目次
- ※1出典:日本食品標準成分表「肉類/<鳥肉類>/にわとり/[副品目]/すなぎも/生 - 01.一般成分表-無機質-ビタミン類」 https://fooddb.mext.go.jp/details/details.pl?ITEM_NO=11_11233_6
1. 砂肝と砂ずりの違い

実は、砂肝と砂ずりは同じ部位を指しているのだ。ではなぜ、砂肝と砂ずりと2つの呼び方があるのだろう。砂肝と砂ずりの呼び方の違いを見ていこう。
地域による呼び名の違い
主に東日本では砂肝、西日本では砂ずりと呼ばれている。砂肝と砂ずりは鶏の同じ部位を示しているにもかかわらず、呼び方に違いがあるのは地域性による方言だ。砂ずりは元々、九州地方や東海地方で親しまれた名称で、それが広く伝わったことで2つの呼び名が誕生したといわれている。
また、西日本の焼鳥屋や飲食店では、「ズリ」と呼ばれていることもある。自分の住む地域と違う地域では、メニューの表示も違うかもしれないので、機会があればチェックしてみてほしい。
2. 砂肝と砂ずりの部位

飲食店で砂肝や砂ずりのメニューを頼む人は多いかもしれない。しかし砂肝や砂ずりがどこの部位か理解している人は少ないのではないだろうか。
胃の一部
砂肝は鶏の砂嚢(さのう)という部位であり、砂肝という名前はここから由来している。鶏は食べ物と一緒に砂や石を飲み込むが、砂嚢はそれら砂や石を活用して食べ物をすり潰す器官なのだ。このことから、「砂」を溜め込むための「肝」で、砂肝と名前がついた。
砂嚢は、人間でいうところの「胃」の部分。しかし、断言するのは難しく胃の一部と説明するのが妥当だ。鶏には、人間の胃と同様に消化の働きをする「前胃」という器官が存在する。鶏は歯がないので食べ物を丸のみするのだが、次の段階で消化しやすいように砂嚢で食べ物をすり潰すのだ。
これを聞いて、普段口にする砂肝や砂ずりに砂や石が混ざっているのではと疑問に思う方もいるだろう。実際に鶏をさばいたときには砂が残っているのだが、基本的に店などではきちんと処理を施したものが提供されるので安心してほしい。
3. 砂肝と砂ずりの美味しい食べ方

砂肝や砂ずりのほとんどは筋肉でできているため、食感は独特だ。コリコリした食感が特徴的で、固そうな見た目とは違いサクッと噛み切れる。味は非常にあっさりしている印象だが、食べる人によっては多少のクセを感じるようだ。
また、砂肝や砂ずりは筋肉の塊でできているため筋胃と呼ばれ、脂肪が少なく高たんぱくで低カロリー (※1)。砂肝は100gあたり86kcalである。
そんな砂肝や砂ずりの美味しい食べ方を紹介しよう。
おすすめの食べ方
スーパーなどで購入した砂肝や砂ずりを美味しく調理するには、下処理が欠かせない。まずは砂肝の真ん中に包丁を入れ2つに分ける。分けたら、両側についている青い部分は食感が硬いのでそぎ落とそう。その後、縦に切り込みを入れて2等分したら下処理のできあがりだ。
砂肝や砂ずりは大きさや調理法によってさまざまな食感が楽しめる。砂肝をシンプルに楽しむなら、焼き鳥がおすすめだ。塩を振った砂肝を魚焼きグリルで両面3分半ずつ焼いたら、コリコリ食感がたまらない焼き鳥が完成する。
次に紹介するのは、砂肝のネギ塩レモン炒めだ。まずは下処理済みの砂肝をお湯でサッと茹でる。ごま油を熱したフライパンで砂肝を火が通るまで炒めたら、ネギを加えてサッと混ぜ合わせる。塩コショウ、酒で味付けしたらお好みでレモン汁をかけていただこう。お酒にもよく合うのでおつまみにも最適だ。
もっとガッツリ食べたいなら、唐揚げもおすすめだ。砂肝で作れば、鶏もも肉とは一味違った唐揚げが楽しめるだろう。
結論
砂肝と砂ずりの違いは、地域による呼び方の違いだった。砂嚢と呼ばれる部位のことで、胃の一部を指す。ほとんどが筋肉でできているため、高たんぱく低カロリーだ。コリコリした食感が特徴的で、意外にもあっさり食べられる砂肝や砂ずりを、ぜひ楽しんでほしい。
(参考文献)
監修管理栄養士:渡邉里英
経歴:大学で栄養学を学び、大学院卒業後、医学関連出版社に就職。管理栄養士としての知識と医学雑誌の編集経験をもとに、オリひと食料理記事の監修に至る。