目次
- 1. オイルヒーターとはどんな暖房器具なのか?
- 2. オイルヒーターのメリット|安全性や使い勝手は◎
- 3. オイルヒーターのデメリット|電気代が高いだけではない
- 4. オイルヒーターのデメリット電気代、具体的にいくら?
- 5. オイルヒーターの電気代はエアコンなどと比べて高い?安い?
- 6. オイルヒーターの電気代を少しでも安く抑える使い方のコツ
- 7. 失敗しないオイルヒーターの選び方|電気代以外のチェックポイントも
- 8. オイルヒーターのおすすめ3選
- 9. オイルヒーターは電気代の高さがデメリット。賢く使うことが重要
- 8〜10畳用のエアコン:約5.3〜14.2円
- セラミックファンヒーター:約14.9〜32.4円
- ガスファンヒーター:約0.6〜0.8円
- 石油ファンヒーター:約0.2〜0.5円
- こたつ:約2.1〜5.4円 など
- ※1:デロンギ・ジャパン株式会社「デロンギ ヒーターの電気代は?」
https://oilheater.delonghi.co.jp/know/cost.html
1. オイルヒーターとはどんな暖房器具なのか?

そもそもオイルヒーターとはどういった暖房器具なのか、その特徴や仕組みといったところから簡単に解説しておこう。
難燃性のオイルを使用する暖房器具
オイルヒーターとは「難燃性のオイル」を使用する暖房器具のひとつである。温風が吹き出すエアコンやファンヒーターと違い、放熱によってその周囲を暖めることができる。電気の力でオイルを加熱し、高温のオイルを容器内に循環させて放熱する仕組みです。
風が発生せず、じんわり暖かくなるのが特徴
エアコンやファンヒーターなどと違い、オイルヒーターは使用中も風が発生せず、周囲がじんわり暖かくなっていくという特徴がある。暖房効率が悪いなどデメリットもあるが(詳しくは後述するが)、住宅の気密性や断熱性の向上により注目を集めている暖房器具でもある。
オイルヒーターの仕組み
オイルヒーターは電気を使ってフィン(放熱板)の内部に入ったオイルを加熱する。フィンが熱を発することで周囲の空気が暖かくなる仕組みだ。空気との温度差によって生まれる対流や、遠赤外線の熱線によって伝わる輻射熱で、柔らかな暖かさを実感できるのがその魅力である。
2. オイルヒーターのメリット|安全性や使い勝手は◎
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どの暖房器具にも一長一短がある。オイルヒーターも例外ではない。新たに暖房器具を取り入れる場合、やはりメリット・デメリットの双方を正しく把握しておくことが重要だ。まずはメリットから挙げていこう。
火を使わないためヤケドなどのリスクが低い
オイルヒーターは火を使用しないことから、火災や一酸化中毒といったリスクが低い。本体の表面温度も約60〜80℃程度なので、1〜2秒触る程度であればやけどの心配もないというのが特徴だ。安全性が高い暖房器具のため、ペットや小さな子どもご家庭でも使いやすい。
静音性に優れホコリなども舞い上げない
風が発生しないため、運転中の音も基本的には静かである。ホコリを舞い上げることがない点もメリットといえるだろう。また一般的な暖房器具と異なり空気が乾燥しないので、喉の痛みや肌のカサつきなどが心配な方にもおすすめだ。
柔らかい暖かさを感じられる
オイルヒーターの魅力は柔らかな暖かさだ。無風なので風が体に当たる心配もなく、自然な暖かさを感じられる。エアコンやファンヒーターの温風が苦手な方にもおすすめだ。
灯油を注ぐなどの手間が不要
オイルヒーターで使用されているオイルは酸化しないため、半永久的に同じものを使い続けることができる。石油ストーブのように灯油を注ぐ手間が不要な点も、オイルヒーターならではというメリットだろう。
本体のメンテナンスが楽
オイルヒーターは給油などの手間が不要なうえ、お手入れも乾いた布で本体を拭く程度である。メンテナンスに手がかからないことも大きなメリットだろう。
3. オイルヒーターのデメリット|電気代が高いだけではない

多くのメリットがある一方、デメリットも存在する。とくに買ってから後悔しないためにも、デメリットをきちんと知っておくことが大切だ。
ほかの暖房器具と比べて電気代が高い
ほかの暖房器具と比べた場合、オイルヒーターは電気代が高い傾向にあることがデメリットとして挙げられる。購入する際は、事前にかかる電気代の目安を確認しておくとよいだろう。
暖房効率が悪く暖まるまで時間がかかる
オイルヒーターは、放熱によって周囲をじんわり暖める。そのため広さにもよるが、部屋全体が暖まるまでに30分〜1時間程度かかることも多い。すぐに部屋を暖めたいという目的には合わないだろう。また換気すると暖房効果が薄まり、再び部屋全体が暖まるまで時間を要する。
気密性・断熱性が低い住宅には不向き
オイルヒーターに限ったことではないが、とりわけ空間をじんわり暖めるオイルヒーターは、気密性や断熱性が低い住宅に不向きな暖房器具といえる。もちろん使うことはできるが、暖まりにくいため電気代が高くつくおそれもあるなどおすすめはしない。
オイルがあるため廃棄方法が面倒なことも
オイルヒーターの本体にはオイルが入っている。廃棄する場合は自治体のルールをよく確認するといった注意が必要だ。なお自社製・他社製問わずオイルヒーターを回収しているメーカーもある。買ってから面倒な廃棄方法にうんざりすることのないよう、オイルヒーターの購入前に廃棄方法を調べておくと安心だ。
4. オイルヒーターのデメリット電気代、具体的にいくら?

オイルヒーターのデメリットでも目立つのが電気代の高さだ。具体的にいくらくらいなのかを見てみよう。
消費電力が分かればおおよその電気代も分かる
電気代は消費電力(W)が分かればおおよそ計算できる。電力会社との契約プランや使用状況などによって実際の電気代との差はどうしても発生してしまうが、目安くらいは把握しておくとよいだろう。なおオイルヒーターの消費電力は、メーカーの公式サイトやカタログ、パッケージ等で確認できるはずだ。
電気代の計算方法
電気代の計算式は「消費電力(W)÷1000×時間(h)×電気料金の単価(kWh)」。ただし消費電力が「kW」で表示されている場合、1000で割る必要はない。
オイルヒーターの電気代は1時間あたり16.2円
全国家庭電気製品公正取引協議会が定める電気料金の目安単価「27円」を採用し、消費電力が600Wのオイルヒーターを1時間使った場合の電気代を計算すると【600W÷1000×1h×27円=16.2円】となる。ただしメーカーや機種などさまざまな要因で増減することは断っておく。
1カ月つけっぱなしにすると1万円を超える
単純計算で、1時間あたり16.2円だった場合24時間×31日で約12053円。なんとオイルヒーターだけで電気代が1万円を超えてくる。
オイルヒーターの電気代は設定温度でも変わる
たとえば弱500W、中700W、強1200Wというオイルヒーターがあった場合、それぞれ1時間あたりの電気代を計算すると、弱13.5円、中18.9円、強32.4円になる。このように設定温度によっても電気代が違うので、使い分けるスキルも必要になるかもしれない。
デロンギ製オイルヒーターの電気代の目安
デロンギ・ジャパン株式会社のホームページ(※1)では、デロンギ社製オイルヒーターの電気代が掲載されている。6畳用1時間あたりの電気代は通常運転で約8.8円、エコ運転で約7.8円だ。8畳用なら通常運転で約12.7円、エコ運転で約10.6円となる。また10畳用は同約18.2円、同約14円である。
5. オイルヒーターの電気代はエアコンなどと比べて高い?安い?

オイルヒーター単体の電気代を見てきたが、ほかの暖房器具と比較してみないとどれだけ高いのか、あるいは思ったほど高くないのかといったところが見えにくい。エアコンやセラミックファンヒーターなどの暖房器具と比較してみよう。
エアコンなどいろいろな暖房器具の電気代の目安
暖房器具の電気代は、契約している電力会社のプラン、暖房器具メーカーや機種、スペックや使用状況などさまざまな要因で異なる。そのため目安になってしまうが、各暖房器具の1時間あたりの電気代の目安はこのとおりだ。
なおセラミックファンヒーターは、場合によってはオイルヒーターよりも1時間あたりの電気代が高くなる。ガスファンヒーターと石油ファンヒーターは電気代が非常に安く思えるが、ガス代や灯油代が別途かかる。やはり一長一短があるのだ。
オイルヒーターの電気代はほかの暖房器具と比べて高い?安い?
畳数や設定温度、気温などさまざまな要因に左右されるが、エアコンと比較すると「やや高い」といえるだろう。セラミックファンヒーター以外の暖房器具と比べても、電気代は高めと考えてよい。
ただし暖房器具によって適用畳数や用途が異なるため、電気代のみで選ばず目的によって上手に使い分けることが大切だ。電気代が高いというデメリットを把握したうえで使い方を工夫すれば、一気に跳ね上がってしまうようなことはないだろう。
6. オイルヒーターの電気代を少しでも安く抑える使い方のコツ

確かに電気代が高めのオイルヒーターだが、使い方を工夫すれば電気代を抑えることは可能だ。賢く使うための4つのコツを解説するので、できるところから実践しよう。
窓際や壁際に設置する
オイルヒーターは、部屋の中心ではなく冷気が侵入しやすい窓際に設置するのがおすすめだ。窓際に置くことにより冷気が入る量が低減し、効率的に部屋全体を暖められる。窓に断熱シートを貼ったり、断熱効果のあるカーテンに交換したりするとより効果的だ。
設定温度を見直す
シンプルに、設定温度を下げることで消費電力を抑えられる。オイルヒーターは放射熱で空間を暖めるため、設定温度よりも体感温度のほうが高くなりやすい。必要以上に上げているケースもあるのでこまめに設定温度を見直し、必要に応じて寒さを感じない程度にまで下げよう。
ほかの暖房器具を併用する
オイルヒーターは部屋全体を暖めるまでに時間がかかる。部屋を早く暖めたいからと最大出力で使用すると、その分無駄な電気代がかかってしまう。その点、短時間で部屋全体を暖められるエアコンなどと併用すればトータルの消費電力=電気代を抑えることにつながるだろう。サーキュレーターで暖かい空気を循環させるといった方法もおすすめだ。
密閉性が高い部屋でのみ使う
住宅そのものの問題点なので「使い方」というテーマからは外れるが、オイルヒーターで暖めた空気は換気すると逃げてしまう。気密性や断熱性が低い部屋では、たとえ換気せずとも暖かい空気が隙間から逃げることがあるため注意しよう。オイルヒーターは気密性や断熱性が高く、空気の出入りが少ない部屋での使用に適しているといえる。
7. 失敗しないオイルヒーターの選び方|電気代以外のチェックポイントも

各メーカーからさまざまなオイルヒーターが発売されている。失敗しないためにも、十分比較したうえで決定しよう。とくに選び方でポイントとなるのは次の5つだ。
適用畳数
当然ながら、オイルヒーターの適用畳数よりも広い部屋で使用していると十分に暖まらない。木造6畳でもコンクリート造8畳というように、構造でも適用畳数が異なるのできちんと確認しておこう。使用する部屋よりも適用畳数が広いオイルヒーターを選ぶと十分な効果が期待できる。
安全性
小さな子どもやペットがいる家庭はとくに安全性が重要だ。本体の表面温度が高いオイルヒーターには注意しよう。60℃を目安にすれば、触れても直ちにやけどするといった心配が少ない。転倒時の自動オフ機能やチャイルドロック機能があれば、イタズラや事故を防げる確率も高くなるだろう。
暖房能力
オイルヒーターの暖房能力は「形状」で異なる。サイズが大きめのX型のオイルヒーターは、平均温度60〜70℃ほどで暖房効率がよいのが特徴だ。小さいサイズが多いL型は平均温度50〜60℃なので、やや暖まりにくいかもしれない。
またフィンの数が多いほど暖房能力は高いが、本体のサイズも大きくなる。暖房能力とサイズのバランスをチェックして総合的に選ぶのがポイントだ。
消費電力(電気代)
電気代という点では、消費電力が低いオイルヒーターのほうが安い。ただし暖房能力も低くなるため覚えておこう。暖房能力が十分あり、設定温度を細かく調節できるタイプなどを選ぶのがおすすめだ。消費電力を抑えるECOモード、温度の自動調整など、節電・省エネに寄与する機能を搭載したオイルヒーターもある。
そのほかの機能
タイマーがあればオン・オフを自動で切り替えられる。帰宅前に部屋を暖めておくといった使い方もできるし、就寝時に消えるよう設定もできる。サーモスタットや温度過昇防止装置など、そのオイルヒーターに搭載された各種機能にも着目しよう。
8. オイルヒーターのおすすめ3選

おすすめのオイルヒーターを3つ厳選したので、特徴などを紹介する。電気代の目安は、先述のように消費電力で決まる。本稿で紹介する商品はいずれも500W・700W・1200Wの3段階で、700W(中)で運転した場合の1時間あたりの電気代は約18.9円が目安となる。
デロンギ・ジャパン「アミカルド オイルヒーター」
適用畳数は8〜10畳。ECO運転モードを搭載しており、使用した場合は電気代を最大約20%抑えられるといった特徴がある。オン・オフタイマーも備えており、移動に便利なキャスターもついている。
アイリスオーヤマ「ウェーブ型オイルヒーター メカ式」
適用畳数は、50mmの断熱材ありで6〜8畳。部屋に馴染む波型フィンを採用しているのが特徴だ。取っ手とキャスター付きで移動しやすい。転倒時の自動オフや過熱防止といった機能も魅力だ。
スリーアップ「Hidamari マイコン式 オイルヒーター(リモコン付)」
適用畳数は8畳。1〜23時間まで細かく設定できるオン・オフタイマーや、ECOモードなど搭載されている機能も充実している。リモコン付きなので、少々広めの部屋でも離れた場所から操作できる。
9. オイルヒーターは電気代の高さがデメリット。賢く使うことが重要

オイルヒーターには、乾燥しにくくやけどのリスクが低いといったメリットがある。温度差による対流や、輻射熱による柔らかな暖かさも魅力だろう。静音性が高くメンテナンスが楽なのも嬉しいポイントだ。
一方でオイルヒーターには、電気代が高く暖房効率が悪いなどのデメリットがある。気密性や断熱性が高い部屋で使用する、設定温度を見直すなど、消費電力を抑える工夫が必要になってくるだろう。メリットとデメリット双方を把握し、賢い使い方をしてほしい。
結論
オイルヒーターの電気代を抑えるには「エアコンで部屋全体を暖めてから、部分的に暖める目的で使用する」など、さまざまな工夫を取り入れるとよい。本稿ではオイルヒーターの電気代を抑える使い方や選び方、おすすめ3選などもお伝えしてきたので、ぜひそちらもチェックしてみてほしい。
(参考文献)