献)
※1出典:独立行政法人 国民生活センター「高カカオをうたったチョコレート(結果報告)」
※2出典:農林水産省「おやつの意味を知りましょう」
監修管理栄養士:小林里穂
経歴:管理栄養士養成施設を卒業後、栄養士資格・管理栄養士資格・栄養教諭資格を取得。学校給食センターでの勤務時に小・中学生に食育を実施した経験を活かし、栄養分野の記事執筆・監修を中心に活動中。
監修医師:鈴木 幹啓先生
経歴:自治医科大学卒業後/三重県立総合医療センター/三重中央医療センター/三重病院/伊勢赤十字病院/紀南病院で勤務後、平成22年5月、新宮市に「すずきこどもクリニック」を開院。株式会社オンラインドクター.comのCEOも兼務