目次
1. おせち料理の人気料理「数の子」の正体とは

数の子の最大の特徴といえば、プチプチ、ポリポリとした独特の食感を楽しめるところだ。一年を通して食べるというより、お正月におせち料理として食べる特別な一品というイメージを持っている人もいるだろう。そんな数の子の正体についてみていこう。
数の子の正体はニシンの卵
数の子はニシン目ニシン科に属する魚、ニシンの卵だ。諸説あるが一説では身欠きニシンを作るときに、身を二つに割いて干したため、二身(ニシン)という名が付いたという。春になると産卵のため、大群で沿岸へ押し寄せてきたので別名を春告げ魚という。天日干しや塩漬けとして加工・販売されており、一年を通して入手できるので、旬が分かりにくくなっているようだ。
数の子は日本で流通しているほとんどが、塩数の子と味付き数の子である。塩数の子は調理して味わうが、味付き数の子はネーミング通り、最初から味が付いていてすぐに食べられるのが特徴だ。塩数の子は塩水で塩抜きし、好みの調味料で味付けをして食べる。
ニシンの卵が数の子と呼ばれる理由
数の子の名前の由来だが、古くから北海道や東北ではニシンをカドやカドイワシなどと呼び、数の子はカドの子が変化したといわれている。
数の子をお正月に食べる理由
おせち料理に欠かせない数の子だが、卵の数が多いため子宝や子孫繁栄を願う縁起物としてめでたいと、古くからとり入れられてきたという。いまでは当たり前のように、おせちに入っている一品だが、正月料理として登場したのは江戸時代だ。享保の改革で倹約を進めた八代将軍・徳川吉宗の発案だといわれている。発案理由は正月くらいは貧富を問わずに、みんなで同じものを味わって年の初めを祝おうという想いから選ばれたという。
2. 子持ち昆布の卵の正体も数の子と同じ

子持ち昆布の卵の正体
数の子はもちろん、おせち料理に入れることの多い子持ち昆布だが、付いている卵の正体が気になるという人もいるのでは?子持ち昆布の特徴は昆布に卵がビッシリと付いており、昆布の厚さより卵のほうが分厚いところだ。昆布は卵を産まずに胞子で増えるが、付いている卵の正体は数の子と同じニシンの卵だ。
子持ち昆布はどうやってできる
子持ち昆布はどのようにして作られているのだろうか。答えは簡単で産卵期を迎えたニシンの近くに、昆布をセットすればOK。卵付きの子持ち昆布が、できあがるというわけだ。ほかに昆布がある入り江あたりに、ニシンを追い込んで産ませる方法もある。ただし浅い場所で行うと、ネバネバの中に海底の砂が入ることもあるという。人が食べるのには至らないため場所を工夫して選んで作っているようだ。
3. 安い数の子の正体はカラフトシシャモの卵

黄色いダイヤとも呼ばれる数の子だが、安いものは大きさや食感が似ているカペリンというカラフトシシャモの卵を代用していたことがある。カラフトシシャモの卵は天然物の数の子にある内部の膜がないのが特徴だ。ただし近年は太平洋産のみならず、大西洋の数の子が安定輸入されており、代用品の数の子はほとんどないという。
結論
おせち料理に欠かせない数の子の正体はニシンの卵であることを理解してもらえただろうか。紹介したように数の子が不足していた時期はカラフトシシャモの卵を代用していたようだが、近年は代用品はほとんどみかけない。今後は独特の食感を楽しめる数の子をニシンの卵だと意識して味わってみてはいかがだろうか。
監修管理栄養士:黒沼祐美
経歴:女子栄養大学栄養学部を卒業後、管理栄養士、健康運動指導士資格を取得。企業給食管理、食品メーカーでの商品開発、医療機関での栄養指導、健保組合での特定保健指導などを経験。その後、食文化や料理技術を学ぶためイタリアにて1年間料理留学を経験し、2012年より在住。これまでの経験を活かし、現在はオンラインでの特定保健指導や食・栄養関係の記事監修などを行う。