目次
1. チョコレートの語源

チョコレートの原料であるカカオは、紀元前に発見されたといわれており、古代メキシコでは「神様の食べ物」と呼ばれるほど高価なものであった。
16世紀はじめ頃は、カカオをそのまますり潰してドロドロの状態にし、とうもろこしやバニラ、スパイスなどを加えて飲み物として口にしていたそうだ。非常に高価なものであったカカオは、特権階級をもつ王族や戦士だけに許された特別な飲み物だったのである。この飲み物がチョコレートの起源となっているのだ。
語源の諸説
いまでは甘い食べ物というイメージが強いチョコレートだが、その語源はメキシコの言葉で「苦い水」という意味の「chocolatl(チョコラトル)」であるといわれている。
チョコレートの語源にはいくつかの説が存在するが、いずれもアステカ文明とマヤ文明の組み合わせであると考えられているようだ。現代の私たちが口にするチョコレートとは異なり、苦い飲み物であったことが語源から想像できるだろう。
2. チョコレートの歴史

カカオは現在のメキシコ南部を含む周辺、マヤ文明やアステカ文明が栄えた土地であるメソアメリカで発見された。語源にも関係するように、飲み物として嗜まれていたカカオだが、現代のチョコレートになるまでどのような歴史をたどってきたのだろうか。
メソアメリカからヨーロッパへ
高価な飲み物としてだけでなく、通貨や薬としても利用されていた記録のあるカカオと、ヨーロッパがつながる最初のきっかけとなったのは、クリストファー・コロンブスという探検家である。
航海に夢中だったコロンブスは実際に飲むことはなかったようだが、その後スペイン人であるフェルナン・コルテスによってヨーロッパへと渡ったのだ。しかし、カカオをすり潰した独特の飲み物はスペイン人の口には合わず、蜂蜜を入れることで甘いものへと進化する。さらに砂糖の普及が後押しし、砂糖を使用することで甘いチョコレートが誕生したのである。
その後イタリアからフランス、ベルギーへと広がり続け、1847年にイギリスの洋菓子職人・ジョセフ・フライが固形の食べ物として発明。当時すでにココアが開発されていたが、副産物として発生するカカオバターとカカオパウダーを混ぜることにより固形化することが発見されたのである。これが現代におけるチョコレートのはじまりだ。
3. チョコレートと日本の歴史

苦い飲み物という語源からかけ離れ、甘い食べ物となったチョコレートは、いつどのように日本に伝わったのだろうか。日本で気軽に食べられるようになったチョコレートの歴史をみていこう。
江戸時代に伝来
日本にチョコレートが上陸したのは江戸時代初期だといわれており、その土地は長崎である。寄合町諸事書上控帳に残されている記録には、「しょくらあと六つ」と記載されており、これはチョコレートのことであると考えられている。
当時、遊女の貰い品として使用されていたチョコレートは、明治時代に入ってから国内初となる販売が開始されたのだ。「猪古令糖」をはじめ、「貯古齢糖」「知古辣」など、当て字を用いた漢字表記が当時の名前である。
現在の株式会社東京風月堂が、商業として初めての加工製造・販売を行ったといわれている。その後、大正時代に入ると森永製菓や明治製菓が創業したことで本格的にチョコレートの大量生産がはじまり、全国的に広がったのである。
昭和時代になるとチョコレートを扱う企業が増え、一気に市場へ出回るようになり需要も拡大。それ以降もチョコレート菓子の開発は進み、現代では多くの人に愛される手頃で美味しい食べ物となったのだ。
結論
チョコレートは、語源となったカカオすり潰しの飲み物から、人気を誇るお菓子やスイーツへと進化した。神様の食べ物と呼ばれていた起源から現在に至るまで、チョコレートの文化にはさまざまな背景や歴史があったのだ。そんな歴史を感じながら食べるチョコレートには、ひとあじ違った美味しさがあるだろう。
監修管理栄養士:渡邉里英
経歴:大学で栄養学を学び、大学院卒業後、医学関連出版社に就職。管理栄養士としての知識と医学雑誌の編集経験をもとに、オリひと食料理記事の監修に至る。