1. ドライアイスに洗剤をかけると泡立つ理由

ドライアイスをコップの水の中に入れると白い煙がモコモコと出てきて、大人でも見ていて楽しいものだ。どのような理由でこのような現象が起きるのだろうか。まずはドライアイスについて解説していこう。ドライアイスは二酸化炭素に強い圧力をかけて冷やし、固形にしたものだ。氷は溶けると液体になるが、ドライアイスは溶けると気体になるという性質があり、これを「昇華」という。ドライアイスは昇華して二酸化炭素になると、固形の時かの約750倍に体積が増える。
水にドライアイスを入れると煙が出る理由
ドライアイスの温度は約-79℃と非常に低温であり、常温の水が20℃くらいだったとすると、水の中にドライアイスを入れたときの温度差はおよそ100℃になる。ドライアイスが急激に水で温められて昇華し、約750倍の体積の二酸化炭素が発生する。二酸化炭素自体は目に見えないが、ドライアイスによって冷やされた小さな氷や水の粒がコップの中からあふれ出し、これが白い煙のように見えるのだ。
洗剤を入れるとブクブク泡立つ理由
ドライアイスを入れた水の中に食器洗い用の中性洗剤を垂らすと、大量の泡がブクブクと出てくるのでキッチンのシンクなどで試してみよう。水には「表面張力」という水面を小さく保とうとする力が働いているため、水が泡立ってもすぐに表面張力で消えてしまう。しかし洗剤を垂らすと水の表面張力が弱くので泡が消えにくく、泡の表面に洗剤の膜ができて壊れにくくなるのでどんどん泡があふれ出てくるのだ。
2. ドライアイスと洗剤でできるシャボン玉ドーム

ドライアイスと洗剤を使った実験は子どもの科学教室などで取り上げられることが多く、ネット上では実験動画も多く投稿されている。ここでは特に人気の「シャボン玉ドーム実験」や、「プカプカ浮かぶシャボン玉実験」のやり方をご紹介する。
ふっくらシャボン玉ドーム
- ボウルやバケツの中に水とドライアイスを入れて白い煙を出す
- 食器洗い用の中性洗剤を手や腕に塗り、ボウルやバケツの表面をなでるようにして洗剤の膜を張る
- 白い煙でシャボン玉がドーム型に大きくふくらむ
うまく洗剤の膜が作れないときには、ボウルやバケツの縁に洗剤を塗り、洗剤に浸した布などで表面をなぞるようにすると比較的簡単に膜を作ることができる。洗剤の膜が風船のように大きくふくらむので、子どもと一緒に実験してみると盛り上がること間違いなしだ。
プカプカ浮かぶシャボン玉
- 容器にドライアイスと水を入れて白い煙を出す
- 容器に向かってシャボン玉をふく
- シャボン玉が白い煙の上にプカプカ浮かぶ
市販のシャボン玉液がなければ中性洗剤と水を1:5の割合で薄め、ストローで拭いても同じように実験できる。普通はすぐに消えてしまうシャボン玉が、ドライアイスの上にとどまってプカプカ浮かぶ神秘的な様子を観察することができる。
3. ドライアイス実験の危険性と注意点

子どもも大人も楽しめるドライアイスを使った実験をご紹介したが、ドライアイスは取り扱いを間違えると思わぬ事故につながる危険性もある。必ず3つの注意点を守って実験をしよう。
よく換気をする
ドライアイスが昇華すると約750倍の体積の二酸化炭素が発生する。部屋の中の二酸化炭素が増えて酸欠状態になったり、二酸化炭素中毒になったりする危険があるので、部屋は密閉せずに十分に換気をしながら実験をしよう。
密閉容器の中にドライアイスを入れない
ドライアイスは密閉容器に入れてはいけない。ペットボトルにドライアイスを入れてキャップを閉めると、発生した二酸化炭素でペットボトルがパンパンにふくらんで破裂することもある。飛び散った破片で怪我をしたという事例もあるので十分注意しよう。ドライアイスを保存したいときは新聞紙やタオルなどでくるんで外気に触れないようにすると、昇華のスピードを遅らせることができる。
素手で触らない
ドライアイスは約-79℃とかなり低温なので、素手で触ると凍傷を起こす危険がある。触れた部分が火傷のように赤くなったり、長時間触れていた場合が水膨れになったりすることもあるので、ドライアイスを触るときには必ず手袋を着用しよう。
結論
ここではドライアイスと洗剤を使った実験の方法をご紹介した。ドライアイスを使った実験は大人も子どもも楽しめるので、休日に一緒にチャレンジしてみてはいかがだろうか。その際は部屋の換気をする、密閉容器に入れない、素手で触らないなどの注意点を忘れないようにしよう。