目次
1. おかきとせんべいの材料の違い

おかきとせんべいは古くから日本で食べられているおやつである。パリッとした食感やじわっと馴じみのある醤油味は子どもからお年寄りまで好まれ、どことなく懐かしさも感じられる。おかきとせんべいの違いは作り方にあるように見えるが、実はそうではない。おかきとせんべいの違いについて知るために、まずそれぞれの材料をチェックしてみよう。
使う米が違う
おかきとせんべいを作る際に用いられる材料はどちらも米だ。おかきは粘り気の多い「もち米」を使用するのに対し、せんべいは粘り気の少ない「うるち米」を使うという違いがある。たとえるならおかきを「おこわ」、せんべいを「白米」とイメージするとわかりやすいかもしれない。
もち米を使用しているおかきは、火を通した際に膨らむためせんべいよりもフワッと柔らかい食感に仕上がる。一方せんべいは、膨らみにくく薄く平べったいまま焼きあがることが特徴だ。
2. おかきとせんべいの味の違い

おかきとせんべいは見た目や材料に使う米の種類だけでなく、それぞれに味の違いもある。味については、関西と関東という地域性がとても深く関係している。なぜおかきとせんべいの味の違いに関西と関東が関わってくるのか、詳しく説明しよう。
味付けの違い
おかきの材料であるもち米の生産地は関西や九州に多く、おかきも関西を中心に広まってきた。関西には出汁の文化があり、普段の料理にも出汁を多く使うことで知られている。うどんやそばの汁の味付けが、関西と関東では違うというとわかりやすいだろう。関西を中心に広まったおかきの味付けには醤油ベースに昆布やかつお、砂糖やみりんを混ぜたタレを用いるため、甘辛い味になる。
一方、うるち米を材料とするせんべいは、草加せんべいを代表に関東の食文化として広がってきた。醤油の生産量日本一の千葉県があることもあり、タレはシンプルに醤油のみを使った味付けとしているところが多いのが特徴だ。
3. おかきとせんべいの由来の違い

最後は、おかきとせんべいの由来の違いについても触れてみよう。
おかきの由来
おかきは、お正月に供えられた鏡餅を槌(つち)で欠き割って、焼いたり揚げたりして食べたことから始まった。昔はどの家庭でも作られており、いわゆる庶民の味として親しまれてきた。「おかき」という名前の由来は、室町時代の女房ことばで「欠いた餅」=「おかきもち」=「おかき」と変化し、呼ばれるようになった。
せんべいの由来
せんべいの発祥は諸説あるようだが、現在のお菓子として親しまれるせんべいとなったのは江戸時代とされている。団子屋を営んでいた、おせんという年寄りの売り子が、売れ残った団子をどうしようか悩んでいたときに旅人から助言をもらい、団子を平たく薄くして焼いたことが始まりといわれている。「せんべい」とはおせんさんの名前にちなんで呼ばれるようになったという説がよく聞かれる由来だ。
結論
おかきの材料がもち米なのに対し、せんべいはうるち米を使うという大きな違いがあることがわかった。米の種類によって仕上がりの見た目も変わり、食感にも違いが出てくる。また、出汁を日常的によく使う関西と味付けの濃いイメージの関東という違いから、おかきとせんべいの味にも影響が出ている。家族や知人と一緒におかきやせんべいを食べる機会があれば、話のネタとしてぜひ披露してみてほしい。
監修管理栄養士:渡邉里英
経歴:大学で栄養学を学び、大学院卒業後、医学関連出版社に就職。管理栄養士としての知識と医学雑誌の編集経験をもとに、オリひと食料理記事の監修に至る。