1. スリとは

テレビドラマやドキュメンタリーなどで見ることが多いスリ。実際に被害に遭ったことがない場合、ピンと来ないかもしれない。
スリは窃盗
スリは、人混みを利用して他人のカバンやポケットなどから財布などの貴重品を盗む窃盗罪の一種だ。スリは、被害者にわからないように高度なテクニックで盗みを繰り返す。場当たり的な盗みではなく、用意周到にターゲットを見定めるのも特徴だ。
気が付かないから被害届を出しにくい
日本でのスリ事件の数は、被害届が出ている件数だけを見ると平成30年が3,281件、令和元年が3,141件と減少傾向だ。しかし、これは氷山の一角と考えるべきだ。
スリは巧妙な手口で財布などを盗むため、すられたこともわからない。財布がないことに気付いたときには置き忘れたか、落としたかと思い込んで被害届を出さないケースが多くあるからだ。
スリは巧妙な手口で財布などを盗むため、すられたこともわからない。財布がないことに気付いたときには置き忘れたか、落としたかと思い込んで被害届を出さないケースが多くあるからだ。
2. スリの手口

スリの手口は、どんどん巧妙になりつつある。スリの被害に遭わないようにするために、典型的なスリの手口を知っておくことも大切だ。
電車内でのスリの手口
スリ犯は、混雑している電車を利用して押し合いながら被害者に近付き、財布などの貴重品を抜き取る。新聞やコートなどを利用して周囲の人たちに悟られないようにするのもスリの手口だ。
さらに、新幹線などの座席指定車でも安心できない。たとえば、帽子掛けに貴重品の入った上着を見つけると、その隣の帽子掛けに自分の上着を掛ける。自分の上着から何かを取り出そうとしながら、隣の上着のポケットから財布を盗み取るという手口だ。
さらに、新幹線などの座席指定車でも安心できない。たとえば、帽子掛けに貴重品の入った上着を見つけると、その隣の帽子掛けに自分の上着を掛ける。自分の上着から何かを取り出そうとしながら、隣の上着のポケットから財布を盗み取るという手口だ。
単独犯から複数犯へ
日本では単独犯の「スリ師」と呼ばれるスリが多かった。ところが窃盗の世界にもグローバル化の波が押し寄せ、外国人による複数犯へと犯行の手口が変わってきたのだ。
スリ集団が被害者を囲むようにして、周りに気付かれないように犯行を行う。また、ひとりが被害者に道を聞くふりなどをして意識を向けさせ、そのすきにもうひとりが犯行を行うといった手口だ。
スリ集団が被害者を囲むようにして、周りに気付かれないように犯行を行う。また、ひとりが被害者に道を聞くふりなどをして意識を向けさせ、そのすきにもうひとりが犯行を行うといった手口だ。
3. スリの対策

スリに遭わないようにするためには、自分自身の意識や習慣を変える必要がある。スリにターゲットにされないような行動や対策を紹介しよう。
混雑している場所ではバックを前に抱える
リュックを背負っていたり、バックを斜めにかけて持っていたりする場合、後ろからひそかに忍び寄ったスリにすられてしまう危険性がある。斜めにかけたバックは、人混みでもみくちゃにされている間に体の後ろに回ってしまうことがある。リュックは背中側で犯行に及ばれても気が付きにくい。
混雑した電車の中などではリュックであっても前に抱えて持ち、自分の目の届く場所に置いておくことが大切だ。
混雑した電車の中などではリュックであっても前に抱えて持ち、自分の目の届く場所に置いておくことが大切だ。
電車で寝ない
疲れて帰る電車の中、ついつい睡魔に襲われることもある。また、歓送迎会や忘年会シーズンなどにはお酒を飲みすぎて泥酔状態で駅のホームで寝ている人も見かける。この状況はスリにとっては絶好の狩場となる。
電車内では、絶対に気を緩めず、居眠りをしてスリにチャンスを与えるようなことをしてはいけない。
電車内では、絶対に気を緩めず、居眠りをしてスリにチャンスを与えるようなことをしてはいけない。
財布にはチェーンを付ける
財布などをポケットに入れて持ち歩く場合には、チェーンを付けると安心できる。スリがポケットから抜き取っても、チェーンが付いていれば引っ張られて異常を察知しやすい。
また、居酒屋などでコートや上着のなかに財布を入れたまま掛けておいても、チェーンで衣類とつながっていることがわかればスリも敬遠するので、抑止力にもなる。
また、居酒屋などでコートや上着のなかに財布を入れたまま掛けておいても、チェーンで衣類とつながっていることがわかればスリも敬遠するので、抑止力にもなる。
4. スリに遭ったときの対処方法

不幸にしてスリに遭ってしまったとき、どのような行動を取ればいいのだろう。
カード会社への連絡
スリに遭ったことがわかった時点で財布の中身を思い出そう。警察に盗難届を出すときにも、すられたものの確認を求められる。クレジットカードが含まれていた場合には、すぐにカスタマーセンターに連絡をしてカードの使用停止手続きを行うことだ。クレジットカードは現金以上の二次被害をもたらす危険性がある。
携帯電話の利用停止も忘れずに
すられるのは、財布だけではない。携帯電話をすられるケースも増えている。最近の携帯電話は財布機能も充実しており、クレジットカードと同じように二次被害を被ってしまう危険性がある。
さらに厄介なのが、自分を含め第三者の個人情報がたくさん盛り込まれているということだ。振り込め詐欺などに悪用されてしまうという危険性もある。すぐに携帯電話会社に連絡をして、利用を停止してもらうようにしよう。
さらに厄介なのが、自分を含め第三者の個人情報がたくさん盛り込まれているということだ。振り込め詐欺などに悪用されてしまうという危険性もある。すぐに携帯電話会社に連絡をして、利用を停止してもらうようにしよう。
結論
スリは長年の経験からターゲットになる人を見分けるのだという。荷物の持ち方、何か別のことに夢中になっている様子などをじっくりと観察している。私たちができるスリに対する防衛策は、とにかくスキを見せないということだ。電車に乗るとき、誰かと食事をするとき、どこかにスキがないか改めて自分の姿を振り返ってみよう。