目次
1. 実は同じ植物!ふきのとうとふきの違いと関係

春の山菜として、天ぷらや苦みを活かした料理でいただくふきのとうと、煮物や添え物などに重宝するふき。見た目は違うけれど、実はひとつの同じ株から育った植物であることを知っているだろうか。つまり、ふきとふきのとうの違いは、同じ植物から育つ、別の部位であるということになる。ではなぜ、見た目に違いが生まれるのか、まずはそれぞれの特徴を紹介していこう。
ふきのとうとは
ふきの蕾(つぼみ)の部分をふきのとうと呼び、早春ごろ地下茎から顔をのぞかせる。淡いグリーンの苞(ほう)にくるまれ、気温が温かくなるとともに苞が開いて花を咲かせる。
ふきとは
ふきのとうが咲いたのちに伸び始めるふきは、地下茎と葉の接続部分にあたる葉柄(ようへい)と呼ばれる部位のことだ。葉先に行くほど円形で細く、幾つものすじを張り巡らせて、大きな葉を支える柄の役目を担っている。
2. ふきのとうは成長してふきになる?ならない?

ふきのとうはふきの蕾であるならば、そのままふきのとうが成長するとふきになるのか、という疑問がわいてこないだろうか。その答えを導くには、めずらしいふきの特性を知ることが重要となる。
実はふきには、同じ株から花と葉柄が別々に育つという特性がある。たとえるなら、同じ地下茎から別々に成長した兄弟のような関係だ。ふきのとうがそのままふきにならない理由は、兄役のふきのとうが先に蕾をのぞかせ、別の場所から追いかけるように弟役のふきが登場する。そのため、ふきのとうをそのまま成長させても、伸びきって茶色く枯れてしまうのだ。
3. ふきのとうとふきの旬の時期

ふきのとうとふき、季節も限定されるので成長も著しく、美味しい時期を見極めることも大切だ。ここでは、ふきのとうとふきの食べ頃について、詳しく紹介しよう。
ふきのとうの旬
一番のおすすめはふきのとうが採れる2~3月。地域によって異なるが、ちょうど雪解けの頃と覚えておこう。お店での選び方は、蕾が締まっているものを選ぶこと。苞が開ききったものは苦みが強く、食べにくいので注意が必要だ。おすすめの食べ方に、ほのかな苦みを楽しむ天ぷらなどがあげられる。
ふきの旬
ふきは4~6月ごろに旬を迎える。お店でふきの根元を持ってみてピンと張ったものが新鮮な証だ。葉が付いているものであれば色鮮やかな緑色をしており、葉柄の太すぎないものを選ぼう。アクが強いので板ずりしてから茹で、すじ取りの下処理を済ませてから煮物に使い、独特な香りと食感を楽しもう。
そのほかにも、近年ではハウス栽培も盛んに行われている。ふきのとうであれば年末ごろから、ふきであれば10月から翌年5月にかけて育てて出荷されるため、長く楽しむことができるようだ。
4. ふきのとうのふき味噌の作り方

ふきのとうといえば、忘れてはならない「ふき味噌」についても触れておこう。店頭や食事処で目にしたことはないだろうか。ごはんによく合うふき味噌の食材こそ、ふきのとうである。ふき味噌の作り方はシンプルで、細かく刻んだふきのとうを油で炒め、味噌と甘みの調味料を加えて仕上げる。ふきのとうの苦みも中和されて、ごはんと一緒に頬張りたくなる味だ。
注意する点は、ふきのとうはアクが強いため、刻んだらすぐに炒めること。あらかじめ調味料も合わせ、水分がなくなるまでしっかり炒めよう。保存容器で1週間ほど冷蔵保存できるので、より長く春の旬を楽しめるだろう。
結論
季節の移り変わり、大地の恵みは日本の四季が成せる最高の贈り物だ。お店に並んだふきのとうやふき、旬の食材をゆっくり自宅で楽しむのもそのときにしかできない大切な時間となる。少しの手間と愛情で、食卓を彩ってみてはいかがだろうか。