目次
- 1. 万年床とは?どんな意味や状態を指す言葉?
- 2. 万年床のリスクはダニやカビが発生しやすいだけではない
- 3. 今日からできる万年床のダニ対策とカビ対策
- 4. 万年床はリスクがたくさん!できるところから対策していこう
1. 万年床とは?どんな意味や状態を指す言葉?

まずは基礎知識として万年床の意味を紹介する。また、万年床になってしまう理由や、知っておきたい知識をまとめた。
敷布団やマットレスが「一年中敷きっぱなし」の状態を例えた言い方
高くそびえ立つ山の中には、一年中雪が溶けずに残っているところがある。その雪を「万年雪」と呼ぶ。転じて、万年床とは「一年中敷きっぱなしにしている布団など」を指すわけだ。
万年は非常に長い期間、床は寝床を意味している。布団を収納せず、畳やフローリングに敷きっぱなしにしていれば万年床といえるだろう。
万年床になってしまう理由は人それぞれ
毎日布団をたたんだり上げ下げしたりするのは面倒だ。冬はとくに掛け布団の数が多く、手間がかかる作業になる。仕事や家事で忙しい方だと、布団を敷きっぱなしにしがちかもしれない。好きなときにすぐ横になれるという理由で、万年床にしている方も多い。
また、布団はかさばりやすく収納にはスペースをとる。押入れやクローゼットがない、収納場所が不足しているなどの事情で、万年床にしているケースもあるだろう。このように万年床になる理由はご家庭によってさまざまだ。
床や畳はNG、ベッドはOKというのは誤解
一般的に万年床は床や畳の上に直接布団(マットレス)を敷いたまま、という状態を指すことが多い。通気性がほとんどないため湿気がたまりやすく、ベタっとした布団になるのが万年床の特徴だ。一方のベッドは、床や畳との間に空間ができるため、空気の通り道はある程度作られている。そのため、ベッドの上に布団などを敷きっぱなしにしていても万年床とはいわないことがある。
だが、それは誤解だ。たとえベッドの上だとしても、布団を敷きっぱなしにしていれば湿気がたまるし、ベタッとした布団にもなってしまう。床や畳、ベッドなどを問わず、布団(マットレス)を敷きっぱなしにしていれば、それはもう万年床なのだ。ベッドだから万年床ではないと思っていた方がいたら今日から自覚してほしい。
2. 万年床のリスクはダニやカビが発生しやすいだけではない

万年床のリスクといえば、ダニやカビが代表的だ。しかし、それ以外にもさまざまなリスクが考えられるので、一緒に確認しておこう。
万年床にダニやカビが発生しやすい理由
万年床にダニやカビが発生する原因は主に湿気だ。人は寝ているときに200mlほどの汗をかくとされており、布団は湿気を吸った状態になる。万年床にしていると、その湿気が布団と床の間に蓄積されてしまうのだ。さらに、寒い冬は布団と床の温度差で結露が発生することもある。
カビやダニが繁殖するには、湿気と温度、それからエサが必要だ。体温で暖かくなり、皮脂や髪の毛などといったエサが豊富な布団は、まさに絶好の繁殖場所といえる。そのうえ万年床で湿気が過剰にたまってしまえば、ダニやカビの発生を防ぐのは難しいだろう。
万年床のダニとは?
「万年床に寝ているけど、とくにダニに咬まれたようなあとやかゆみもない」という方も注意したほうがいいだろう。布団によく生息するダニは「ヒョウダニ(チリダニ)」と呼ばれるダニで、人を咬む(刺す)ことはない。
その代わり、フンや死骸などがアレルギー性疾患の原因となる。つまり、ダニに咬まれたようなあとはなくても、睡眠中に吸い込んでいる可能性があるというわけだ。死骸やフンが体内に蓄積すれば、ある日突然アレルギーを発症するかもしれない。
万年床のカビとは?
同じように、万年床のカビもアレルギー性疾患の原因になる。とくに黒カビはやっかいだ。胞子を吸い込めば呼吸器などに悪影響を及ぼすことがある。掃除機をかけたり除菌作用のある洗剤を使って拭き取ったりすれば、ある程度「黒いシミ」のようなものは取り除けるかもしれない。
だが、胞子は布団の中にも存在する。胞子さえ残っていればまたすぐ再発してしまうため、完全に取り除くことが困難になる。再発を繰り返すと布団が傷んでしまうので、カビを発生させないための対策が必要だ。
建物自体に悪影響が及ぶ
万年床が長く続くと、床や畳などにもカビが発生してしまうことがある。少し極端に感じるかもしれないが、リスクなので覚えておいてほしい。とくに賃貸物件にお住まいの方で万年床にしており、カビが床に生えてしまったとすると、清掃などに費用がかかってしまうなど、退去時のトラブルにもつながりかねない。万年床は百害あって一利なし、といってもいいだろう。
睡眠の質が低下するおそれもある
湿気を吸い込んだ万年床はペチャンコになりやすい。厚みと弾力が失われると、臀部や肩甲骨などに圧力がかかるので注意。とくにフローリングの場合、床の硬さが伝わりやすく体を痛める可能性がある。
眠れなかったり、睡眠の質が低下したりといったことも考えられるだろう。睡眠の質が低下すれば脳や体の回復にも支障が出る。睡眠時間が十分なのに疲れがとれないなら、万年床が原因かもしれない。
3. 今日からできる万年床のダニ対策とカビ対策

万年床のダニやカビを予防すれば、健康被害を防ぐことにもつながるだろう。今日からできる9つの対策を紹介する。
起きたら布団を上げる(たたむ)
朝起きたら布団を上げて万年床になるのを避けよう。ただし、起きた直後に布団をすぐ収納すると、押入れやクローゼットに湿気を持ち込むことになるので注意。少し時間を置いてから布団をあげるのがポイントだ。
また、収納場所がない場合は、たたんで床の表面に風を通す湿気対策を。掛け布団を椅子などにかけておくと、こもった湿気を飛ばしやすくなる。
布団はこまめに干す
布団はこまめに干してしっかりと乾燥させよう。天気がよい日を選んで天日干しすればフカフカになる。夏なら1週間に1回の頻度で片面1時間、冬なら2~3週間に1回で片面2時間くらいが目安だ。ダニの死骸を潰したり、中綿を傷めたりするので、布団叩きで叩いてはいけない。なお、シーツやカバーは1週間に1回の頻度で洗濯しよう。
すのこを敷く
布団を収納する場所がないなら「すのこ」を活用してほしい。布団の下に置けば床の上に空気が通るので、湿気がたまりにくくなる。面倒な上げ下げが不要で、万年床のままでもカビやダニが発生しにくい。二つ折りにできるタイプのすのこなら、そのまま干すことができるのでおすすめだ。
除湿シートを敷く
湿気を吸い取る効果がある除湿シートを使用する。布団と床の間やベッドパッドの下に敷くだけでよく、干せば繰り返し使えるのがメリットだ。洗えるタイプの除湿シートを選べば清潔に保ちやすい。
布団クリーナーなどでお手入れをする
布団専用の布団クリーナーを使えば、ダニやカビなどのハウスダストを取り除ける。ダニ対策に特化した機能を備えた機種もあるので、ぜひチェックしてほしい。
また、一般的な掃除機に布団用のヘッドを取り付けて吸い込めば、ダニの死骸はフン、ホコリなどを取り除ける。布団クリーナーがないご家庭で試してほしい。
布団乾燥機を使って湿気を飛ばす
布団乾燥機を活用して湿気を取り除くこともできる。天日干しが難しい冬や梅雨でも使用できるのがメリットだ。ダニは50~60度で死滅するとされているため、駆除にも効果的。ただし、駆除したダニの死骸は残るので、布団乾燥機を使用したあと掃除機で吸い取ることが重要だ。
寝室の空気をこまめに入れ替える
寝室を換気すれば部屋の湿度を下げられる。万年床が乾燥しやすい環境を整えることが重要だ。サーキュレーターや扇風機で風を送って乾燥させてもよい。一方で、湿気が高い時期や雨の日に換気をすると逆効果になるので、エアコンのドライ機能や除湿機を活用しよう。
思い切ってベッドを購入する手もある
布団と比較してベッドのマットは湿気がたまりにくい。布団からベッドに変えるのも選択肢のひとつだ。ベッドなら毎日上げ下げしなくても、カビやダニは発生しにくいだろう。
ただし、上記でも紹介した通り、ベッドでもマットレスを敷きっぱなしにすれば万年床になる。定期的に日光に当てるなどの対策が必要だ。除湿シートや布団クリーナー、布団乾燥機を使えば清潔に保ちやすい。
布団を買い替えることも検討しよう
カビの胞子などは布団の中に入り込んでいるため、根絶が難しい。すでにカビが発生している場合は、まず布団の買い替えを検討しよう。カビ対策には抗菌タイプや丸洗いできるタイプの布団がおすすめだ。
4. 万年床はリスクがたくさん!できるところから対策していこう

上げ下げが面倒、収納する場所がないといった理由で、万年床にしている方もいるだろう。万年床にはカビやダニの発生、睡眠の質の低下などのリスクがある。健康に悪影響なので早めに対策をしてほしい。
万年床のダニやカビ対策には、湿気をためないことが重要だ。収納場所がないケースでも、たたんだり椅子にかけたりすることで湿気を飛ばせる。天日干しするのはもちろん、すのこや除湿シート、布団乾燥機を取り入れるのもおすすめだ。
結論
万年床はカビやダニの温床になりやすい。アレルギー性疾患の原因にもなるので、日頃からの対策を心がけよう。布団を乾燥させたり、清潔に保ったりすることで、ダニやカビは発生しにくくなる。布団はこまめに干して、シーツなどの寝具も定期的に洗濯しよう。すのこや布団クリーナー、布団乾燥機なども便利なので、対策に役立ててほしい。ベッドは万年床にしてもカビやダニが発生しにくいので、買い替えるのも選択肢のひとつだ。