1. 世界の給食はこうして始まった
外食産業や加工食品の増加、両親の共働きなど家庭環境の影響もあり、栄養バランスの偏りの懸念がされている昨今。そんな中、子どもが正しい食習慣や食の知識を得られるために重要な役割をしているのが学校給食だ。ここでは世界の学校給食の始まりについて紹介しよう。
給食の始まり
給食の始まりは諸説あるが、18世紀にドイツのミュンヘンで貴族が貧しい子どもに食事を与えたのがきっかけといわれている。その後、貧困対策として世界中で給食が提供されるようになった。フランスでは19世紀にパリで提供され始め、救済対象の子どもには無料、それ以外の子どもには料金を徴収していたそうだ。
2. 世界の給食と献立の例
世界では、どのような給食が食べられているのか気になる人は多いだろう。ここでは、アメリカやフランスなどの給食の献立例や特徴を紹介しよう。
アメリカ
アメリカはメニューが固定の日本とは違い、自由に選ぶことができる。チキン・ポテト・ハンバーガーなどが人気だが、サラダも一緒に食べなければならない。飲み物の種類も多く、自動販売機が設置されているところもある。
フランス
フランスはコース料理のように、前菜・主菜・副菜・パン・デザートで構成されている。
仔牛肉やチーズ、フランスパンなど伝統的な食べ物が提供される。日本と違い教室ではなく、食堂で自由に席を選べる。
各国の特徴
フィンランドは世界で初めて無料で給食が実現された国だ。カフェテリアで好きなものを好きなだけ食べられる。肉料理やベジタリアン、ヴィーガンのメニューを選べる。また、学校に給食だけ食べに来ることも可能である。日本のように給食費の滞納の心配がなく、親の収入などに左右されずにしっかりと食べて育つことができるのだ。
3. 世界の給食と日本の給食
世界の給食の歴史や特徴などが分かったところで、今度は日本の給食について見ていこう。
日本の給食の始まり
日本の給食の始まりは、1889年に山形県鶴岡町(現在の鶴岡市)の大督寺の中に建てられた私立忠愛小学校で用意されたのが始まりといわれている。生活の苦しい子どもに昼食を無料で提供していたそうだ。そして、1923年に子どもの栄養改善のために国から推奨され、学校給食は少しずつ全国的に広がっていった。
時代ごとの給食の特徴
明治時代は、おにぎり・塩鮭・菜の漬物などで、大正時代には五色ごはんや栄養みそ汁などが給食で出されていた。昭和に入るとコッペパンや脱脂粉乳に加え、戦後は捕鯨が盛んだったため鯨肉を使ったメニューなどが人気があったようだ。昭和の中~後期には洋風化が進み、カレーやスパゲッティが給食で出されるようになった。平成から令和は、食育を意識し昔ながらの郷土料理や、地元で採れた野菜などを給食に使うところも多くある。
結論
給食の始まりは、18世紀にドイツのミュンヘンで貴族が貧しい子どもに食事を与えたのがきっかけといわれている。アメリカの給食は固定のメニューではなくポテト・ハンバーガーチキンなど自由に選べる。またフィンランドでは給食費の無償化が実現されており、無料で好きなものが好きなだけ食べられるのだ。この記事を読んで、世界の給食について学ぶ際の参考にしてみてはいかがだろうか。
監修管理栄養士:黒沼祐美
経歴:女子栄養大学栄養学部を卒業後、管理栄養士、健康運動指導士資格を取得。企業給食管理、食品メーカーでの商品開発、医療機関での栄養指導、健保組合での特定保健指導などを経験。その後、食文化や料理技術を学ぶためイタリアにて1年間料理留学を経験し、2012年より在住。これまでの経験を活かし、現在はオンラインでの特定保健指導や食・栄養関係の記事監修などを行う。