目次
1. シラスの正体

私たちがふだん食べているシラスとはいったい何の魚なのか。ここではシラスの正体について解説していこう。
稚魚の総称
シラスの正体とは、イワシやアユ、ウナギ、ニシンなどの稚魚だ。イワシといってもカタクチイワシ、ウルメイワシ、マイワシとさまざまな種類があるが、一般的にはカタクチイワシの稚魚が使われることが多い。カタクチイワシは、口を開けるときに下あごが目立つため「カタクチ」と名付けられた。カタクチイワシと同様に、カタクチイワシよりやや大きめのマイワシもシラスの原料となる。カタクチイワシとマイワシの生息地は、日本周辺・中国・朝鮮半島沿海・台湾・フィリピン(マイワシのみ)。卵からかえって1~2カ月経った2㎝ほどまでのものはシラスと呼ばれ、加工されている。
そこからさらに成長し3㎝程度になると、カエリと名前を変え、イワシ特有の色味や模様が付きはじめる。カエリがさらに成長して5㎝ほどになると、はれてイワシとなるのだ。
2. シラスの種類

シラスの正体がわかった。カタクチイワシは成魚の身だけ食べる場合と比べて、まるごと食べることでたんぱく質やカルシウム、ミネラルなどの栄養がより多く摂れるため、しらすは大人も子どもも積極的に摂取したい食材だ。
しかしシラスといってもさまざま種類があり、水分量によって呼び方が変わるのをご存じだろうか。ここからは、シラスの種類について詳しく解説していこう。
生シラス
生シラスは、その名の通り蒸したり干したりなどの加工をしていない生のままのシラスを指す。透き通った色をしており、水分量は100%だ。生シラスは、鮮度が急激に落ちるため、通常は水揚げした当日しか食べることができない。そのため天候不良などが原因で漁に出られない場合は、食べられないこともあり、希少価値が高い。
釜揚げシラス
釜揚げシラスは、水揚げされたばかりの新鮮なシラスを大きな窯を使って茹でた、水分量が90~80%程度のものをいう。グレーがかった白色で、ふわっとした食感が魅力だ。生シラスに比べて水分量が少ないため、賞味期限は冷蔵で3日前後。生シラスよりは日持ちするが、味が落ちるので早めに食べたいところだ。
シラス干し
釜揚げシラスを機械で乾燥させたり、天日干ししたりして水分量が70~60%になったものをシラス干しという。「太白チリメン」「中干しシラス」とも呼ばれている。ふわっとした食感が特徴の釜揚げシラスより、少し干したことで噛みごたえや旨みが増し、さらに日持ちもよくなる。
チリメン
チリメンジャコは、シラス干しをさらに乾燥させ、水分量を50%以下にしたもの。「上干チリメン」とも呼ばれている。色は濃いめの灰色や、黄色みがかって見えることもある。食感は乾燥しているため、硬めだ。時間をかけて干されているため、旨みが凝縮しており、栄養価も上昇している。冷蔵保存は1週間前後、冷凍なら1ヶ月前後保存が可能だ。
3. シラスの旬

シラスの正体と種類について解説してきた。前述したようにシラスは足の速い食べ物で、そのまま食べる場合も加工する場合も鮮度が命のため、当然のことながら特産地で食べたほうが美味しく食べることができる。ここからは、シラスがより美味しく食せる時期と産地について解説していこう。
産地と旬の時期
一般的なシラスはカタクチイワシやマイワシなどの稚魚であることが多く、その収穫時期は3~10月頃である。そのためシラスの旬は、3月から秋口までとされることが多い。また、地域により漁獲禁止期間もあるため、獲れる時期は産地によっても異なる。シラスの名産地とされるのは、関東ではおもに神奈川県、茨城県、中部では静岡県、関西地方では兵庫県、九州では大分県などが有名だ。12~3月の期間を禁漁とする地域が多いため、獲れたてを食べたい場合はその時期は避けたほうがいいだろう。
結論
シラスの正体と産地・旬について解説してきた。シラスとしておもに出回っているものは、カタクチイワシの稚魚であることが多い。また、水分量で呼び名や日持ち期間が変わってくる。新鮮なものを食したい場合は、地域によっては禁漁期間が変わるため、時期を確認し現地を訪れてみてはどうだろうか。またスーパーでシラスを見かけたら、ぜひ今回の豆知識を思い出してほしい。
監修管理栄養士:黒沼祐美
経歴:女子栄養大学栄養学部を卒業後、管理栄養士、健康運動指導士資格を取得。企業給食管理、食品メーカーでの商品開発、医療機関での栄養指導、健保組合での特定保健指導などを経験。その後、食文化や料理技術を学ぶためイタリアにて1年間料理留学を経験し、2012年より在住。これまでの経験を活かし、現在はオンラインでの特定保健指導や食・栄養関係の記事監修などを行う。