2023年6月13日目次
1. 食べると悪夢を見るチーズ
食べると悪夢を見るチーズといわれているのは、スティルトンというブルーチーズだ。このチーズを食べてから眠ると、変な夢を見ると噂されてきた。噂に留まらず、実際にスティルトンを食べたら奇妙な夢を見るのかという実験も行われている。どのようなチーズなのか、特徴を見ていこう。
スティルトン
イギリス原産のブルーチーズで、ブルースティルトンという別名もある。青カビ模様と強い香りが特徴で、青カビ特有のクセと刺激を伴う。なめらかな口当たりとねっとりとした食感、強いコク、甘み、ピリッとした塩気を併せもち、濃厚さが特徴だ。日本では、イタリアのゴルゴンゾーラ、フランスのロックフォールとともに、世界3大ブルーチーズの一つとしても有名である。
青カビが生成されないホワイトスティルトンも生産されている。一般的なスティルトンと比較してクセが少なく、デザート等に用いられる希少なチーズだ。
厳しい基準
スティルトン（ブルースティルトン）は、非常に厳しい基準のもとで製造されている。イギリス中部の3州で生産された指定牛乳を低温殺菌して用い、圧縮せずに作らなければならない。伝統的な円筒形、表面の外皮など、完成したチーズの見た目にも条件が設けられている。
2. 食べると悪夢を見るチーズの食べ方
スティルトンを食べると、本当に悪夢を見るのだろうか。The British Cheese Board（英国チーズ委員会）が行った実験によると、食べたチーズの種類で見る夢が変わることや、スティルトンを食べた場合に奇妙な夢を見た人の割合が高かったことがわかっている（※）。では、どのような食べ方をすれば悪夢を見やすいのだろうか。
就寝前に食べる
前述の実験（※）によると、就寝30分前に20gのスティルトンを食べた場合、男性の75％と女性の85％が奇妙な夢を見たそうだ。そのため、朝や昼などではなく、夜眠りにつく前にスティルトンを食べると、悪夢を見る可能性は高いかもしれない。
そのまま食べてもよいが、クラッカーを添えて食べられることも多い。また、白ワインや赤ワインのおつまみとして食べれば、よりスティルトンの味が引き立つ。悪夢を見たくない場合は、朝食などで食べるのがおすすめだ。スティルトンはトマトとの相性もよいため、トマトサラダやトーストと組み合わせると食べやすい。
3. 食べると悪夢を見るチーズと理由
スティルトンを食べると悪夢を見る人が実際にいて、比較的その割合が高いという実験結果は存在する（※）。しかし、食べると悪夢を見やすいという根拠は、研究で明らかになっていない。そのため、スティルトンが本当に食べると悪夢を見るチーズであるということは断言できない。そのうえで、なぜスティルトンを食べると悪夢を見やすいのか、考えられる理由を見てみよう。
考えられる理由
就寝前に脂質の多いチーズを食べると、消化器官への負担や深部体温の上昇につながる。その結果深い眠りが妨げられ、悪夢を見やすくなるのかもしれない。また、乳糖不耐症の人がチーズを食べると、腹痛や腹部の張りが生じることもある。いずれにしても、チーズに限らず就寝前の食べ物の摂取が睡眠に影響を与えやすくなることは、考慮したほうがよさそうだ。
そもそも、食べると悪夢を見るという噂自体により心理的影響を受け、誘発されやすくなっていることも理由の一つと考えられる。
結論
食べると悪夢を見るチーズといわれるのは、イギリスのブルーチーズ・スティルトンのことだ。就寝30分前に食べると悪夢を見やすいと考えられ、実験結果も存在するが、その根拠は明らかになっていない。消化器官への負担や噂による心理的影響で眠りが浅くなることも理由として考えられる。スティルトンに限らず、就寝前の食事は睡眠に影響を与えやすい。チーズを食べて悪夢を見るか実験する場合は、睡眠不足に気を付けよう。
（参考文献）
※The British Cheese Board（英国チーズ委員会） Sweet Dreams Are Made Of Cheese
調理師名：新江友基
経歴：調理学校を卒業と同時に調理師免許を取得。その後、カフェ、レストラン、居酒屋などさまざまな飲食店で調理業務やメニュー開発に携わる。現在は、過去の経験から得た知識を活かし、食に関する記事の監修を担当している。
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