このサイトは、画面を 
縦にしてご覧ください。
発酵

発酵と腐敗の違いと熟成!食品による防腐効果と美味しさを解説

投稿者:オリーブオイルをひとまわし編集部

鉛筆アイコン 2023年4月15日

古くから私たちの生活の身近にある発酵食品。納豆などの発酵食品ブームが続いているが、発酵と腐敗の違いを詳しく説明できる人は少ないのではないだろうか。ここでは、理解しているようで知らない「発酵」「腐敗」「熟成」の違いについて解説していく。

  

1. 発酵と腐敗の違い

みそ
たとえば、納豆はどうだろうか。最初から腐っていると耳にするが、正確には発酵しているといえる。まずは、発酵と腐敗の違いについて見ていこう。

有用か有害か

発酵と腐敗の違いを一言で表すなら、人間にとって有用か有害かどうかである。
発酵とは、微生物の働きにより人間に有益な物質を作ることだ。発酵させた食品は、腐りにくい、栄養価がアップする、旨み成分や風味が増すといったよい変化が起きる。
一方腐敗とは、微生物の働きにより人間に有害な物質が作られることだ。
発酵と腐敗は、どちらも微生物による物質の変化であるが、厳密な区別はない。
したがって発酵と腐敗は、人間の勝手な都合によって分けられているといえるだろう。

2. 発酵食品と腐敗防止

塩辛
食品を発酵させることで保存がきくようになるというだけではなく、栄養の吸収率アップや美味しくなるといった効果がある。発酵と腐敗防止について具体的な例を見ていこう。

くさやの特徴

くさやは干物の一種であり、魚の内臓を取り除き「くさや液」に10時間以上漬けて乾燥させて作る。強烈なにおいが特徴だが、そのにおいの原因はくさや液にある。同じ塩水に繰り返し漬けたことで魚の成分などが溶け出し、微生物の働きにより発酵が進んだのがくさや液なのだ。また発酵したくさや液に魚を漬けることで魚が腐りにくくなり、保存がきくようになったといわれる。(※1)

塩辛の特徴

塩辛は、腐りやすいイカを保存するために工夫された発酵食品の一つだ。発酵は微生物によるものだが、塩辛はイカの酵素によってタンパク質がアミノ酸に変化したものである。通常、タンパク質からアミノ酸へ変化するには時間がかかるため、有害な微生物が増えて腐ってしまう。そこで塩を加えることで、微生物の繁殖を抑えつつできあがったものが塩辛なのだ。(※2)

ふなずしの特徴

ふなずしは、「なれずし」の一種だ。「なれ」とは「熟成した」という意味で、炊いた米で魚を乳酸発酵させた食べ物だ。
琵琶湖で獲れるフナなどの腐敗しやすい魚を長期保存するための保存方法として伝承されている。魚をまるごと漬け込むことで発生した乳酸により、骨まで柔らかくなり食べられるのが特徴だ。また発酵により増えた乳酸菌は、整腸作用があり栄養価も高い。(※3)
私たちが知っている寿司は酢飯を使用しているが、なれずしは乳酸発酵によって酸味が生まれたものだ。

3. 発酵と熟成

みそ
「熟成」と聞けば、お肉やチーズ、お酒など美味しいものをイメージするのではないだろうか?熟成とは、発酵が終わったあとに「食品の貯蔵により美味しい状態になること」である。発酵とは違い、微生物の働きではなくその食品が元々持っている酵素の力によるものだ。熟成させた食品は、なぜ美味しいと感じるのか説明していく。

味噌の熟成

味噌は、煮た大豆に塩と麹を加えて発酵、熟成させたものである。発酵過程で分解されたアミノ酸と糖が反応して旨みや香りが変化していく。(※2)
日本各地にさまざまな味噌があるが、これは熟成中に気温や湿度の影響で変化が起こるためだ。また熟成期間によって色や風味が変わるため、多様な味噌が作られる。

肉の熟成

肉は熟成が進むことで柔らかくなる。これは、肉の中にあるカルシウムイオンや酵素によって保湿性が高まるためだ。また酵素の働きによりタンパク質が分解され、アミノ酸やペプチドが増加することで芳醇な香りが増し美味しいと感じるのだ。(※4)
ハムやソーセージなどの食肉製品を製造するために、一定期間塩漬けすることも熟成と呼ばれる。(※4)

結論

発酵と腐敗、熟成の違いは線引きが難しい。発酵と腐敗は微生物の働きによる変化で、身体にとってよい効果かあるか、または害があるかないかで分けられる。食品が元々持つ酵素によって人間の身体に有益である発酵が進み、食品が美味しくなることが熟成である。日本食には、味噌や醤油、納豆など古くから親しまれてきた発酵・熟成した食品がたくさん存在する。これからも、そんな発酵食品をぜひ楽しんで味わってほしい。
(参考文献)
※1出典:一般財団法人 東京水産振興会「強烈な香りの干物 "くさや" は美味い! - 水族館の飼育係と「食」との交わり(11)/新野 大 | 水産振興コラム | 東京水産振興会」
※2出典:特定非営利活動法人(NPO法人) うま味インフォメーションセンター「イカの塩辛 | 特定非営利活動法人 うま味インフォメーションセンター」
※3出典:農林水産省「ふなずし 滋賀県 | うちの郷土料理:農林水産省」
※4出典:日本食肉科学会「食肉用語の解説食肉の熟成」

監修管理栄養士:児玉智絢

経歴:女子栄養大学栄養学部を卒業後、管理栄養士免許を取得。食品メーカーの商品開発などを経験後、フリーランスとして栄養・健康分野の記事監修を中心に活動中。
インフォメーションマークアイコンオリひとを楽しむための注意事項はこちら
  • 更新日:

    2023年4月15日

この記事をシェアする      
  • Facebook
  • Twitter
  • Hatebu
  • Facebook
  • Twitter
  • LINE
  • Hatebu

人気記事一覧

急上昇
週間

新着記事一覧新着記事一覧