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浸水とは?冠水や氾濫などとの違い、ご家庭の浸水対策まで徹底解説!

浸水とは?冠水や氾濫などとの違い、ご家庭の浸水対策まで徹底解説!

投稿者:ライター 吉田梨紗 (よしだりさ)

鉛筆アイコン 2021年8月 9日

ニュースやラジオで浸水という言葉を聞く機会は多い。しかし、「浸水とは何か」といった質問に、正確な答えを出せる方は少ないだろう。この記事では浸水に関する基礎知識をまとめた。冠水や氾濫、水没、高潮、水没、洪水の詳しい意味や、浸水との違いを解説する。浸水想定区域の調べ方やご家庭の浸水対策も紹介するので、防災のために役立ててほしい。

  

1. 浸水とは?

浸水とはどういう意味の言葉なのか、基本的な知識を紹介する。床上浸水と床下浸水の違いやゲリラ豪雨による浸水など、知っておきたいポイントをまとめた。

浸水とは

浸水とは、何かが水に浸かることを表す言葉だ。たとえば、大雨や洪水といった災害で建物が水に浸かっている場合に、浸水という言葉を使用する。水が入り込むといった意味もあり、海難事故によって船の中に水が入ってきたという意味でも使われる。「津波で家が浸水した」「船内への浸水が認められる」といった使い方が正しい。

床上浸水と床下浸水がある

「床上浸水」や「床下浸水」といった言葉を、聞いたことがある方は多いだろう。床上浸水とは住居の床より上への浸水であり、床下浸水は床より下への浸水だ。

一般的な家屋の場合、浸水深が50cm未満だと床下浸水、50cm以上が床上浸水とされる。「災害に係る住家の被害認定(※1)」では、浸水深によって「全壊」や「半壊」の判定を行う。防災の基礎知識として覚えておきたい。

ゲリラ豪雨による浸水被害が多発している

ゲリラ豪雨とは局所的に降る大雨だ。近年ではこのゲリラ豪雨による浸水被害が多発している。主に下水道や排水路から水があふれる「内水氾濫」によって、発生するケースが多い。ゲリラ豪雨から内水氾濫が発生するまでの時間が短く、河川からはなれた場所でも浸水するといった特徴があるので、注意が必要だ(※2)。

2. 浸水と冠水の違いとは?

浸水と冠水は全く違った意味を持つ言葉だ。冠水とはどういった意味なのかを解説しつつ、浸水との違いを紹介しよう。

冠水とは

冠水とは田畑や作物、道路などの広範囲が水に浸かることを表わす。河川の氾濫や高潮が、水がない土地に流れ込む状況と考えればわかりやすいだろう。「洪水によって道路が冠水した」「冠水によって田畑が被害をうけた」といった使い方が正しい。災害時には冠水した土地に近づかないようにしよう。

浸水と冠水の違い

浸水は建物、冠水の場合は田畑や道路というように、水に浸った対象が異なる。「住居が冠水した」「道路が浸水した」とは言わないので注意しよう。ただし、水に沈んで家屋がほとんど見えなくなった場合は、冠水といった言葉を使うことがある。冠水は水に沈む、浸水は水が中に入り込むとイメージすればわかりやすい。

3. 浸水と氾濫の違いは?

では浸水と氾濫に違いはあるのだろうか。氾濫の意味と「外水氾濫」「内水氾濫」の違いを説明する。

氾濫とは

氾濫とは河川から水があふれ出すことだ。大雨で川の水位が上がり、堤防の高さを超えたり壊れたりすることで発生する。大雨が降っている地域だけではなく、上流で雨が降ったことで氾濫することがあるので注意が必要だ。「大雨で河川の水位が上がって氾濫した」といった使い方が一般的だが、よくないものが出回るといった意味で「情報が氾濫している」というように使うことがある。

内水氾濫と外水氾濫がある

氾濫は内水氾濫と外水氾濫に分かれる。上記で紹介した河川から水があふれる現象は、外水氾濫と呼ばれるものだ。内水氾濫の場合は、大雨が降って下水路などから排水しきれなくなり、水があふれることで発生する。外水氾濫と違って河川がない地域でも氾濫しやすい。

浸水と氾濫の違い

氾濫は水があふれることを指しており、浸水は水に浸かることを表す。たとえば河川が氾濫して、その水で建物が浸かれば浸水になる。「河川の氾濫により多くの家屋が浸水した」といった使い方が適切だ。

4. 浸水と高潮の違いは?

高潮はテレビやラジオなどで聞くことが多い言葉だろう。浸水とは大きな違いがあるので、確認してほしい。

高潮とは

低気圧や台風、強風などの影響により海面が上昇することを高潮という。「台風に伴う高潮に警戒すべき」「高潮による被害が想定される地域」といった使い方ができる。海に流れる河川の河口や湾の周辺では、高潮によって水があふれることがあるので注意が必要だ。

浸水と高潮の違い

高潮は海面が上昇することで、浸水は水に浸かることなので意味は異なる。ただし、高潮で海水があふれた場合、周辺の建物で浸水が発生する可能性が高い。つまり「高潮により沿岸部の建物が浸水した」となる。

5. 浸水と水没の違いとは?

水没とはどういった言葉なのか詳しく解説する。浸水とはどう違うのか、チェックしていこう。

水没とは

水没とは地上にあった物が水中に沈むことだ。「ダム建設によって水没した集落」「冠水によって車が水没した」といった使い方が一般的だろう。

浸水や冠水、洪水と違い、災害以外のシーンでも広く活用される。家電やスマホを水に落としてしまった場合も水没で問題ない。「浸水により冷蔵庫や洗濯機が水没した」というように使うこともできるだろう。

浸水と水没の違い

浸水は建物に水が浸かった状態なので、浸かったのが一部分でも使用される。水没の場合は浸水とは違い、水の中に完全に沈んで見えなくなった状態を表す。

たとえば、建物の見える状態なら浸水だが、その後に全て沈んでしまえば水没と考えてよいだろう。「雨量が増しているため、浸水していた家屋が水没する危険性がある」といった使い方ができる。

6. 浸水と洪水の違いとは?

ニュースやラジオで「大雨洪水警報」といった言葉を聞いたことがある方は多いだろう。洪水とは何か、浸水との違いと併せて紹介する。

洪水とは

洪水とは大雨や雪解けによって河川の水量や水位が急増することを表わす。河川から水が氾濫した状況と合わせて、洪水といわれることが多い。また「人の洪水」「情報の洪水」など、物の量が膨大なことを表す言葉でもある。

「洪水による被害が甚大だ」「豪雨による洪水被害が懸念される」といった使い方が考えられだろう。大雨警戒レベル(※3)では、レベル2のときに「大雨洪水注意報」が、レベル3では「大雨洪水警報」といった情報が発信される。

浸水と洪水の違い

洪水とは河川の水が急増すること、浸水とは建物が水に浸かることを表している。浸水や冠水は、洪水によって引き起こされる現象と考えてよいだろう。「洪水によって河川が氾濫し、多くの家屋が浸水した」といった使い方が適切だ。2つの言葉には明確な違いがあるので、使い分けには注意してほしい。

7. 浸水想定区域の調べ方

浸水対策をするならまず浸水想定区域を確認しよう。基本的な情報を確認しておくことで、水害のとき適切な行動をとりやすくなる。

自治体が公開しているハザードマップを確認する

自治体では被害の恐れのある地域を、ハザードマップで公開している。浸水想定区域を確認することで、危険性が高い地域がわかるだろう。自宅や職場、お子さんの学校を確認して、いざというときの対策として役立ててほしい。

全国各地のリスクが分かる「ハザードマップポータルサイト」も便利

国土交通省が運営する「ハザードマップポータル(※4)サイト」なら、洪水や津波での浸水が想定される地域の確認が可能だ。土砂災害や道路防災情報なども、地図上で確認できる。各市町村が作成したハザードマップも探せるようになっているため、上手に活用しよう。

「浸水シミュレーション検索システム」は実際の被害をイメージできる

国土交通省が運営する「地点別浸水シミュレーション検索システム」は、電子地図上に浸水想定区域図を表示できる。河川が氾濫したとき、「いつ」「どこで」「どのくらい」浸水するのかシミュレーションが可能だ。河川の水位や、どの河川が氾濫したら自宅や職場が危ないのかなど、対策に役立つ情報をすぐ確認できる(※5)。

8. いざというとき何ができる?知っておきたいご家庭の浸水対策

浸水が発生したときを想定して、日頃から対策を整えておこう。いざというときのために、9つの対策を覚えておいてほしい。

土のうや水のうを使った浸水対策

浸水をしたときは、家屋に土のうを設置すれば水の侵入を抑えられる。土のう袋はホームセンターで購入できるが、家庭用のゴミ袋で作る水のうでも代用が可能だ。40Lくらいのゴミ袋を二重にして、半分程度の水をいれて口を閉じよう。

ポリタンクとレジャーシートを使った浸水対策

ポリタンク(10Lもしくは20L)とレジャーシートを使って浸水を抑える。水を入れたポリタンクをレジャーシートで包み、出入り口などに並べよう。

プランターとレジャーシートを使った浸水対策

ポリタンクがなければプランターを使おう。土を入れたプランターをレジャーシートで包み、出入り口などに並べれば浸水対策になる。

テーブルやボードなどを使った浸水対策

テーブルやボードを「止水板」として活用する。出入り口に立てかけたら、水のうや土のうで固定して浸水を抑えよう。タンスや畳、ロッカーなどでも同じように使うことが可能だ。

水中ポンプを設置する方法もある

水中ポンプがあれば、浸水したときに水を排出できる。浸水対策として、ホームセンターなどで購入しておくのもよいだろう。発電機などの電源と、十分な長さのホースや電源コードを合わせて用意しておきたい。

自宅周辺でできる浸水対策は?

雨水ますにゴミや落ち葉が詰まると雨水が流れにくい。ゴミが入らないように注意して、雨水ますの上をキレイにしておくことが重要だ。また、カーステップやプランターを道路に置くと、雨水ますに水が流れにくくなり浸水の原因になる。道路に物を置かないようにしよう。

事前に避難ルートを確認しておくことも重要

浸水が発生したとき、危険が少ないルートで避難することが重要だ。ハザードマップで避難所の場所やルートをチェックしたら、ご家族で共有する。最新のハザードマップや地図を印刷して、非常持出袋に入れておくのもおすすめだ。

避難するかどうかのタイミングはどう判断する?

内閣府では避難情報を警戒レベルで表している(※6)。5段階でとるべき行動を定めていて、レベル3で高齢者の避難、レベル4なら全員の避難と覚えておこう。自治体から警戒レベルが示されたときは必ず従ってほしい。

避難する際の注意点も覚えておこう

暗くなってから避難するのは危険だ。浸水したらなるべく明るいうちに避難しよう。自動車が水に浸かると扉が開かなくなったり、動かなくなったりするので、特殊なケースを除いて徒歩で避難してほしい。また、橋や川、用水路を見に行くのは非常に危険だ。避難するときもできるだけ近づかないようにしよう。

9. 浸水被害は突然やってくる!対策は今のうちにしておこう

浸水はとても危険な災害だ。河川の氾濫や高潮以外では、ゲリラ豪雨による内水氾濫によって浸水が発生する可能性がある。ご自宅や職場の近くに河川や海がないからといって安心はできない。もしものときのために、十分に対策をしておこう。

まずはハザードマップや浸水シミュレーション検索システムで、危険な地域を確認する。土のうや水のうを作れるようにしたり、避難ルートを確認したりと、日頃からできる対策を実践してほしい。浸水についてご家族で話し合ってくことが大事だ。

結論

浸水とは「ものが水に浸かった状態」を表す言葉だ。河川の氾濫や津波などの災害がおこったとき、必ず耳にする言葉なので覚えておこう。基礎知識として冠水や氾濫、洪水など、災害に関係する言葉もチェックしてほしい。また、日頃から浸水対策を整えておくことが重要だ。もしものときのために必要な知識を身につけて、できる限りの対策をしておこう。
(参考文献)
※1出典:災害に係る住家の被害認定 _ 防災情報のページ - 内閣府
http://www.bousai.go.jp/taisaku/unyou.html

※2出典:下水道:下水道による浸水対策 - 国土交通省
https://www.mlit.go.jp/mizukokudo/sewerage/crd_sewerage_tk_000117.html

※3出典:気象庁|防災気象情報と警戒レベルとの対応について
https://www.jma.go.jp/jma/kishou/know/bosai/alertlevel.html

※4出典:ハザードマップポータルサイト
https://disaportal.gsi.go.jp/

※5出典:国土交通省地点別浸水シミュレーション検索システム(浸水ナビ)
https://suiboumap.gsi.go.jp/

※6出典:避難情報に関するガイドラインの改定(令和3年5月)
http://www.bousai.go.jp/oukyu/hinanjouhou/r3_hinanjouhou_guideline/
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  • 公開日:

    2020年6月 1日

  • 更新日:

    2021年8月 9日

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