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日本の焼き物を代表する有田焼、その特徴とは?

日本の焼き物を代表する有田焼、その特徴とは?

投稿者:オリーブオイルをひとまわし編集部

鉛筆アイコン 2021年6月17日

「有田焼」は、佐賀県有田町周辺で製造される磁器の総称であり、400年以上の歴史を持つ。焼き物に興味がない人でも、この有田焼の名前は聞いたことがあるのではないだろうか。今回は、有田焼の特徴と魅力について、有田焼とも関係の深い、九谷焼や波佐見焼と比較しながら解説する。

  

1. 有田焼が愛される理由は「白磁の美しさ」と「色彩豊かな絵付け」

有田焼が世界中で愛される理由は、「白磁の美しさ」と「色彩豊かな絵付け」にある。

有田焼の原料である「泉山陶石」は、強度が高く、他の土を配合しなくても、透き通るような美しい白磁に焼き上がる。この透明感のある白磁は、絵柄のキャンパスとしてもふさわしく、磁肌に描かれる絵付けの美しさをより一層際立たせる。

生産が始まった17世紀初頭、有田焼の絵付けは、白地に藍色だけで模様が描かれる「染付(そめつけ)」が主流だった。しかし17世紀中頃、初代・酒井田柿右衛門が「色絵(いろえ)」と呼ばれる磁器の彩色に成功。乳白色の素地に赤や青、黄色などの鮮やかな色をのせることで、色彩豊かな模様を実現し、芸術性の高い製品を作り出せるようになった。

17世紀後半になると、有田焼は世界各地へ輸出されるようになり、特にヨーロッパでは観賞用として、貴族を中心に高い人気を誇った。18世紀初めにドイツの名窯マイセンが誕生したのも、有田焼が大きく影響しているという。

現在でも、日本磁器のトップブランドとして、有田焼は国内外で愛用されている。

2. 有田焼の流れをくむ九谷焼との違いとは

九谷焼は、有田焼と並ぶ日本を代表する色絵磁器だ。17世紀中頃、加賀藩の命により有田で技法を学んだ後藤才治郎によって、江沼郡九谷村で開窯された。19世紀後半に開催されたウィーン万博では、「ジャパンクタニ」としてヨーロッパの人々を魅了し、現在でも宮内庁の贈答品として使用されるなど、日本の美として親しまれている。

九谷焼の最大の特徴は、「上絵付け」だ。上絵付けとは、本焼きした陶磁器の釉薬(ゆうやく)の上に顔料で紋様を描き、再度焼く技法のことで、有田焼でも用いられている。特に赤、黄、緑、紫、紺青の五彩手は「九谷五彩」と呼ばれ、見事な色彩効果を表現している。

九谷焼は有田焼と比べ、白磁に透明感がない。また、製品の絵柄は上絵付が主流であり、有田焼ほど染付は行われていない。さらに、有田焼の繊細で美しい絵付けに対して、九谷焼の色彩装飾は、大胆かつ華麗な印象だ。

3. 有田焼の隣町で発祥した「波佐見焼」との違いとは

波佐見焼は、有田町に隣接する長崎県波佐見町で誕生した。有田焼と同様、400年以上の歴史があり、透けるような白磁に、青藍色の顔料で絵付けする染付を主流としている。江戸時代には「くらわんか碗」と呼ばれる、丈夫で壊れにくい庶民向けの器を大量に生産していた。現在も、職人が分業しながら作る「大量生産制」を採用している。
波佐見焼には、有田焼の「柿右衛門様式」のような伝統的な技法はない。しかし、そのぶん形式に捉われず、時代のニーズにあったモダンな器を作ることができる。また、高価なものであれば数万~数百万円する製品もある有田焼に比べ、波佐見焼は、普段使いの器として大量生産されているので、比較的手頃な価格で購入することができる。

結論

有田焼の特徴と魅力を、九谷焼、波佐見焼と比較しながら紹介した。有田焼は、透明感のある白磁と色彩豊かな絵付けにより、現在でも世界中で愛用されている。有田焼の流れをくむ九谷焼は、「九谷五彩」など独自の色彩美を完成させた。波佐見焼は、有田焼のような伝統的技法はないが、そのぶん自由なデザインを低価格で楽しめる。有田焼をはじめ、日本の焼き物文化は、これからもますます進化を続けそうだ。
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  • 公開日:

    2019年9月 5日

  • 更新日:

    2021年6月17日

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