1. 梅雨の季語【時候】

時候とは、季語のなかでも季節を表す言葉のことだ。時候は、手紙の冒頭部分の挨拶文などによく用いられる。ここでは、時候にあたる梅雨の季語を紹介する。
入梅
入梅は梅雨入りしたばかりの頃を指す季語だ。梅雨入りのタイミングに合わせて使うとよい。
梅雨
梅雨も時候を指す季語の一つである。一般的に6月中旬~下旬にかけて使うことが多い。長雨という表現のしかたもある。
夏至
夏至は一年で一番昼が長い時期のことである。梅雨と重なっているため、季語として用いられる。
向暑
初夏を感じる季節や、暑さに向かう時期を指す季語である。一見、梅雨時には使わないのではと思ってしまうだろう。しかし、梅雨といっても雨が降らず暑い日が続いたり、北海道のように梅雨が存在しないところもある。梅雨のない北海道や、梅雨っぽさを感じられないときの使用にピッタリの季語だ。
梅雨寒・梅雨冷え
梅雨は、湿度が高くジメジメと蒸し暑い日が多いが、気温が低く寒さを感じるときもある。このような梅雨の期間中に感じる寒さを表す季語が梅雨寒・梅雨冷えだ。梅雨冷えの際は体調を崩す方も多いため、手紙を書く際に相手の体調を気遣う言葉を添えるとよい。
空梅雨
空梅雨は、梅雨なのに雨が少ないことを指す季語だ。梅雨入りしたにも関わらず、少ししか雨が降らず晴天が続いているときに使うとよいだろう。
2. 梅雨の季語【天文】

続いて、天文の分類に含まれる梅雨の季語を一覧で紹介する。天文とは、空・雲・月・星などの天体や天候を指す季語のことである。天文にあたる季語を知れば、さらに梅雨時の様子を表現できるため押さえておくとよい。
送り梅雨
梅雨が明ける頃に起こる激しい雷雨を指して使う言葉である。
空梅雨
先ほど説明した内容と同様、梅雨なのに雨が少ないときに用いられる季語だ。
五月雲
梅雨の時期に見られるうす暗い雲模様のことを指す。
五月晴れ
梅雨のぐずついた天気が続くなかで、晴れ間が見られたときに使う言葉だ。
五月闇
梅雨の時期の夜の暗さを表した言葉である。
黒南風
梅雨の時期のジメジメした鬱陶しい風を指す言葉。
白南風
梅雨明け頃に感じられるさっぱりした風のことである。
梅雨の月/梅雨の星
梅雨の夜に見られる月や星のことを指して使う言葉だ。月や星は晴れた日にしか見られないため、梅雨時に見られるのは貴重である。ほんのつかの間の幸せを表現できる。
青梅雨
梅雨時に、草木が雨でぬれ青々として見える様子を表現した言葉である。雨を鬱陶しいと表現するのではなく、恵みの雨ととらえた季語だ。
3. 梅雨の季語【地理】

季語の分類の一つである地理には、海や川、山、湖など地上にあるものを指す言葉が入っている。ここでは、梅雨の季語のなかで地理にあたる言葉を紹介する。
井水増す
梅雨時に、井戸の水が多くなり濁って見える様子をいう。
五月川
梅雨の雨で増水した川を指して使う言葉だ。
梅雨の山
梅雨時の山のことを指す。
皐月波
梅雨の時期に海に立つ大波を指す季語である。
出水
梅雨の大雨で河川が氾濫することを指す季語である。
4. 梅雨の季語【生活】

梅雨の季語のなかで生活に分類されるのは、暮らしに関することである。ここからは、梅雨の季語で生活に分類される言葉を紹介する。
雨休み
梅雨時期に、雨によって田畑の仕事を休みにすることを指した言葉だ。
雨ごい
梅雨にも関わらず晴れ間が続いたときに、雨が降るよう祈ることを指す。
田植え
田植えは5月~6月にかけて行われることが多い。この時期は梅雨の時期でもあるため、田植えも梅雨を表す季語として用いられている。
5. 梅雨の季語【動植物】

梅雨の季語には、動物・植物に関する言葉もある。ここでは、梅雨の季語で動植物の分類にあてはまる言葉を紹介する。
蚕蛾(カイコガ)
カイコガとは、カイコの成虫のことである。夏に成長するため、梅雨の季語に用いられている。
濁り鮒
梅雨で川などが濁っている際に、産卵を迎える鮒を指している言葉だ。
蛍
蛍は夏の季語である。6月~8月まで生息しているが、梅雨時のジメジメした空気を蛍は好むため、梅雨時期の季語としても用いられている。
紫陽花・梔子・花菖蒲・栗の花
全て梅雨の時期に見頃を迎える花である。花を使えば簡単に梅雨を表現できる。
結論
梅雨はジメジメとしてうっとうしい季節だが、梅雨時に使える季語は沢山ある。紹介した季語を活用し手紙や俳句作成に役立ててほしい。