目次
- 1. らっきょうとはどんな野菜?
- 2. らっきょうの年間栽培スケジュール
- 3. らっきょうの栽培方法と増やし方
- 4. らっきょうの栽培で注意すべき病気や害虫
- 5. らっきょうを栽培して「自家製甘酢漬け」を楽しんでみては?
- 植付け:8〜9月頃
- 収穫:翌年6〜7月頃(エシャレットは4〜5月頃)
- 追肥:9月下旬〜12月上旬頃
- うどんこ病
- さび病
- 白色疫病
- 灰色かび病
- 軟腐病 など
- アブラムシ
- アザミウマ
- ハダニ
- ヨトウムシ など
1. らっきょうとはどんな野菜?

らっきょうの栽培方法の前に、まずはどういった野菜なのかを簡単におさらいしていこう。
らっきょうは中国原産のユリ科の植物
膨らんだ鱗茎部分を食用とするらっきょうは、日本には9世紀ごろ伝来したといわれている。古くは薬用として重宝されていたが、江戸時代に入ると「野菜」として全国に普及したという。
らっきょうの栄養価
らっきょうの主な栄養成分は水分・炭水化物・食物繊維などである。とりわけ食物繊維は100g中20.7g(水溶性18.6g、不溶性2.1g)含まれており、これはゴボウ(生100g中5.7g=水溶性2.3g、不溶性3.4g)と比べるとおよそ4倍に相当する(※1)(※2)。
なおらっきょう特有の香りは硫化アリルの一種「アリシン」が関係している。アリシンはにんにくにも含まれる成分で、強い抗菌作用や抗酸化作用を持っている。ビタミンB1の吸収にも関与することから疲労回復に効果的といわれている(※3)。
らっきょうの旬と主産地
らっきょうの旬の時期は5〜7月である。島らっきょうの旬は(1〜4月)とはややずれているのが特徴だ。鹿児島県や鳥取県、宮崎県などが主な産地として知られている。
らっきょうを若採りしたものが「エシャレット」
らっきょうの葉が青いうちに若採りしたものがエシャレットである。らっきょうよりも香りやクセがないため、島らっきょうのように生食もできる。
2. らっきょうの年間栽培スケジュール

らっきょうはご家庭でも手軽に栽培できる野菜のひとつだ。暖地や寒冷地など環境によってやや変わるが、おおよそのスケジュールは以下の通りである。
らっきょうの年間栽培スケジュール
日照条件と生育適温
らっきょうは日当たりや水はけ、風通しなどがよい場所で育てるのが基本である。また生育に適した温度は18〜22℃あたりとされている。
らっきょうは連作も可能
らっきょうは連作障害が起こりにくい野菜のため、2年程度の連作なら問題ないだろう。とはいえ連作し続けるとやがて収穫量は落ちてくる。場所に余裕があるようなら、適度に変えることをおすすめする。
3. らっきょうの栽培方法と増やし方

らっきょうは痩せた土地でも育てやすい野菜だ。肥料もそれほど多くを必要としないなど、ご家庭でも栽培しやすい野菜のひとつだろう。らっきょうを地植えで栽培する際の育て方を解説する。
1.種苗の準備
8月頃になるとホームセンターや種苗店にらっきょうの種苗が並ぶ。早くに植えられて短期間で収穫できる「早生(わせ)」、ゆっくりじっくり栽培する「晩生」などがある。
早生は短期間で収穫できるため管理の手間がそれほどかからないうえ、晩生と比べると病害虫の被害を受けにくい。晩生のほうは手間がかかり病害虫の被害も受けやすいが、味のよいものができやすい。初心者の方は早生の栽培から始めてみるとよいだろう。
2.土作り
上述のようにらっきょうは日当たりのよい場所と水はけのよい土地を好む。植付けの2〜3週間ほど前になったら土壌を中和するための苦土石灰を、1週間前までには化成肥料をそれぞれ施そう。
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3.植付け
8月下旬〜9月中旬頃を目安に植付けをしよう。らっきょうは種球を1球ずつバラして植えるのが基本である。芽が出るほう(尖ったほう)を上にして、10〜15cm間隔で浅め(深さ約3〜5cm程度)に植えるのがポイントだ。植え付けが終わったらたっぷり水を与えよう。
4.土寄せと追肥
植付けから2カ月ほど経つと根が伸びて、らっきょうが地表に押し出される。根の部分に光が当たると緑色に変色してしまうため土寄せをして防ごう。2〜3月頃になり、葉の色が悪いようであれば追肥をする。勢いがよければ追肥はとくに不要だ。
なお追肥に関してはこのように必須ではないが、土寄せは忘れずに実施しよう。土寄せを怠ると丸球や長球、あるいは青皮など形や品質が低下するため気をつけてほしい。
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5.収穫
6月頃になり葉が枯れてきたら収穫時期の合図だ。1つの株から8〜12個ほどのらっきょうが収穫できるといわれている。天気がよい日に株を引き抜いて収穫し、風通しのよい場所で乾燥させよう。なおエシャレットとして収穫したい場合は3〜4月頃が目安だ。
らっきょうの増やし方
らっきょうを1年目に収穫せず、そのまま栽培を続けると分球が促進され、小玉のらっきょうが30粒ほど収穫できる。植え替えはしなくてもよいが、追肥は施しておこう。
4. らっきょうの栽培で注意すべき病気や害虫

続いて、らっきょうを栽培するにあたって気をつけたい病気や害虫、およびその対策について解説する。基本的に良質の土壌で栽培していれば病気や害虫の心配はほとんどないといわれるほど丈夫な野菜ではあるが、ご家庭での栽培が初めてという方はとくに、念のため次のような病害虫があることを知っておこう。
気をつけたい病気
気をつけたい害虫
病気や害虫を防ぐには?
窒素過多になるとうどんこ病などの発症リスクが高まるほか、軟弱化しやすいため病気になりやすくなる。良質の土壌やバランスがよい肥料を使って育てることが大切だ。加えて水は適量を与えて乾燥させないこと、風通しをよくしておくこと、水はけをよくしておくことなどもポイントになるので覚えておこう。また毎日こまめに観察し、害虫を1匹でも発見したら速やかに駆除剤や防除剤などを施すなどして対策しよう。
5. らっきょうを栽培して「自家製甘酢漬け」を楽しんでみては?

らっきょうは初心者の方でも手軽に栽培できる野菜のひとつだ。ただし日当たりと水はけ、風通しといった栽培環境だけはきちんと整えてあげることが大切なので覚えておこう。追肥なども基本的には必要としないため、家庭菜園の入門編として栽培にチャレンジしてみるのもおすすめだ。収穫したらぜひ、自家製らっきょうの「酢漬け」や「甘酢漬け」を楽しんでほしい。
結論
食物繊維が豊富に含まれるらっきょうは、若採りするとエシャレットとして生食を楽しめる。「早生」「中生」「晩生」など栽培期間が異なる品種をうまく組み合わせれば、時期をずらして収穫することも可能だ。慣れてきたらチャレンジしてみてはいかがだろうか?
(参考文献)
※1:文部科学省 食品成分データベース「野菜類_らっきょう_りん茎_生」
※2:文部科学省 食品成分データベース「野菜類_ごぼう_根_生」
※3:農林水産省 東北農政局「令和2年2月」