目次
1. 自転車のブレーキを調整することの重要性

自転車のブレーキが正しく作動しない、利きにくい状態で走ることのリスクを知っておこう。また、ブレーキを調整するためには、構造や仕組みについて理解することも重要だ。
自転車のブレーキの不具合はさまざまなトラブルのもとになる
自転車のブレーキの不具合は、即・事故などにつながる可能性が高い。自分自身はもちろん、歩行者などに突っ込んでしまえばさらに被害が大きくなるだろう。
ブレーキは、人命に関わるいわば自転車でもっとも大切なパーツであり、調整を欠かしてはいけないパーツなのである。これを再認識してほしい。
ブレーキは、人命に関わるいわば自転車でもっとも大切なパーツであり、調整を欠かしてはいけないパーツなのである。これを再認識してほしい。
自転車のブレーキを調整するには構造を知ることも大切
自転車のブレーキは、タイヤに直接当たるゴム部分の「ブレーキシュー」、そのシューを固定する金属部分の「アーム」、ハンドル部分のブレーキレバーにつながる「ワイヤー」、そして実際にドライバーが握る「ブレーキレバー」で構成されている。
自転車のブレーキ調整とは、これらがスムーズに動くように調整することを言う。
自転車のブレーキ調整とは、これらがスムーズに動くように調整することを言う。
2. 自転車のブレーキレバーへの注油と遊びの調整方法

ここから、自転車のブレーキの調整方法を解説していく。ただし、自転車によって調整方法や点検・交換方法が異なるため、あくまでも一例となることは頭に入れておいてほしい。ではまず、ブレーキレバーの調整から見ていこう。
ブレーキレバーに注油する方法
ブレーキレバーを握ったとき、動きが固いなどと感じたら、注油をして様子を見よう。注油するオイルは自転車専用のものがあればそれを、なければ100均などでも手に入る機械油を使おう。ただしスプレーではなく、液体のものをおすすめする。ブレーキレバーを何度か握ると、可動する部分やこすれ合っている部分がわかるはずだ。そのすべてに注油し、再度ブレーキレバーを何度か握ると動きがよくなる。
注油をして調整する際、タイヤやシューに油がかかってしまうと、ブレーキが利かなくなるおそれがあるので注意してほしい。また注油のしすぎは逆効果なので「数滴」と覚えておき、解消されなければ自転車店に相談しよう。
注油をして調整する際、タイヤやシューに油がかかってしまうと、ブレーキが利かなくなるおそれがあるので注意してほしい。また注油のしすぎは逆効果なので「数滴」と覚えておき、解消されなければ自転車店に相談しよう。
ブレーキレバーの遊びを調整する方法
ブレーキをかけていない状態からレバーを引いていくと、重みを感じるところがあるはずだ。その引き代を、ブレーキレバーの遊びという。ブレーキレバーの遊びは、15mmが目安となる。
遊びを調整するには、アジャストボルトをスパナで固定しながら、もうひとつのスパナでロックナットを左回転させてゆるめよう。ブレーキの遊びや利き具合を確認しながら、アジャストボルトを回して調整していく。左回転させるとワイヤーが張り、遊びが少なくなる。右回転するとワイヤーがゆるみ、遊びが大きくなる。ブレーキレバーを握った感覚と、実際に自転車に乗ってブレーキをかける感覚は異なるため、必ず試乗して利きを確認しよう。
遊びを調整するには、アジャストボルトをスパナで固定しながら、もうひとつのスパナでロックナットを左回転させてゆるめよう。ブレーキの遊びや利き具合を確認しながら、アジャストボルトを回して調整していく。左回転させるとワイヤーが張り、遊びが少なくなる。右回転するとワイヤーがゆるみ、遊びが大きくなる。ブレーキレバーを握った感覚と、実際に自転車に乗ってブレーキをかける感覚は異なるため、必ず試乗して利きを確認しよう。
3. 自転車のブレーキワイヤーの点検と調整方法

続いて、自転車のブレーキワイヤーの点検と調整方法を解説する。
ブレーキワイヤーの点検方法
自転車のブレーキワイヤーは、シルバーの「インナーワイヤー」と、そのインナーワイヤーを保護する「アウターワイヤー」という二重構造になっている。
アウターに破損などが見られないかをチェックするとともに、インナーにも錆や破損、切れなどが見られないかチェックしよう。アウターワイヤーが破損していると、内部に水が染み込み錆が生じ、動きが悪くなる。インナーワイヤーが破損するなど、ダメージを受けていると、力がかかった際に切れやすくなってしまう。少しでも異常があれば、こういった不具合につながる可能性がある。できるだけ早い段階で自転車店に相談することをおすすめしたい。
アウターに破損などが見られないかをチェックするとともに、インナーにも錆や破損、切れなどが見られないかチェックしよう。アウターワイヤーが破損していると、内部に水が染み込み錆が生じ、動きが悪くなる。インナーワイヤーが破損するなど、ダメージを受けていると、力がかかった際に切れやすくなってしまう。少しでも異常があれば、こういった不具合につながる可能性がある。できるだけ早い段階で自転車店に相談することをおすすめしたい。
ブレーキワイヤーの調整方法(前輪)
まずは自転車のブレーキワイヤーを止めているナットを、スパナで緩めよう。レバーからアウターワイヤーが外れないよう注意しながら、ワイヤーを張って仮締めを行う。ブレーキレバーを握り、自分に合った位置になるよう調整する。調整ができたら本締めをし、ブレーキがしっかりと利くかどうか、左右にあるシューとリムの隙間が均等かどうかをチェックしておこう。
ブレーキワイヤーの調整方法(後輪)
スパナでブレーキワイヤーを固定しているナットを緩める。このとき、ナットの下にあるレバーを手前に引いておこう。ブレーキレバーからアウターワイヤーが外れないよう注意しながら、ワイヤーを後ろに引っ張り仮締めをする。ブレーキレバーを握って自分に合った位置に調整ができたら本締めをし、ブレーキの利きを確認しよう。
4. 自転車のブレーキシューの点検と交換方法

続いて、自転車のブレーキシューの点検と交換方法を解説する。
ブレーキシューの点検方法
- 金属片や砂、泥、油などが付着していないかをチェックする
- タイヤに当たる部分の溝が擦り減っていないかをチェックする
シューはこれらをチェックしよう。金属片や砂、泥などはブレーキの利きを悪くする要因になる。もちろん、お伝えしたように油も要注意だ。溝に擦り減りが見られたら、自転車店に持ち込んで交換してもらおう。
ブレーキシューの交換方法(前輪)
スパナで、自転車のブレーキシューを止めているナットをはずす。リムの接地面に合わせて新しいシューを持ち、ナットを締める。
ブレーキシューの交換方法(後輪)
後ろのブレーキは本来、ほとんど交換の必要がないパーツだ。音鳴りは高確率で出るが、故障しているわけではない。この音鳴りを解消するためには交換が必要になるが、自力では難しいため、自転車店に依頼するのがおすすめだ。
5. 自転車のブレーキアームの点検と調整方法

続いて、自転車のブレーキアームの点検と調整方法を解説していく。
ブレーキアームの点検方法
- 曲がりがないかをチェックする
- ブレーキレバーを握ったり離したりした際、動きがスムーズかをチェックする
自転車のブレーキアームに曲がりが見られたら交換をおすすめする。正常な形状は、ネットで画像検索をすればすぐに見つかるので比べてみてほしい。動きがスムーズでないと感じたときは、可動する箇所に数滴、注油する。解消しなければ自転車店に相談しよう。
ブレーキアームの調整方法
自転車のフロントブレーキを止めているナットが2つある。その前側のナットを、スパナではずす。メガネレンチを使い、ブレーキアームを調整していく。締めるとブレーキアームのグラつきが減るが、締めすぎるとブレーキが動きにくくなるため注意しよう。ちょうどよい場所を見つけたら、奥のナットをスパナで固定しながら、最初にはずした前側のナットを締める。ブレーキレバーを握ってみて、もし重いようであればもう一度調整しなおそう。
6. 自転車のブレーキの利き具合はネジでも調整できる

ここまで自転車のブレーキの調整について細かく解説してきたが、実はドライバー1本でできる、応急処置的なブレーキの調整方法もある。
ブレーキレバーのネジでブレーキの利き具合を調整する方法
- ブレーキレバー側のネジを緩める
- 利きを「強く」したいときはワイヤー側のネジを「緩める」
- 利きを「弱く」したいときはワイヤー側のネジを「締める」
【ワイヤーとブレーキレバーの結合部分】を見ると、ネジが二重になって付いているのがおわかりいただけるはずだ。このうち、ブレーキの利き具合を調整する際に動かすのが【ワイヤー寄りにあるネジ】になる。
まずは「1」の手順に沿って【ブレーキレバー寄りにあるネジ】を緩めてから【ワイヤー寄りのネジ】を緩める、締めるなどして利き具合を調整してほしい。
最後に、タイヤとシューが触れ合っていないか確認しておこう。おおよそ2mmほど間隔があればよいとされるが、もし触れ合っているときはネジを回して調整しよう。
まずは「1」の手順に沿って【ブレーキレバー寄りにあるネジ】を緩めてから【ワイヤー寄りのネジ】を緩める、締めるなどして利き具合を調整してほしい。
最後に、タイヤとシューが触れ合っていないか確認しておこう。おおよそ2mmほど間隔があればよいとされるが、もし触れ合っているときはネジを回して調整しよう。
それ以外の調整や自分では不安なときは自転車店へ持ち込もう
ネット上には、シューの交換方法などが公開されているが、冒頭でもお伝えしたように自転車のブレーキの不具合は大事故につながりかねない。うっかり取り付けミスなどをしてしまうと、ブレーキとしての機能を果たせないことも考えられる。上記で紹介した以外の自転車のブレーキ調整や自分で行うのが不安な場合は、必ず販売店などへお願いしてほしい。
7. 自転車のVブレーキの調整方法

自転車のブレーキレバーを5〜6回素早く握ったり離したりしながら、左右のブレーキアームの動きをチェックしてみよう。片方しか動かない場合や、同時に動いていない場合は、Vブレーキの調整が必要だ。
Vブレーキの調整方法
Vブレーキを固定しているボルトの隣に、プラスのボルトがあるはずだ。先ほどの方法で確認した動きの悪い方のボルトを、プラスドライバーで1/4程度回転させて締める。同じ方法で左右の動きを確認し、問題がなければ完了だ。まだ片方しか動かない、同時に動いていないようであれば、調整しなおそう。
Vブレーキワイヤーの調整方法
ブレーキレバーにワイヤーを調節するためのアジャスターが付いていれば、アジャスターを反時計回りに回して調整する。アジャスターがない場合は、六角レンチを使って調整しよう。Vブレーキにつながっているワイヤーを固定しているボルトを、六角レンチで緩める。アウターワイヤーが外れないよう注意しながら、緩めたワイヤーを引っ張り、ボルトで締めよう。ブレーキレバーを握り、自分に合った位置にきていれば完了だ。実際に自転車に試乗して、ブレーキの利きも確認しておこう。
Vブレーキシューの交換方法
自転車のVブレーキシューを止めているナットがあるため、六角レンチを使用して緩める。新しいVブレーキシューをセットして、手でナットを仮組みしておく。ブレーキレバーを握り、シューがリムに平行に当たるかどうかを確認し、問題なければ六角レンチでナットを締める。ブレーキレバーを強めに握っておくと、ナットが締めやすくなるのでおすすめだ。再度ブレーキレバーを握り、シューの当たりを確認する。試乗して、ブレーキの利きも確認しよう。
8. 自転車のブレーキの調整をお店に依頼したときの料金目安

自分で自転車のブレーキを調整する方法について解説してきたが、自転車店に依頼したいと考えている方もいるだろう。そこで気になるのが料金だ。ブレーキ調整をお店に依頼した場合の料金の目安を見ていこう。
自転車のブレーキ調整の料金目安
自転車店によって多少前後するが、ブレーキ調整の値段はおおよそ200〜700円程度が相場となる。パーツの交換が発生した場合でも300〜2,500円程度と、決して高額ではない。安全のためにも、ブレーキ調整は自転車店にお願いすることをおすすめしたい。
9. 自転車のブレーキの調整は安全運転への第一歩

自転車のブレーキの調整は、自分だけではなく、周りの人の安全のためにも欠かせない。ブレーキに問題があると自転車事故につながるため、違和感がある場合はもちろん、定期的に点検しておこう。自分でできないものや、難しいと感じたときは、自転車店でプロに依頼すると安心だ。
結論
自転車のブレーキの調整について解説してきた。自分でできる作業が多いため、道具が揃っているなら挑戦してみるとよいだろう。ただし、ブレーキの状態によっては大きな自転車事故につながるおそれもあるため、可能な限りプロに依頼するのがおすすめだ。安全のためにも、ブレーキの調整はしっかりと行ってほしい。