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液晶テレビとプラズマテレビの構造から読み解くテレビの寿命

液晶テレビとプラズマテレビの構造から読み解くテレビの寿命

投稿者:オリーブオイルをひとまわし編集部

鉛筆アイコン 2021年3月10日

ブラウン管テレビの発売以降、テレビは液晶、プラズマ、有機ELなど、進化したものと衰退したものがあるが、現在の主流は液晶テレビである。テレビ離れもささやかれるが、ゲーム機をテレビにつなぐという使い方もあり、依然として需要は根強い。そんなテレビの寿命は一体どれくらいだろうか。ここではテレビ全般の寿命と、液晶テレビ・プラズマテレビそれぞれの構造からみた寿命について解説する。

  

1. テレビの平均使用年数と標準使用期間

家族団らんのリビングに欠かせないテレビ。BS、CSの視聴だけでなく、現在は月額契約すれば映画やドラマを見放題にできたり、ゲームをつないで家族で遊べたりもする。そんなテレビの平均使用年数はどのくらいだろうか。ここではテレビの平均使用年数と標準使用期間について解説する。

テレビの平均使用年数

内閣府が平成29年及び平成30年に実施した消費動向調査の中の「主要耐久消費財の買替え状況」によると、カラーテレビの平均使用年数は、平成29年が9.2年、平成30年が9.5年である。

そのデータグラフを見ると、カラーテレビの残存率は平成29年、平成30年ともに使用開始から4年目までは約9割を保ち、その後1年に1割前後ずつ減少し、12年目に残存率1割程度となる。とくに8年目から10年目の減少率が高い。つまり、テレビはその間に使用できなくなる可能性が高いといえる。

補修用性能部品の保有期間は製造終了から8年

大手メーカー5社の新型液晶カラーテレビの補修用性能部品保有期間を調べたところ、調査した製品はすべて製造終了から8年であった。つまり製造終了から8年間は部品の交換による修理は可能ということになる。反対に、8年を超えると部品が寿命を迎えても部品交換による修理はできなくなるということである。

購入の際、中古の製品を安く買うと、新型の製品を購入するより部品交換可能な年数が減り修理不可能となる可能性は高くなる。しかし、そもそも修理自体が高額になる可能性はあり、新製品を購入したあとの故障による修理の場合でも、買い替えた方がよいという声も聞かれるため、中古でテレビを買う際は十分検討を要するところではある。

2. 液晶テレビの構造と寿命

現在のテレビは液晶か有機ELがほとんどであり、その中でも液晶テレビが圧倒的な割合を占めている。ここでは、液晶テレビの構造とその故障原因について解説する。

液晶テレビの構造

液晶テレビとはガラス基板の間に、電極、配向膜、液晶、カラーフィルターを挟み、裏側からライトを当て映像を映し出す構造となっている。そこで重要な役割を果たしている液晶とは、液体と固体の中間にある物質で、液晶に圧力を加えると分子の並び方が変化する性質を持っている。

1888年に液晶自体は発見され、その後1962年になり液晶に電気の刺激を与えると光の通し方が変化することも判明した。以降液晶ディスプレイの開発は進み、現在はテレビ、スマートフォンなどのディスプレイの多くに液晶が使用されている。

液晶テレビの寿命

液晶テレビの寿命として挙げられるものに、バックライトの寿命がある。現在液晶テレビのバックライトの光源はLEDである。LEDは電流を流すことで自ら発光するが、有機ELテレビも原理は同じである。

そもそもLED自体は半導体であり、寿命という概念が適切とはいえないのだが、半導体という存在のLEDでなく、ほかの部品と一体となった光源であるLEDモジュールとしての寿命は存在する。照明器具工業会ガイドによるとLEDの寿命は約40,000時間とされていることから、1日10時間使用すると、寿命は約10年になる。

ほかに寿命のある部品としては、液晶テレビに限らないが、電源を制御する基盤に使用される電解コンデンサがある。電解コンデンサの寿命は温度に影響されるが、105度で2000時間保証の電解コンデンサの場合、65度で一日10時間使用すると、約9年弱で寿命となる。

寿命とは関係なしに、基盤のはんだ不良、絶縁不良など個体ごとの不良も考えられるが、個体不良がなかった場合でも、毎日10時間以上テレビをつけていれば、9年以内には部品の寿命を迎えるといえるだろう。これは、内閣府の消費動向調査の結果とほぼ同じである。

3. プラズマテレビの構造と寿命

2000年初頭に盛んに生産、発売されていたプラズマテレビであるが、その間に液晶テレビの大画面化が進み、プラズマテレビは液晶テレビと比較し製品代金や電気代の高さなどもありシェアを伸ばすことができず、現在大手メーカーの国内でのプラズマテレビ販売は終了しているのが実情である。生産が盛んであった頃に購入された家庭もあることから、ここではプラズマテレビの構造とその寿命について解説する。

プラズマテレビの構造

プラズマテレビとは、2枚のガラス板の間に、蛍光体と希ガスの入ったセルが配置され、電圧をかけることで放電を起こし紫外線を発生させ蛍光体自体を発光させる構造となっている。基本的には蛍光灯と似た原理といえる。

プラズマテレビの寿命

光源元の電子の消耗・劣化や蛍光物の劣化により光が弱まり、画面にちらつきがでることもある。これは蛍光灯の寿命の原因と同様である。

電源基盤に使用される電解コンデンサの寿命が温度によって短くなることは、液晶テレビの寿命の箇所で前述した通りである。熱を発生しやすいプラズマテレビの場合、電解コンデンサの寿命も早くなりがちであるといえる。

故障の面からいうと、プラズマテレビは冷却ファン用部品の摩耗による故障も発生しやすいようだ。なぜなら、プラズマテレビは熱を発生させる構造のため、冷却ファンにかかる負担が大きいからである。

その結果「液晶テレビよりも、プラズマテレビの方が寿命が短い」と捉えることも多いのだが、実は「液晶テレビの方が寿命が短い」と捉える人も多いのだ。

結局のところ、国内品なのか国外品なのか、どこのメーカーのテレビかによって大きく寿命は異なるうえ、雪が降るような寒い地域と高温多湿な地域とでは、テレビの寿命は同じではないだろう。

そのため、もしかしたら一概に液晶テレビとプラズマテレビというくくりで寿命を比較してはいけないのかもしれない。

結論

テレビの寿命について、液晶テレビ・プラズマテレビそれぞれの構造の面から解説したが、いかがだっただろうか。そもそもテレビは個体不良がない場合、耐用年数は長時間使用のための部品の寿命と関係が深い。テレビはついついつけたままにしがちだが、寿命を延ばす方法は、長時間つけたままでいないということである。どんなテレビを使っていても、寿命のことを考えると電源はできる限り切っていた方がいいのかもしれない。
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  • 公開日:

    2019年8月 4日

  • 更新日:

    2021年3月10日

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