目次
- 1. 電池の液漏れとはどんな状態?
- 2. 液漏れした電池に素手で触るのが危険な理由
- 3. そもそも電池が液漏れする原因は?
- 4. 液漏れした電池とその周辺の正しい掃除方法
- 5. 液漏れした電池の掃除中によくあるトラブルと対処方法
- 6. 液漏れした電池の正しい処分方法
- 7. 電池の液漏れを防ぐための正しい使い方と保管方法
- 8. 電池の液漏れを発見したら適切に対処しよう
- マンガン乾電池:塩化アンモニウム、塩化亜鉛、水
- アルカリマンガン電池」:アルカリ金属水酸化物、水
- 使用推奨期限を超えての長期保存
- 落下
- 高温多湿環境での保管
- ショート
- 使用後のスイッチの切り忘れ
- 電池の逆向き装着
- 異なる種類の電池を混合して使用すること
- 新旧の電池を混合して使用すること
- ※1:消費者庁「電池の発熱、液漏れ、破裂に注意しましょう! --災害用の懐中電灯やラジオの点検を-- 」
https://www.caa.go.jp/policies/policy/consumer_safety/release/2018/pdf/consumer_safety_release_180720_0001.pdf
1. 電池の液漏れとはどんな状態?

電池交換の際に、古い電池に何かが付着していたり漏れ出ていたりするのを目撃したことのある方は多いだろう。これらは電池の液漏れの可能性が高い。
そもそも電池の液漏れとはどんな状態?
電池が液漏れとは、電池内部の電解液が漏れ出ている状態を指す。
【白い粉状のものも液漏れによるもの】
液漏れといっても、見た目は液体ではないことも多い。電池に青白い粉が付着しているのも液漏れだ。電池が膨らんでいたり錆び付いていたりする場合も、液漏れ状態と言えるだろう。
液漏れした「液体」の成分
電池の内部には負極、正極、電解液の3種類の物質が存在している。液漏れでの際に出てくる液体はその中の電解液であり、JISにおいて電池系ごとに電解液の種類は定められている。代表的な乾電池の電解液には下記が使用されている。
【乾電池に使用されている電解液】
2. 液漏れした電池に素手で触るのが危険な理由

液漏れした電池を見かけたら、たとえ触れそうであっても素手で触れてはいけない。その理由は次のとおりだ。
皮膚の傷害や失明といった危険性がある
アルカリ電池に使用されている電解液は強いアルカリ性を持っているので、液体の状態で素手で触ると化学やけどを起こす可能性がある。もし触ってもすぐに何も起こらないからといって安心してはいけない。なぜなら、化学やけどは時間とともに皮膚深部に進行することが多いことが特徴であるからだ。また、目に入ると最悪の場合失明の可能性があるので、大量の水で洗い流し医師の治療を受ける必要がある。(※1)
白い粉状の物質にも要注意
液漏れした電解液が空気中の二酸化炭素と反応したものが、電池に付着している白い粉である。白い粉は水溶性のため、汗や水に溶けることで再度アルカリ性の液体となり化学やけどを引き起こす可能性がある。
3. そもそも電池が液漏れする原因は?

そもそも、電池の液漏れはなぜ起こるのだろうか?主な原因は以下のようなことである。
未使用の電池が液漏れを起こす主な原因
使用中の電池が液漏れを起こす主な原因
意外?電池の液漏れは「安全」を考えた構造が招く現象である
電池の液漏れの原因は、電池の性能が悪いからだと考えてはいないだろうか。確かに電池の密封度の悪さや、何らかの原因による密封度の劣化が液漏れの一つの原因とはなっていることはあるが、それは主に未使用電池で起きる液漏れである。しかし、使用中もしくは使用後の液漏れの多くは、性能が悪いからではなく、異常に発生したガスを抜く安全のための動作に伴う現象である。
具体的に説明すると、電池は化学反応で電気を発生しているが、何らかの要因で異常な化学反応が起きたり、過放電放置状態が続いたりすると電池内部にガスが発生する。そのガスがうまく放出されないと電池が破裂し非常に危険な事態となるのだ。その事態を避けるため、電池はある一定の圧力がかかると安全にガスが抜ける構造になっており、ガスが抜ける際に電池内部の電解液が一緒に放出される。それがいわゆる液漏れである。
4. 液漏れした電池とその周辺の正しい掃除方法

液漏れが起きた場合、液体が付着したものをどのように処理したらよいのだろうか?掃除する方法や注意点を解説する。
衣類など洗えるものは多量の水で洗う
液漏れした白い粉は、衣類などについてもよく分かりにくいため放置してはいないだろうか。手についた時と同様、白い粉が何らかの原因で水に溶けた場合、その粉がアルカリ性水溶液となり皮膚に付着して化学やけどを引き起こす可能性もある。衣類など洗えるものに付いた場合は、必ず大量の水で洗い流すようにしよう。
機器や壁、家具などは濡らした布でキレイに拭き取る
大手電池製造メーカーによると、漏れた液体や白い粉が電機機器の内部や洗い流せない物に付着している場合の処理方法として、液体を大量のティッシュか布で拭き取り、その後水で濡らしたティッシュか布で何度か繰り返し拭くことを推奨している。水で濡らした布等で拭くことで液漏れした物質を中和除去できるからである。
液体が付着したリモコンやおもちゃなどの掃除方法は?
液漏れしたのがリモコンの電池だった場合、プラスチックのカバーは外して水洗いをしよう。リモコン本体は湿らせた布やティッシュで液体を拭き取り、細かい部分は湿らせた綿棒で掃除する。接触板が錆び付いていたら、紙やすりなどで磨くとキレイになる。
おもちゃもリモコンと掃除方法はおおむね同じだ。だが、赤ちゃん用のおもちゃなど子どもが口に入れる可能性があるものの場合、危険性が高いため廃棄または専門業者での修理をおすすめする。
可能であればビニール手袋や目の保護具を着用する
電池から漏れ出た液体は、直接触れたり目に入ったりすると危険だとお伝えした。液漏れが付着したものを掃除する際は、可能な限りビニール手袋やメガネなどを装着して、手指や目を保護しよう。
5. 液漏れした電池の掃除中によくあるトラブルと対処方法

電池の液漏れを掃除中に、誤って液体が付着するといったトラブルが起きたときの対処法を解説する。
液体に触れてしまったとき
液体に触れてしまうと、皮膚に損傷が起きる可能性がある。付着したら、すぐに水道水などの大量の水で洗い流そう。
液体が衣類などに付着してしまったとき
液体が衣類などに付着した場合、そのまま放置していると衣類を通して皮膚にも液体が付いてしまう可能性がある。このため、皮膚に触れないように衣類を脱いで、水で洗い流そう。衣類を水洗いしたあとは、通常通りの洗濯をすればよい。
6. 液漏れした電池の正しい処分方法

液漏れした電池は使用できないので、処分しなければならない。適切な処分方法を覚えておこう。
自治体のルールに則って適切に処分を
液漏れした電池はそのままにしておくと危険なため、液漏れ部分の掃除をしておこう。そして、捨てる際は電極部分にセロハンテープなどを貼って絶縁状態にする。電池の捨て方は自治体によって異なるので、お住まいの自治体のルールを守って処分しよう。
7. 電池の液漏れを防ぐための正しい使い方と保管方法

電池の液漏れを防ぐための使い方や保管方法について、気をつけるべきポイントをお伝えしよう。
アルカリ電池とマンガン電池は使い分けこと
乾電池にはアルカリ電池とマンガン電池の2種類があるが、電池の持ちがよいからと何でもアルカリ電池を使っていないだろうか?実はアルカリ電池とマンガン電池は、それぞれ使用に向いている製品がある。
アルカリ電池は大きな電力を必要とする、おもちゃや携帯ラジオなどに向いている。一方のマンガン電池は必要なときだけ少量の電力を使う製品に適している。たとえば、リモコンや時計などにはマンガン電池を使おう。
使いかけの電池と新しい電池を混ぜて使用しないこと
使いかけの電池と新しい電池を一緒に使用しないことも、液漏れを防ぐうえで大切だ。先に容量がなくなった電池も新しい電池と一緒に放電され続けることで、過放電状態になって液漏れの原因になる。
長期間使わないときは電池を抜いておくこと
長期間使わない場合には電池を抜くことも大切だ。シーズンオフになった冷暖房器具のリモコンや、子どもが成長して使わなくなったおもちゃなど、収納する前に電池を抜いて液漏れを防ごう。
そのほか電池の使用中や使用後の注意点
「使いきりの一次電池を充電器で充電しない」「使用推奨期限内に使用する」「火中に投入しない」「液体で濡らさない」「衝撃を与えない」「電磁調理器の上に置かない」といったことを守ろう。
電池を交換する際の注意点
「一つの機器内の電池を交換する際は、全ての電池を同時に交換する」「新しい電池と古い電池を混在させない」「種類の違う電池を混在させない」といったことに気をつけよう。
電池の適切な保管方法
「直射日光、暑い車内で保管しない」「涼しい乾燥した場所で保管する」「保管する際、金属物と一緒に保管するとショートが発生し液漏れにつながるため、ナイロン袋に入れて向きを揃えて保管する」というところがポイントになる。
8. 電池の液漏れを発見したら適切に対処しよう

電池の液漏れは放置しているとどんどんひどくなってしまう。このため、発見したらすぐに適切に対処する必要がある。液体には触れないように注意して、電池の液漏れはしっかり掃除しよう。
結論
電池が液漏れしたときの対処法や液体の正体について解説してきた。電池は、高温多湿の環境で保管したり誤った方法で使用したりしたときに液漏れを起こりやすくなる。漏れ出た液体は危険なので取り扱いに注意しながら、付着したものを掃除する必要がある。掃除の際はなるべくビニール手袋やメガネなどを装着しよう。
(参考文献)