目次
1. 柏餅の葉っぱの正体とは?食べても大丈夫?

柏餅は5月の節句に供える和菓子であるが、その美味しさから年中食べることができる。楕円形のしんこ餅に餡が入った柏餅、葉っぱは脇役であると同時になくてはならないものである。柏餅の葉っぱの正体を見てみよう。
柏餅の葉っぱの正体はカシワの葉っぱ
柏餅の葉っぱは、その名の通りカシワの葉である。カシワは古代から食べ物を盛ったり蒸し焼きに使われたりしたことから「炊 (かし) く葉」と呼ばれていたという。
では、数ある植物のなかから、なぜカシワが選ばれて節句に使用されるようになったのか。カシワは夏に若葉が出て、同時に古い葉が落ちる。そのため、跡継ぎに困らずお家繁栄の祈念が込められていたとされている。柏餅は江戸時代から名物として、東海道筋などで売られていたという記録もあり、日本人には縁が深い和菓子なのである。
柏餅の葉っぱは香りが目的!食べても美味しくない
桜餅の場合は、桜の葉も一緒に食べることができる。では、柏餅はどうだろうか。柏餅に巻かれたカシワの葉は固く、苦味もあるため食用には向いていない。無理に食べても、餅やあんこの風味を損ねるだけである。カシワの葉はその香りと見た目を楽しんで、柏餅を美味しく食べるようにしよう。
2. 実は柏ではない?柏餅の葉っぱの本当の正体

柏餅の葉っぱは本来カシワであるべきだが、日本和食卓文化協会によると現在使われている柏餅の葉っぱは槲(カシワ)だという。前章で述べたように、カシワとはそもそも食べ物を盛った葉全般を指すため、柏餅の葉っぱもカシワである必要はないというのがその理由のようだ。
古代において皿がわりに使われた葉っぱには、カシワ以外にツバキやカキ、サクラなどがある。柏餅もそのコンセプトの延長上にあり、葉っぱはカシワに限定しないことになっている。柏餅を食べる際には、そんな古代のロマンに思いを馳せるのも楽しいかもしれない。
3. カシワ以外の柏餅の葉っぱの正体

柏餅の葉っぱはカシワに限らないというのであれば、実際にはどんな植物の葉が使われているのだろうか。カシワは関東では育ちやすいものの、関西では栽培に適さないといわれている。そのため関西の柏餅には、サルトリイバラや朴(ほう)の葉が使われている。サルトリイバラはサンキライやカタラなどの別名もあり、関西各地にこの葉っぱを使用したお菓子が存在する。島根県のかたら餅もそのひとつである。
結論
柏餅とは、食物を盛るために使った葉に包まれた餅の意であり、本来はカシワの葉が使われるものである。カシワの葉はよい香りはあるものの食用には向かないため、柏餅の葉は食べても美味しくない。関東ではカシワの葉っぱが使われているが、関西ではサルトリイバラが使われることもある。古くから日本で愛されてきた柏餅に思いを馳せつつ、目でも楽しみながら美味しく食べてみてほしい。
監修管理栄養士:渡邉里英
経歴:大学で栄養学を学び、大学院卒業後、医学関連出版社に就職。管理栄養士としての知識と医学雑誌の編集経験をもとに、オリひと食料理記事の監修に至る。