目次
1. 米に虫を発生させない正しい保存方法

米に虫がわかないようにするには、保存方法を工夫しよう。特別な対策が必要なわけではなく、使用する容器や保存場所を適切に選ぶだけでよい。では、どのように保存すればよいのだろうか。
上手な保存の仕方
米を虫から守るには、密閉容器に入れて低温で保存するのが基本である。虫の孵化や発育は温度が高いと促されてしまうため、低温を維持できる冷蔵庫に入れるのがおすすめだ。涼しい時期なら冷暗所での常温保存も可能だが、米袋に入れたままでは虫が袋を破って侵入してくる可能性がある。虫の侵入を防ぐには密閉容器に移す方法がベストだ。
【米の保存に適した密閉容器】
市販の一般的な米びつを使用してもよいが、ペットボトルでも代用できる。洗浄と乾燥を済ませたペットボトルに米を移せば、冷蔵庫のドアポケットや野菜室に立てて収納できて便利だ。また、冷蔵庫に入れると外から虫が侵入するリスクが低くなるため、ジッパー付き保存袋でもよいだろう。
2. 米にわく虫

一般家庭で米の保存中に発生しやすい虫は、コクゾウムシとメイガ類の2種類といわれる。どのような特徴を持つ虫なのか、詳しく見ていこう。
虫の特徴
【コクゾウムシ】
カブトムシを小さくしたような2~3mm程度の黒い虫。象の鼻のような長い口で米に卵を産みつける。卵の状態から1ヵ月ほどかけて成虫になる。ただし低温に弱く15℃以下の環境では発育も繁殖もできないため、低温保存が効果的だ。20℃以上の温暖な環境では活発に繁殖し、とくに夏場になると米のなかで発見されやすい。成虫が外から侵入することもある。
【メイガ類】
ガの仲間で、ノシメマダラメイガ(幼虫は1cmほどの乳白色をした芋虫)が代表的だ。コクゾウムシが卵から孵化して繁殖するケースが多いのに対し、メイガ類は外から侵入してくる虫だ。米びつの隙間や米袋に開いた穴から入る。幼虫はかじる力が強いため、自ら袋を食い破ることもできる。20℃以上で発生し、25℃以上で活発になる。
3. 米に虫が発生する環境

米を密閉容器に入れて冷蔵庫で保存することで、虫の発生を防げる。つまり、逆の方法で保存すると虫が発生しやすくなってしまうのだ。また、保存の仕方によっては虫の発生だけでなく味や鮮度が落ちるリスクも高まる。そこで、避けるべきNG保存方法についてもおさえておこう。
避けた方がいい保存方法
【購入時の米袋のままでの保存】
市販の米のパッケージ(袋)にはパンク防止のための小さな穴が開いている。そのままの状態で長期保存すると、虫の侵入のほか、乾燥や湿気の吸収、におい移りなどが起きやすくなる。
【高温多湿な環境での保存】
高温では虫が発生しやすく、米自体も傷みやすくなってしまう。また、多湿な環境はカビの発生につながる。キッチンのシンク下などは常に多湿なうえ、洗剤などのにおい移りも起こりやすい。隙間などから虫が侵入する場合もあるため、米の保管場所には向かない。
【冷凍保存】
凍らせると虫は発生しないが、米の水分が膨張することによりひび割れが起きてしまう。
【1ヵ月を大幅に超える保存】
米の適切な保存期間は、季節にもよるが1ヵ月程度が目安とされている。古くなると鮮度や品質が落ちてしまうため、長期間にわたる保存は避けよう。1ヵ月以内に食べきれる量をこまめに購入するとよい。
結論
米を購入時の袋のまま常温保存し続けると、虫の侵入や繁殖が起きるリスクが高まる。購入後は密閉容器に移し、冷蔵庫に入れるのが正しい保存方法だ。この方法は、虫の発生を防ぐだけでなく米の鮮度を保つ効果もある。米を虫から守りながら、最後まで美味しく食べきるためにも、ぜひ保存方法を見直そう。
調理師名:新江友基
経歴:調理学校を卒業と同時に調理師免許を取得。その後、カフェ、レストラン、居酒屋などさまざまな飲食店で調理業務やメニュー開発に携わる。現在は、過去の経験から得た知識を活かし、食に関する記事の監修を担当している。