1. 電気の周波数は地域によって2種類にわかれている

普段何気なく使用している電気だが、電気の周波数には2種類あり、住む地域によっては違うことを知っているだろうか。引っ越しするときなどは家電の周波数が変わり、使えない家電が出てくる可能性がある。まずは周波数についておさらいしよう。
電気の周波数Hz(ヘルツ)とは
理科や化学の時間で習った記憶があると思うが、電気には、「直流」と「交流」の2種類がある。電力会社から供給されている電気は交流で、電気のプラス(+)とマイナス(-)が1秒間に何十回も入れかわる仕組みになっている。この交流電気の入れかわる波の回数のことを周波数と呼び、周波数の単位にはHz(ヘルツ)が使用されている。
日本のHz(ヘルツ)はなぜ2つの地域にわかれる?
ほかの国では、ほぼ「50Hz」か「60Hz」のどちらかだが、なぜか日本だけは「50Hzと60Hz」の2つの周波数地域にわかれている。その理由は、明治時代に発電を始めた際に東日本側の電力会社はドイツから50Hzの発電機を輸入し、西日本側の電力会社はアメリカから60Hzの発電機を輸入したことにある。
それぞれの地域で50Hzと60Hzの電気がつくられ、そのまま全国に広がってしまったのだ。後から「どちらかに統一しよう」という案は出たのだが、莫大な費用や時間などの課題があり、結局統一はされずに現在に至っている。
それぞれの地域で50Hzと60Hzの電気がつくられ、そのまま全国に広がってしまったのだ。後から「どちらかに統一しよう」という案は出たのだが、莫大な費用や時間などの課題があり、結局統一はされずに現在に至っている。
2. 関東と大阪では電気の周波数(ヘルツ)が違う

日本では2種類の周波数(ヘルツ)が使われているため、関東と大阪では家電の周波数が違う。では、周波数の分かれ目はどこになるのだろうか?目安としては「新潟県の糸魚川(いといがわ)と、静岡県の富士川を結ぶ線」が境界線のようだ。
新潟県の糸魚川と静岡県の富士川を境として、東側は50Hz(ヘルツ)、西側は60Hz(ヘルツ)
したがって関東では50Hz、大阪では60Hzの周波数が使われているのだ。関東より東や、大阪など西日本の地域はわかりやすいが、境界線付近の長野県や新潟県を管轄する中部電力の地域では、50Hzと60Hzの電気が混在している場合がある。境界線付近のヘルツがわからないときは電力会社に確認してほしい。
3. 大阪から電気の周波数が違う関東に引っ越しするとき、家電はそのままで大丈夫?

地域によって50Hzと60Hzの電気が使われていることはわかったが、「引っ越しの際の家電はそのまま使えるのか?」という疑問がわく。たとえば大阪から関東に引っ越しすると、電気の周波数は大阪の60Hzから関東の50Hzに変わってしまう。
家電には「50/60Hz」の表示があるもの、「50Hz」や「60Hz」など単独表示のものがあり、「50/60Hz」であればどこでも使用できるが、単独表示の家電は書いてある周波数の地域でしか使えないことを知っておこう。そのまま使うと能力が変わる、故障するなどの可能性がある。
モーターや機器内蔵の電子タイマーなどが含まれる家電は、周波数が変わると使えないことが多い。次に一般的な家電の目安をあげておくので参考にしてほしい。
家電には「50/60Hz」の表示があるもの、「50Hz」や「60Hz」など単独表示のものがあり、「50/60Hz」であればどこでも使用できるが、単独表示の家電は書いてある周波数の地域でしか使えないことを知っておこう。そのまま使うと能力が変わる、故障するなどの可能性がある。
モーターや機器内蔵の電子タイマーなどが含まれる家電は、周波数が変わると使えないことが多い。次に一般的な家電の目安をあげておくので参考にしてほしい。
そのまま使えるもの
- 電気ポット、こたつ、ストーブ、トースターなど熱を利用するもの
- テレビ、ラジオ
能力が変わるもの
- 扇風機、ドライヤー、エアコン、冷蔵庫など
そのままでは使えないもの
- 電子レンジ(マイクロ波の波長が変わると危険なため、絶対に使用しないこと)
- 洗濯機
- 電気式の時計やタイマー
とくに電子レンジは要注意だと覚えておこう。最新の家電にはヘルツフリーのものも増えているが、周波数の変わる地域に引っ越す際は家電のヘルツに注意が必要だ。例のように大阪から関東に引っ越す場合は、大阪で家電を買いそろえるよりも、引っ越し先の関東で新たに購入する方が安心だといえる。
結論
日本の電気の周波数(ヘルツ)は2種類にわかれており、世界でも珍しい特徴だ。周波数が統一されれば便利になるが、そこにはインフラ整備のための多額の費用と長い時間がかかってしまう壁があるようだ。周波数の境界を越えて引っ越しをする場合、家電のHz表示に気をつけなければいけない。引っ越し先の電気の周波数(ヘルツ)確認をお忘れなく。