目次
- 1. 結婚式スピーチの定番「3つの袋」とは?
- 2. 「堪忍袋」に込められた意味と願い
- 3. 「巾着袋」に込められた意味と願い
- 4. 「お袋」に込められた意味と願い
- 5. 番外編|いろいろな袋と「3つの◯◯」
- 6. 「袋」には人生の大切な教訓が詰まっている
1. 結婚式スピーチの定番「3つの袋」とは?

さっそく、結婚式のスピーチにおける鉄板ネタ「3つの袋」についての基本的なところを解説していこう。
「堪忍袋」「巾着袋(給料袋)」「お袋」
3つの袋とは結婚生活において「堪忍袋」「巾着袋(給料袋)」「お袋」という3つの「袋」がもっとも大切であるという、いわゆる教訓話だ。ご年配の方がスピーチする際によく取り上げられる印象があるが、現代の若い方にも通ずる事柄が多い。
3つの袋の起源
起源には諸説ある。一説では故・徳川夢声氏が司会のテレビ番組で使われたのが始まりとされているが、真偽のほどは不明である。なお徳川氏は弁士・作家・俳優などさまざまな分野で活動したマルチタレントで「彼氏」「恐妻家」などの言葉の生みの親として知られている。
教訓がうまくまとまっている
詳しくは後述しているが、3つの袋には夫婦生活における教訓が非常にうまくまとまっている。知れば知るほど奥深い話であり、若い世代の方にもきっと響くものがあるはずだ。結婚を控えている方、スピーチの予定がある方はぜひ、この機会に3つの袋の意味を理解しておこう。
2. 「堪忍袋」に込められた意味と願い

「堪忍袋」は、夫婦生活に忍耐力が必要であることを教えてくれている。他人だった二人が同じ屋根の下で人生をともに歩むためには、お互いを理解する努力とともに個を尊重し、ときに忍耐も必要となる。
円滑な夫婦関係を送る
夫婦生活では、相手の言動に不満を抱いたりイラッとしたりすることは多々ある。しかしその都度怒っていては夫婦喧嘩が絶えず、家庭内も暗い雰囲気となってしまうだろう。修復不能になれば「離婚」の危機すら迫ってくる。
すべてに我慢し続けるのは困難であるが、自分が引いて我慢することで円滑に進むことが分かっている場合などは、ときに忍耐が必要となる。
ただし「グッと飲み込む」「押し殺す」だけが堪忍袋の意味ではない。いったん冷静になり、話し合うことで良い方向へ進むことも多いからだ。 また家庭の外にイラつきの要因がある場合、それを家庭内に持ち込まないようにする努力も、ときには必要になるだろう。
感情的にならないことが大切という教訓
近しい間柄ほど、感情をぶつけても許容してもらえると思っていないだろうか?だが実際のところ、感情的になったときは言い争いがエスカレートする傾向がある。そうなると引くに引けず、取り返しのつかない暴言を吐いてしまうなど、修復不能な不仲を引き起こすこともある。
感情に任せた結果離婚となれば、いざ冷静になったときに後悔してもしきれないことがあるため、肝に銘じておきたいところだ。
話し合ってお互いを理解する努力が必要
感情をグッと飲み込んだり押し殺したりすると、いつかは限界を迎えて堪忍袋の緒が切れる。火山が一気に噴火するまで我慢するのは得策ではない。その前にしっかり話し合い、お互いの価値観や存在、考え方などを理解し認め合うことが大切だ。
その場はグッとこらえつつも、あとで冷静になったときに話し合うことは忘れないようにしよう。堪忍袋は3つの袋の中でもとくに、精神面の教訓という意味合いが大きな袋である。
3. 「巾着袋」に込められた意味と願い

「巾着袋」は、お金を入れる袋を指すところから「給料袋」とする場合もある。経済的に行き詰まると夫婦生活にも悪影響を及ぼしかねないことから、財布の紐を締めておくことが大切であると教えてくれている。
浪費を防ぎ計画的に貯めて使う
常に巾着袋の紐を締めておくことの大切さが頭にあれば、浪費を防げる。年収など身の丈に合った支出を心がけると同時に、出産や子育て、旅行などを想定して貯蓄することも大切だ。目的意識を明確に持ち、計画的に貯めて必要なときに大きく使うなど「賢い使い方」をしよう。
浮気防止にもつながる?
浮気はお金がかかるものであり、また金銭目的で近づいてくる異性もいる。そのため巾着袋を引き締めることは、それらを防ぐことにもつながるといわれている。
4. 「お袋」に込められた意味と願い

最後は「お袋」である。配偶者の母、そして自分の母という意味だ。母親と夫婦生活は切っても切り離せない関係にある。
サポートしてもらう母親への感謝
結婚後、出産や急病などで実家のサポートを受けることは多い。「子どもを預かってもらう」「育児の悩み相談にのってもらう」「妊娠中、家事を手伝ってもらう」など、母親のサポートは若い夫婦にとって必要不可欠なものである。
子宝に恵まれなかったとしても、病気の看病をしてもらう、料理や家事のヒントを授かるなど、人生の先輩としてアドバイスをもらう場面は多々あるはずだ。
そんな母親を大切にすることは、感謝の気持ちを持つという意味でも大切だし、気持ちよくサポートしてもらうためにも重要なことである。
嫁姑がうまくいくと夫婦仲も良好に
夫婦生活を左右するポイントのひとつが嫁姑の関係性だ。仲が悪く夫婦関係に悪影響が及んでいる、といったケースはよく見られる。夫婦で協力してお互いの両親と仲良くし、良好な関係を築いていくことが大切である。
親を大事にする両親(=新婚夫婦)の背中を見て育つ子どももきっと、将来自分の両親(=新婚夫婦)を大切にする気持ちを持ってくれるのではないだろうか。
独立しても親は大切にすべきであるという教訓
「いつまでもあると思うな親と金」という言葉があるように、親も歳を重ねていつかは自分の前からいなくなる。病気や寝たきりになってから慌てて親孝行をしようとしても、できることは限られてしまう。
「親が生きているうちに」ではなく「親が元気なうちに」親孝行をすることが大切だ。後悔することのないよう、日頃から親を大切にする心を持ち続けたい。
5. 番外編|いろいろな袋と「3つの◯◯」

3つの袋には番外編がある。スピーチの際のバリエーションとして覚えておくと、先に誰かに話されてしまったときなども狼狽せずに済むだろう。
胃袋
たとえば女性の場合、男心をつかむ際「胃袋をつかむとよい」といわれる。プロポーズ前の段階であれば「この女性と結婚したい」と思わせる決め手となりうる。結婚も一生食べ続ける配偶者の料理が「美味しい」と感じられるなら、それも夫婦円満のひとつの要因となるだろう。
もちろん男性が女性の胃袋をつかむのもアリだ。食は生活や健康の基本であるため「3つの袋」に含める価値がある袋といえる。
笑い袋
「笑う門には福来たる」というように、いつも笑顔で仲の良い夫婦にはきっといいことが訪れるはずだ。子どもも含め、夫婦円満で笑顔あふれる家庭を築きたいとは誰もが願うことだろう。
金玉袋
スピーチの「掴み」という意味で、シモネタ風に金玉袋を持ち出すことも多い。それはそれで結構なことではあるが(場の空気が凍りつかなければ)、金玉袋には「子宝に恵まれる」という意味も込められている。
ちなみに「金玉」は中国語で宝といった意味がある。こじつければ財を手にするといった意味も後付けできるだろう。
3つの坂
「上り坂」「下り坂」「まさか」だ。人生は上り坂もあれば下り坂もある。よいときも悪いときも支え合い、笑い合える夫婦が理想である。「まさか」という事態への備えや「まさか」というときに支えることも大切だ。袋の話ではないが、人生にとって重要な教訓である。
6. 「袋」には人生の大切な教訓が詰まっている

「堪忍袋」に始まり「巾着袋(給料袋)」「お袋」さらに番外編として「胃袋」「笑い袋」「金玉袋」などさまざまな袋がある。ほかにも手を温め合う、あるいは手を繋ぐ左右で1組の「手袋」、自然災害が多発する昨今の時代背景を反映した「防災袋」といったものも袋だ。
定番の堪忍袋や巾着袋、お袋はもちろんのこと、それ以外の袋にも人生にとって大切な教訓が詰まっている。結婚式のスピーチが控えている方、新婚当初の気持ちを忘れかけているご夫婦、結婚間近のカップルなど、ぜひこれを機に袋について考えてみてはいかがだろうか?
結論
3つの袋は「定番」「ありきたり」といったスピーチではあるが、意味を理解して聞くと人生の参考になる内容が含まれている教訓話だ。現実は厳しく、3つの袋を実践しただけで円満な夫婦生活を送れるとは限らないが、いつも心のどこかに留めておきたい教訓であることは間違いない。