1. ヒメマルカツオブシムシとは?どんな害をもたらす?
ヒメマルカツオブシムシとはなんとも不思議な名前だが、名前にあるように「鰹節」を好む虫とされている。その生態やどういった害をもたらすのかなど、まずはヒメマルカツオブシムシの基礎知識から身につけていこう。
ヒメマルカツオブシムシとは
ヒメマルカツオブシムシは、日本全国はもちろん世界各地に分布する体長2.5〜3mmほど(成虫の場合)の小さな虫だ。まだら模様をしており、白いシーツやシャツ、あるいはデージーやマーガレットといった白い花に集まることが多い。毒性などはないものの、衣類害虫や食品害虫、不快害虫などに分類されている。
ヒメマルカツオブシムシの幼虫は全体が短毛で覆われている。成熟すると体長4〜5mmほどになるという。短毛に毒はないが鋭い。たとえばアリが刺さると死ぬと言われているほどだ。見かけても素手では触れないほうがよいだろう。
ヒメマルカツオブシムシの幼虫は全体が短毛で覆われている。成熟すると体長4〜5mmほどになるという。短毛に毒はないが鋭い。たとえばアリが刺さると死ぬと言われているほどだ。見かけても素手では触れないほうがよいだろう。
衣類の「虫食い」は幼虫の仕業
ウールやシルク、あるいは毛皮などを食害してしまうのはヒメマルカツオブシムシの幼虫だ。ナイロンといった化学繊維や、汗で汚れた箇所なども食べてしまうことがあるという。繊維のほかには鰹節や煮干し、虫の死骸、ペットフードなども食する。大切な衣類が虫食い被害に遭っていた場合、ヒメマルカツオブシムシの幼虫が原因かもしれない。
成虫は無害だが産卵に要注意
一方成虫は、前述のように白い洗濯物や白い花などに集まる。花粉を食べたり花の蜜を吸ったりするが、幼虫のように衣類を食害することはない。ヒトにもこれといって害はないが、注意したいのが「産卵」だ。家の中に侵入して衣類に産卵されれば、やがて幼虫となり虫食い被害が発生するおそれがある。成虫の寿命はおよそ1カ月とそれほど長くはないが、生きている間に数十〜100粒ほどの卵を産む。よく出現する時期は5〜6月頃なので、ちょうどクリーニングから戻ってきた冬物や春物を保管している真っ最中だ。
2. ヒメマルカツオブシムシはどのように家に侵入する?
大切な衣類を食害から守るためにも、ヒメマルカツオブシムシの侵入は防がねばならない。どういったルートで侵入してくることが多いのか覚えておこう。
ヒメマルカツオブシムシの侵入方法
ベランダや窓際などで白っぽい花を育てているご家庭は、その花にヒメマルカツオブシムシの成虫が集まり家の中に侵入することが考えられる。あるいは、白や淡い色のシャツ、シーツなどを干している間にヒメマルカツオブシムシの成虫が付着し、気づかずに取り込んでしまうこともある。白っぽい服を着て外出したり、白い花の近くを通りかかったりしたときにヒメマルカツオブシムシが付いてしまい、そのまま家に持ち帰ってくるといった可能性もある。
ヒメマルカツオブシムシの成虫は体長が2.5〜3mmほどと小さい。しかも産卵直後の卵は乳白色であることに加えて、大きさも0.6mmほどと極めて発見しにくい。そのため意識しなければなかなか気づけないが、このようなポイントを覚えておこう。
ヒメマルカツオブシムシの成虫は体長が2.5〜3mmほどと小さい。しかも産卵直後の卵は乳白色であることに加えて、大きさも0.6mmほどと極めて発見しにくい。そのため意識しなければなかなか気づけないが、このようなポイントを覚えておこう。
3. ヒメマルカツオブシムシの駆除および対策方法とは?
最後に、ヒメマルカツオブシムシ対策をお伝えしよう。活発になる5〜6月頃はとくに気をつけてほしい。
白っぽい花や洗濯物に注意する
白っぽい花を育てる、あるいは飾る際は虫がいないか確認するとともに、白っぽい洗濯物はよく観察し、振り払ってから取り込むようにしよう。もちろん白に限らず、淡色系の花や洗濯物はヒメマルカツオブシムシが集まる可能性がある。ひと手間増えてしまうが、大切な衣類を虫食いから守るためだと思って実践しよう。ブラッシングをこまめにしたり、クリーニングに出したりするのも効果的だ。
玄関前で服を払う
外出から戻った際は服を手で払ってから玄関を開けるとよいだろう。とくに草花がある公園や野山などを歩いた日は要注意だ。玄関前で軽く振り払うとともに、家の中に入ったらすぐに脱いで洗濯してしまおう。なお玄関前で振り払った際、落ちたヒメマルカツオブシムシがそのタイミングで侵入してしまわないように注意しよう。
クローゼットやタンス、部屋の中を清潔にする
ヒメマルカツオブシムシの幼虫は、物陰を徘徊することが多い。部屋に落ちている食べカスやホコリなどをエサにしてしまうこともあるため、クローゼットやタンスはもちろん、部屋の中もこまめに掃除機がけをして清潔に保とう。
衣類の保管には防虫剤や防虫シートを使う
クローゼットやタンス、衣装ケースなどで衣類を保管する際は、防虫剤や防虫シートなどを使ってしっかり対策しよう。成虫のヒメマルカツオブシムシを見かけたら、潰すあるいは不快害虫用のエアゾール(スプレータイプの殺虫剤)を吹き付けて駆除しよう。
食品の保管方法にも注意する
ヒメマルカツオブシムシは鰹節や煮干しが好物だとお伝えした。密閉容器などに入れて保管しておかないと、どこからともなくヒメマルカツオブシムシがやってきてしまうかもしれない。食品の保管方法についても見直しておこう。
結論
ヒメマルカツオブシムシは、毒性こそないものの大切な衣類を食害してしまう厄介な虫だ。過度に神経質になる必要はないかもしれないが、とくに活動が活発になる5〜6月頃はお伝えした対策を講じるなどし、大切な衣類を虫食いから守ろう。