1. 皮と革は漢字以外にも大きな違いがある
皮と革は同じ読み方をするため、同じものを指すと思われがちだが実は違う。どのような違いがあるのか、それぞれの定義を確認してみよう。
皮
皮という漢字が動物の皮をはぎとる様子を模していることからもわかるように、動物からはいだまま加工していない状態のものを皮や原皮(げんぴ)と呼ぶ。皮には表皮のほか、真皮、皮下組織など、革製品に使われない部位も含まれている。
このままの状態では時間とともに腐敗したり、水分が抜けて加工できないほど硬くなったりするため、製品にすることはできない。原皮には動物によってさまざまな分類があり、大人の馬や牛などの大きめの動物からとった「ハイド」と、豚やヒツジ、子牛などの小さめの動物からとった「スキン」に大別される。
このままの状態では時間とともに腐敗したり、水分が抜けて加工できないほど硬くなったりするため、製品にすることはできない。原皮には動物によってさまざまな分類があり、大人の馬や牛などの大きめの動物からとった「ハイド」と、豚やヒツジ、子牛などの小さめの動物からとった「スキン」に大別される。
革
皮を加工し、腐らない状態にしたものを革と呼ぶ。皮を加工する工程を「なめし」といい、漢字では「鞣し」と表記される。文字からも察することができるように、なめしを行うことで皮を柔らかくして加工しやすくするほか、耐熱性や保温性といった革製品の特長を生み出すことができる。
毛皮は皮?それとも革?
毛皮には皮という漢字が使われているため、動物からはいだままの状態だと思われるかもしれない。前述したように皮、いわゆる原皮の状態では服などに加工することは困難だ。よって、毛皮のコートやカバンなどは、加工できる状態になめした革の一種であることがわかる。なめしの段階では普通は毛を落としてしまうが、毛皮を作りたいときは毛を残したままにしておくようだ。
ちなみに、加工しているのになぜ「毛革」ではないのか、ということについては諸説ある。たとえば毛を残したものとそうでないものを区別するために毛皮には皮という文字を使っている、という説だ。英語でも毛皮は加工後の革を表す「レザー」ではなく、「ファー」という表現を用いて区別されている。これは毛の美しさや手触りを重視し、なめしそのものに注目していないためだと考えられている。
また、「革」は「皮」から毛や脂肪などを取り除いて処理したものを表記するため、毛が残った状態では革ではないと言うことで、毛皮と表示していると言う説もある。
ちなみに、加工しているのになぜ「毛革」ではないのか、ということについては諸説ある。たとえば毛を残したものとそうでないものを区別するために毛皮には皮という文字を使っている、という説だ。英語でも毛皮は加工後の革を表す「レザー」ではなく、「ファー」という表現を用いて区別されている。これは毛の美しさや手触りを重視し、なめしそのものに注目していないためだと考えられている。
また、「革」は「皮」から毛や脂肪などを取り除いて処理したものを表記するため、毛が残った状態では革ではないと言うことで、毛皮と表示していると言う説もある。
2. 店頭やインターネットでよく目にする皮革とは
革製品を探していると、「皮革(ひかく)」という言葉を目にすることがある。皮や革に違いがあったように、皮革にもなにか定義の違いがあるのだろうか。
皮革
皮と革を総称して、皮革と呼ぶ。英語の「レザー」に該当するものは革を指すことが多いが、皮革の英語訳もレザーとなり、動物の皮、という意味で使われることもある。
皮革の特長
革製品や毛皮製品に触れたとき、温かいと感じたことはないだろうか。皮革には高い保温性があるため、コートや手袋といった防寒具の材料にうってつけなのだ。吸湿性にも優れており、長時間身に着けていても汗などの水分をよく吸ってくれる。
呼吸をするように皮革の表面から余計な湿気を放出してくれるため、吸湿性が高いにもかかわらず着心地のよさを維持することができる。
呼吸をするように皮革の表面から余計な湿気を放出してくれるため、吸湿性が高いにもかかわらず着心地のよさを維持することができる。
皮革製品を使うときの注意
皮革製品は繊維が複雑な構造をしている。一度汚れが入り込んでしまうと取り除きにくいため、皮革製品用のクリーナーやクリームを使って定期的にメンテナンスをしておこう。
しかし、仕上がりにムラが出ると外見を損なってしまうため、自力で行うのが難しいときはプロに任せると安心だ。皮革は50度以上の熱に弱いという特性があるので、水にぬれてしまったときはアイロンやドライヤーを使わず、日陰に干して自然乾燥させるようにしよう。
しかし、仕上がりにムラが出ると外見を損なってしまうため、自力で行うのが難しいときはプロに任せると安心だ。皮革は50度以上の熱に弱いという特性があるので、水にぬれてしまったときはアイロンやドライヤーを使わず、日陰に干して自然乾燥させるようにしよう。
3. 皮を革に加工するなめしの方法で仕上がりに違いが生まれる
皮を革にするために必須のなめしは、昔からさまざまな手法がとられてきた。当初は動物の皮をひたすらたたいたり噛んだりして伸ばす、といった原始的な方法で加工していたが、現在ではなめし剤を用いた方法がとられている。
なめしの仕組み
皮のコラーゲン繊維には水分が含まれており、なにもしないでおくと繊維から水分が抜けていってしまう。なめし剤をコラーゲンと結合させると、繊維が安定し、水分の流出を防ぐことができる。使用するなめし剤によって仕上がりにも個性が出るようだ。
主ななめしの種類
クロムなめし
化合物である塩基性硫酸クロムを用いた加工方法がクロムなめしだ。24時間以内という比較的短い時間で加工することができ、現代では好んで用いられるなめし方法のひとつとなっている。なめした後の皮は青っぽい色になる。クロムなめしの後、タンニンなめしなど別の方法で再度加工されることもあるようだ。耐熱性や保存性、染色性、弾力性に優れているため、革靴の甲(アッパー)に使われる部分は、クロムなめしで加工されていることが多い。
化合物である塩基性硫酸クロムを用いた加工方法がクロムなめしだ。24時間以内という比較的短い時間で加工することができ、現代では好んで用いられるなめし方法のひとつとなっている。なめした後の皮は青っぽい色になる。クロムなめしの後、タンニンなめしなど別の方法で再度加工されることもあるようだ。耐熱性や保存性、染色性、弾力性に優れているため、革靴の甲(アッパー)に使われる部分は、クロムなめしで加工されていることが多い。
植物タンニンなめし
植物に含まれるタンニンという成分を利用した加工方法で、紀元前から続く歴史的な手法が植物タンニンなめしだ。もともとは植物からタンニンを抽出するまでに長い時間を必要としたが、現代では技術の進歩により加工に要する時間が短くなってきている。
なめした後は皮の断面が茶色っぽく変色し、典型的な革製品らしい、落ち着いた色合いに仕上がる。吸水性や、力を入れても形状を維持することのできる可塑性(かそせい)に優れているため、革靴のつま先部分(ソール)に使われることが多い。
なめした後は皮の断面が茶色っぽく変色し、典型的な革製品らしい、落ち着いた色合いに仕上がる。吸水性や、力を入れても形状を維持することのできる可塑性(かそせい)に優れているため、革靴のつま先部分(ソール)に使われることが多い。
結論
皮は革の原料で、なめしという加工を経て革製品ならではの特長を得る。皮と革を総称した名称として皮革、という言い方もある。現代主流となっているなめしの方法はクロムやタンニンを用いたもので、それぞれ色合いや特性に違いが出るようだ。皮革製品は皆、用途に合わせた原料やなめし方法が選ばれている。店頭で皮革製品を見かけたら加工方法に注目してみると、より深く製品を理解できるだろう。