目次
- ※1出典:公益社団法人 日本缶詰ビン詰レトルト食品協会「今年の秋分の日は9月23日、何を食べる?(9月)」 https://www.jca-can.or.jp/useful/column/1240
1. ぼたもちとおはぎは実は同じもの!呼び名の違いは季節にあった

春の彼岸や秋の彼岸に食べる機会の多いぼたもちやおはぎだが、どちらも基本的にもち米やうるち米、小豆といった材料で作る同じものだ。では、なぜ2つの呼び方が存在するのだろうか。
ぼたもちを食べるのは春の彼岸
ぼたもちとは牡丹が咲く春の彼岸に食べるものだ。ぼたもちは漢字で書くと牡丹餅なので、ぼたん=ぼたもちという解釈であろう。
おはぎを食べるのは秋の彼岸
秋を代表する植物のハギの時期、秋の彼岸に食べるのがおはぎだ。ハギ(萩)=おはぎという解釈だろう。
ちなみに、ぼたもちとおはぎは大きさや形に微妙な違いがあり、ぼたもちは牡丹の花のように丸く大きく作るが、おはぎはハギの赤紫のかわいらしい花を真似て、小ぶりで長く丸めて作るのが一般的だ。
ぼたもちとおはぎ以外の呼び名もある
春と秋以外の季節に作る場合、ぼたもちやおはぎには別名がある。夏の別名は「夜船」。これは、おはぎを作るときには臼を使わず音がしないので周辺の住民達がおはぎをついているのに気付かないことから、夜は暗く船がいつ到着したのかわからない夜船にたとえたとされている。
一方、ぼたもちとおはぎの冬の別名は「北窓」だ。北側の窓からは月が見えない、つまり「月知らず」である。ぼたもちやおはぎも臼でつくことをしないことから、「"つき=月"知らず」に通ずると考えられたようだ。
2. 季節以外のぼたもちとおはぎの違い:米の種類

とはいえ、春の彼岸はぼたもち、秋の彼岸はおはぎ、と一概にいえるわけでもなく、その呼び分け方には地域差があるようだ。ぼたもちとおはぎは、もち米とうるち米の両方を使う場合もあるが、地域によってはもち米で作るのをぼたもち、うるち米で作るのをおはぎと呼ぶ場合もあるといわれている。
ちなみにおはぎに使われる小豆には良質なたんぱく質や鉄分、亜鉛、カリウムのようなミネラルが含まれている。さらに、食物繊維にかんしては水溶性食物繊維と不溶性食物繊維の両方が含まれている。食べることで便秘解消が期待できるのも嬉しいポイントだ(※1)。
3. 季節以外のぼたもちとおはぎの違い:餡の種類

ぼたもちとおはぎの違いのひとつが餡だ。秋の彼岸の頃は小豆の収穫期と重なるため、穫れたてでやわらかな小豆を粒あんにする。逆に春の彼岸には、寒い冬を越した小豆を使用する。これらの小豆は皮がかたく、そのまま使用すると食感が悪いので、小豆の皮を取り除いてから、こしあんにする。このような事情から、昔はぼたもちはこしあんで、おはぎは粒あんだったといわれている。
しかし、いまでは品種改良や技術の発達によって春でも皮付きの小豆を使用するようになり、粒あんとこしあんの違いがなくなってきたという。
とくに簡単に作りたいときは、缶詰の茹であずきを使用するのがおすすめだ。春分の日や秋分の日に、手作りのぼたもちを作ってみてはいかがだろうか。
結論
ぼたもちとおはぎの違いを解説した。平たくいうと、どちらも基本的には同じものだが、食べる時期や使用する米の種類、餡が異なる。昔に比べるとあまり違いがなくなってきているようだが、和菓子屋さんによっては、春と秋の彼岸の時期にこだわって提供されているところもある。
(参考文献)
監修管理栄養士:渡邉里英
経歴:大学で栄養学を学び、大学院卒業後、医学関連出版社に就職。管理栄養士としての知識と医学雑誌の編集経験をもとに、オリひと食料理記事の監修に至る。