目次
1. ウツボカズラとはどんな植物?

まずはウツボカズラがどういった植物なのか、基礎知識や栽培に向いている環境について説明しよう。
ウツボカズラとは
ウツボカズラは虫を捕食する植物である「食虫植物」の一種だ。甘い香りで誘い寄せた虫を捕虫袋(ほちゅうたい=葉が変化した袋状の部分)で捕らえ、消化液を含んだ水で消化してしまう。
原産地は?
ウツボカズラは主に東南アジアを原産地とする。ボルネオやインドネシアのスマトラを中心に自生し、ほかにはオーストラリアやニューカレドニア、マダガスカル、ソロモン諸島、セーシェル諸島などでも見られる。
高温多湿を好む
原産地の気候からも分かるように、ウツボカズラは高温多湿な環境を好む。乾燥と低温が苦手なので、気温が低いシーズンは室内で育て、ときどき霧吹きなどで潤いを与えることがポイントだ。
園芸分類と主な用途などは?
園芸上、ウツボカズラは熱帯植物や食虫植物などに分類される。また、個性的な見た目や珍しさなどから観葉植物としても人気が高い。
初心者は「種」ではなく「苗」から育てるのがおすすめ
ウツボカズラは根が弱い上、耐寒性もないため、育て方が少々難しいとされている。種の発芽率は低いとされているため、初心者は市販の苗から育てるのがよいだろう。
2. ウツボカズラの栽培に役立つ年間カレンダー

ウツボカズラの植え替えは気温が高い時期に行うのがベストだ。ここでは植え替えや肥料など、栽培にまつわる作業を行うべき時期の目安を紹介する。
植え替え・肥料・開花時期の目安
・植え替え:5〜9月
・肥料:4〜11月
・開花時期:6〜7月
なお、上で挙げた時期は種の種類や栽培する地域・環境などによって変わるため、あくまで目安として考えてほしい。
・肥料:4〜11月
・開花時期:6〜7月
なお、上で挙げた時期は種の種類や栽培する地域・環境などによって変わるため、あくまで目安として考えてほしい。
3. ウツボカズラの育て方のポイント1|栽培に適した環境について

ウツボカズラの上手な育て方のポイントは、栽培に適した環境を整えることが大切だ。ここでは環境づくりで気を付けるべき点を見ていこう。
日当たり・置き場所
ウツボカズラは日当たりがよいなど、暖かい場所で育てるのが基本だ。ただし直射日光は苦手で、葉焼けを起こしたり枯れたりすることがある。
真夏などはとくに、直射日光が当たらない明るめの場所で育てよう。できれば、遮光ネットなどを使って20〜30%ほど遮光したい。また、ベランダなどにつるしておくのもよいだろう。
真夏などはとくに、直射日光が当たらない明るめの場所で育てよう。できれば、遮光ネットなどを使って20〜30%ほど遮光したい。また、ベランダなどにつるしておくのもよいだろう。
用土
ウツボカズラは根が弱いため、水苔で育てるのが最適とされている。土で育てたいときは、腐植質で水ハケがよい「小粒の赤玉土6」「小粒の軽石2」「ピートモス2」のブレンドがおすすめだ。
温度と湿度の管理も大切
高温多湿な環境で自生するウツボカズラは乾燥が苦手なため、ときどき葉水を行おう。植物用の保湿設備などを用意し、温度・湿度を万全に整えて育てるのがベターだ。
4. ウツボカズラの育て方のポイント2|苗の植え付け・水やり・肥料について

ウツボカズラは育て方が難しいとされるため、苗植えや水やりなどのポイントにも注意したい。
苗の植え付け
鉢の底から3分の1ほどのところまで軽石を敷き、十分に湿らせた水苔を置いたら株を植える。根に土が付いているときは水苔に植える前にキレイに落とそう。ただし、根が弱いため、傷付けないように慎重に作業してほしい。
水やり
ウツボカズラは乾燥が苦手だ。水苔が乾き始めたらたっぷりと水を与えるのが育て方の基本になるので覚えておこう。水のあげすぎはよくないが、水苔が適度に湿った状態をキープすることが望ましい。
気温が15度以下のシーズンになったら、与える水の量を減らしていく。冬場は少々乾いてからでも問題ないが、葉水は一年中コンスタントに与えよう。
気温が15度以下のシーズンになったら、与える水の量を減らしていく。冬場は少々乾いてからでも問題ないが、葉水は一年中コンスタントに与えよう。
肥料
ウツボカズラは、基本的に肥料なしで育つ。そのためあまり気にする必要はないが、健康的に育ってほしい思いもあるだろう。肥料を与えるとすれば生育期(4〜11月頃)のどこかで、3カ月に1回ほどのペースで液体肥料を与えよう。
5. ウツボカズラの育て方のポイント3|植え替え・切り戻しについて

育て方のコツとして、植え替えや切り戻しを行う際にも気を付けたい点がある。水苔を取り替える際やツルが多すぎるなどの場合は、以下のポイントをチェックしてほしい。
植え替え
植え替えは年1回、5〜9月頃が適しているとされる。植え替えとは、水苔を新しいものに取り替えることだ。
まずは、新しい水苔を用意して水をたっぷり含ませておこう。次に、古い水苔を取り除く。しつこいようだがウツボカズラは根が強くない。水苔を取り除く作業はくれぐれも丁寧に行ってほしい。また、黒く変色している根は腐敗していると思ってよい。発見したら、新しい水苔に植え替える前にハサミなどで切り落としておこう。
これらが済んだら、たっぷりと水を含ませておいた新しい水苔を鉢に置き、ウツボカズラを植えればおしまいだ。
まずは、新しい水苔を用意して水をたっぷり含ませておこう。次に、古い水苔を取り除く。しつこいようだがウツボカズラは根が強くない。水苔を取り除く作業はくれぐれも丁寧に行ってほしい。また、黒く変色している根は腐敗していると思ってよい。発見したら、新しい水苔に植え替える前にハサミなどで切り落としておこう。
これらが済んだら、たっぷりと水を含ませておいた新しい水苔を鉢に置き、ウツボカズラを植えればおしまいだ。
切り戻し
ツルが多すぎたり伸びすぎたりすると、捕虫袋がうまく形成されないことがある。適宜剪定をしてバランスを整えておこう。剪定に適した時期は6〜8月頃とされている。
6. ウツボカズラの増やし方は?

ウツボカズラを増やすには、挿し木・取り木の2種類の方法がある。
挿し木で増やす方法
ウツボカズラは挿し木で数を増やせる。まずはツルを先端部分から10〜15cmを目安にカットし、下(切り口)の葉を切り落とす。上(ツルの先端)の方は葉が数枚残ってよいが、葉のサイズが大きいときは半分程度にカットしておこう。
次に、切り口を斜めにカットして、あらかじめ湿らせておいた水苔に挿す。水苔が乾燥しないように水を与えながら、明るい日陰で管理を続けよう。1カ月〜1カ月半ほどで新しい根が生まれるだろう。捕虫袋ができたら、ほかのウツボカズラと同じように鉢に植えれば完成だ。
次に、切り口を斜めにカットして、あらかじめ湿らせておいた水苔に挿す。水苔が乾燥しないように水を与えながら、明るい日陰で管理を続けよう。1カ月〜1カ月半ほどで新しい根が生まれるだろう。捕虫袋ができたら、ほかのウツボカズラと同じように鉢に植えれば完成だ。
取り木で増やす方法
ウツボカズラを取り木で増やすには、舌状剥皮(ぜつじょうはくひ=取り木に使う枝の表面をすべて剥ぎ取らず、切り込みを入れていくこと)という方法を用いる。枝に舌を出しているかのような切り込みを入れ、水苔を切り口に挟んで巻いていこう。全体が水苔で覆われるようになれば完成なので、あとは芽が出るのを待てばよい。
7. ウツボカズラの育て方で注意したい害虫と病気

ここではウツボカズラを育て方において気を付けた方がよいとされる害虫と、かかりやすい病気を解説する。
気を付けたい害虫とその対策
ウツボカズラに危害を加える害虫にはカイガラムシ、アブラムシ、ハダニのほか、根に寄生するセンチュウなどがいる。
カイガラムシは葉や茎に取り付き、養分を吸い取ってしまう。見つけ次第殺虫剤で駆除しよう。ただし成虫は殻で覆われており、薬剤が効きにくいことがある。そのときは、ブラシなどを使って物理的に取り除こう。
アブラムシも同じように養分を吸い取る。しかも排せつ物が病気を招くことがあるため要注意だ。見つけ次第、割り箸などでつまんで取り除いたり、薬剤を散布したりして駆除しよう。
ハダニは繁殖してしまうと、薬剤を一度散布した程度では駆除しきれなくなる。1週間に2~3回を目安に散布しよう。
根に付いたセンチュウは駆除方法がないので、寄生しないように対策するしかない。長い間植え替えを行っていないとセンチュウが付く可能性があるため、定期的に植え替えを行うことが肝心だ。
カイガラムシは葉や茎に取り付き、養分を吸い取ってしまう。見つけ次第殺虫剤で駆除しよう。ただし成虫は殻で覆われており、薬剤が効きにくいことがある。そのときは、ブラシなどを使って物理的に取り除こう。
アブラムシも同じように養分を吸い取る。しかも排せつ物が病気を招くことがあるため要注意だ。見つけ次第、割り箸などでつまんで取り除いたり、薬剤を散布したりして駆除しよう。
ハダニは繁殖してしまうと、薬剤を一度散布した程度では駆除しきれなくなる。1週間に2~3回を目安に散布しよう。
根に付いたセンチュウは駆除方法がないので、寄生しないように対策するしかない。長い間植え替えを行っていないとセンチュウが付く可能性があるため、定期的に植え替えを行うことが肝心だ。
かかりやすい病気とその対策
ウツボカズラは、病気にかかりにくいとされている。しかし、株が弱ったタイミングなどで発病してしまうことがある。斑点病や根腐れ病、あるいはカビによる炭疽病(たんそびょう)などが見られたときは、風通しや水やりの頻度・量など育て方を見直したり、害虫駆除を行ったりして様子を見よう。
なお、病気に対する薬剤はホームセンターで売っているはずなので、近くにある方は店員に相談してみるのもおすすめだ。
なお、病気に対する薬剤はホームセンターで売っているはずなので、近くにある方は店員に相談してみるのもおすすめだ。
8. ウツボカズラの「花言葉」は?

ウツボカズラはうまく育つと花を咲かせる場合もある。ここではウツボカズラの花の特徴や、花言葉を紹介しよう。
ウツボカズラはどんな花を咲かせる?
ウツボカズラの花は黄色で、1cm未満とかなり小さい。花が咲くのは6月〜7月頃なので、その時期になったらチェックしてみよう。
ウツボカズラの花言葉
食虫植物であるウツボカズラは、「甘い罠」「絡みつく視線」という花言葉をもつ。甘い香りで虫を誘い捕食することや、ツルを伸ばして絡ませることから、そのような花言葉が付けられたといえる。
9. ウツボカズラの育て方まとめ

東南アジアなどの高温多湿な環境で自生するウツボカズラは、とにかく乾燥と低温が苦手で育て方が難しい。日当たりのよい場所に置きつつ直射日光は防ぎ、乾燥させないように水やりを行おう。また、根が弱いため、基本的には水苔で育て、センチュウなどの害虫がわかないよう定期的に植え替えを行いたい。
育て方の難易度が高いウツボカズラだが、紹介したポイントを押さえて丁寧に栽培すれば、初心者でもうまく育てられるはずだ。
育て方の難易度が高いウツボカズラだが、紹介したポイントを押さえて丁寧に栽培すれば、初心者でもうまく育てられるはずだ。
結論
丸みを帯びたフォルムや虫を捕まえて消化する独特の構造から、ウツボカズラは観葉植物として人気が高い。比較的虫などもわきにくく病気も発生しにくい植物なので、美しい袋や黄色い花を付けるのを楽しみに、丁寧に育てていこう。