目次
1. 塩麹の代用になるのは何?目的によって使い分けよう

塩麹とは、塩と麹、水を混ぜあわせ、発酵させた調味料のことである。その効果は大きく分けて2つ。1つは食材を漬け込むことで食材を柔らかくしてくれること。たとえば、肉を漬け込んでおくと適度な塩味が付くだけでなく、びっくりするほど柔らかくジューシーになる。ちなみにこれは塩麹にタンパク質を分解する酵素が存在しているためである。
もう1つは料理の旨みアップに貢献してくれること。塩麹ありとなしとでは、料理の美味しさに格段の差がつくため、一度使うとやめられない...そんな人も多いはず。一般的な塩麹は、麹の粒が残っているが、昨今ではより使いやすい液体塩麹もある。
食材を柔らかくしつつ、旨みアップを叶えてくれる調味料はそうそうない。塩麹だからこそといえるだろう。このため塩麹の代用品は、目的に合わせて選ぶといい。
2. 塩麹の代用品:食材を柔らかくする場合

まずは食材、主に肉や魚を柔らかくしてくれる効果に着目して、塩麹の代用品をチョイスしていこう。
ヨーグルト
ヨーグルトは肉のパサつきを抑える効果がある。肉や魚のpHは5.5~6程度だといわれており、何もしない状態では保水力が低く、どうしてもパサついてしまう。これを改善するのが酸性の食品である。酸性の食品に漬けて、pHを下げることでしっとりとした仕上がりになるのだ。酸性の食品のなかでもヨーグルトは塩麹に似た味わいになるといわれている。ちなみにヨーグルトも発酵食品だ。
酒粕
酒粕は日本酒作りの副産物とされるものである。塩麹同様、発酵食品で原材料もかなり似ている。このため、酒粕は塩麹の代用品にぴったりといえるだろう。酒粕にも塩麹同様、食材を柔らかくする効果が期待できる。
ただし、酒粕にはアルコールが含まれているので、しっかりとアルコール分を飛ばすよう加熱すること。
甘酒
見た目が似ている甘酒も、実は塩麹の代用品にぴったりの食品だ。甘酒は飲む点滴の異名をもつ食品で、こちらも発酵食品である。酒粕甘酒と麹甘酒どちらも代用品に使えるが、より塩麹に近い仕上がりを目指すならば後者を選ぶのが正解。甘酒に含まれる多くの酵素が肉や魚を柔らかくしてくれる。
ただし、甘酒には塩分があまり含まれていないので塩気を足してバランスを取る必要がある。
3. 塩麹の代用品:味付けに利用する場合

ここでは、塩麹を調味料として使ったレシピを作りたい!と思ったときに、活用できる代用品を探していこう。
塩と料理酒
塩麹はなんといっても料理に旨みと甘みを加えてくれるところが特徴だ。塩だけでは残念ながらこの効果を得ることはできない。少々旨みには欠けるものの家にある調味料のなかで代用するならば、日本酒がおすすめ。塩と日本酒を合わせることで塩だけでは得られないコクが生まれる。
塩麹に比べると塩は塩分が高いので、塩の使用量は塩麹の半分くらいに抑えるのがポイント。
味噌
味噌はどの家庭にも必ずあるといってもいいほど、日本人には馴染みの深い調味料だ。味噌も塩麹同様、発酵食品なので旨みを加えたり、引き出したりする力がある。ある意味、塩麹と同じ働きを持っているともいえるが、味わいとしてはまるで異なるので、その点を留意したうえで加えたい。
結論
塩麹は食材を柔らかくしたり、旨みを引き出したり加えたりすることができる現代の万能調味料である。塩麹を何かで代用するのはなかなか難しいが、目的に合わせて選ぶと失敗が少ない。とくに食材を柔らかくすることに特化するならば、ヨーグルト、酒粕、甘酒で代用が可能である。使いたいのに塩麹がない!という緊急事態を回避するときに活用してみてほしい。
監修管理栄養士:渡邉里英
経歴:大学で栄養学を学び、大学院卒業後、医学関連出版社に就職。管理栄養士としての知識と医学雑誌の編集経験をもとに、オリひと食料理記事の監修に至る。