目次
- 1. レコードの溝には「音」の情報が記録されている
- 2. レコードから音が聴こえる仕組み
- 3. レコードプレーヤーや針の仕組み
- 4. カートリッジが振動を電気信号に変換する仕組み
- 5. レコードはCDよりも音が良いといわれる理由
- 6. レコードを再生するために必要なものとは?
- 7. レコードの仕組みを覚えると音楽がもっと楽しくなる
- レコードの針が、音溝に刻み込まれた波形に合わせて小刻みに振動する
- その振動を、カートリッジと呼ばれる装置で電気信号に変換する
- 電気信号を、アンプと呼ばれる装置で増幅することによりスピーカーから音が聴こえる
- ターンテーブル(プラッター)
- モーター
- トーンアーム
- カートリッジ(針)
- キャビネット
- ダストカバー
- レコード
- プレーヤー
- カートリッジ
- フォノイコライザー
- アンプ
- スピーカー
1. レコードの溝には「音」の情報が記録されている

さっそく、レコードから音が聴こえる仕組みを見ていこう。まずは盤面の溝について説明する。手元にレコードがある方は盤面を見てほしい。ない方は、昔持っていたレコードの盤面を思い出してみよう。
「音溝」と呼ばれる溝に音の情報が記録されている
盤面の溝は「音溝」といい、盤面に対して左右45度のV字型にカッティングされている。音溝はレコードの外側から内側に向かう1本の長い溝で、外周側の内壁にはR(右)チャンネルの音が、内周側の内壁にはL(左)チャンネルの音がそれぞれ記録されている。
「音の情報」とは「振動を生むための波形」である
音が鳴ると空気が振動する。その振動を耳がキャッチし、脳が音として認識する。つまり振動を生むための波形さえ記録しておけば、あとからでも音を再生することができるというわけだ。レコードはこの原理を用いている。
【縦の振動は音量の変化、横の振動は左右のチャンネル】
試しに音溝をよく見てみると、キレイなストレートの溝ではなく細かく変化しているのが確認できるだろう。これは、音の波形がそのまま刻み込まれているためだ。縦の振動は音量の変化を生み、横の振動は左右それぞれのチャンネルの音の違いを生む。
2. レコードから音が聴こえる仕組み

盤面の謎についてわかったところで、実際にどのような仕組みで音が聴こえてくるのかを説明していこう。
レコードから音が聴こえる仕組み
レコードから音が聴こえてくる仕組みを簡単に説明するとこのようなものだ。いたってシンプルであることがわかる。
再生中はレコード盤からも音が聴こえる
なおレコードを再生中に耳を澄ましてみると、かすかに盤面から「シャカシャカ...」といった音が聴こえることがある。ニードルトークと呼ばれるもので、本当に針で音を拾っていることが分かる現象だ。
3. レコードプレーヤーや針の仕組み

レコードから音が聴こえる仕組みはお分かりいただけただろう。続いては、音の再生に必要なプレーヤーを構成するパーツや針の仕組みを説明する。
レコードプレーヤーを構成するパーツ
メーカーや型番などによりやや異なるかもしれないが、一般的にはこうしたパーツで構成されている。ターンテーブルはレコードをのせる部分で、プラッターと呼ばれることもある。モーターとは、そのターンテーブルを回転させる動力だ。
またトーンアームとは、先端に針がついたいわゆる腕の部分で、そのトーンアームの先に取り付けられているのが、針の振動を電気信号に変換するカートリッジである。
そのほか、キャビネットとはプレーヤーの筐体のこと、ダストカバーとはキャビネットのふたのことをいう。なお針とカートリッジをまとめて「針」または「カートリッジ」と呼ぶこともあるので覚えておこう。
針の先端は丸みを帯びている
レコードの針は先端が丸みを帯びている。裁縫の針のように先端が鋭いと音溝にピタッとはまってしまい、内壁に記録された音の情報を拾いにくい。それに溝を傷つけるおそれもある。そうしたことのないよう、丸みを帯びているのだ。キレイな丸針から楕円針まで形状はさまざまあり、違った音色を楽しむことができる。ツウな方などは音楽のジャンルによって使い分ける。
針の先端にはダイヤモンドが使われている
またスタイラスと呼ばれる針の先端部分には、主にダイヤモンドが使われている。レコード盤が進化して長時間再生が可能になったことにともない、より耐久性の高いダイヤモンドが用いられるようになったといわれている。
4. カートリッジが振動を電気信号に変換する仕組み

続いて、カートリッジが振動をどのようにして電気信号に変換しているのかという部分の仕組みを説明していこう。
カンチレバーを通してコイルや磁石に振動を伝える仕組み
針先が音溝に触れることで生まれた振動は「カンチレバー」と呼ばれるパーツを通して、カートリッジ内部のコイルや磁石に伝えられる。カンチレバーとは、針先の振動に合わせて動く金属の細い針金のようなパーツのことだ。
振動を電気信号に変換する方式は「MM型」「MC型」の2パターン
【MM型】
MM型はムービングマグネットの略で、振動に応じて磁石が動くことで発電するという仕組みである。動作が安定しており針交換も容易なことなどから、レコード入門者におすすめだ。
【MC型】
一方MC型はムービングコイルの略で、コイルが動くことで発電する仕組みになっている。MM型よりも音が良いとされるが、針交換ができるモデルが少ないなど使いこなすのにやや苦労する。そのため上級者向けのレコードプレーヤーに多い方式となっている。
カートリッジで作られた電気信号がスピーカーへ送られる
このようにしてカートリッジで作られた電気信号は、アンプへと伝わり増幅される。そして最終的にスピーカーへ送られ、空気を振動させることで私たちの耳に伝わり、音として認識できるようになる。
5. レコードはCDよりも音が良いといわれる理由

「音が良い」と感じる基準、あるいはどこからが「良い音」であるかの基準はない。個人の感覚であるため優劣をつけるものではないかもしれないが、一般的にレコードはCDよりも音が良いとされている。この理由はどこにあるのだろうか?
デジタルとアナログの特性の違いが関係している
CDは、音の情報をデジタル化し記録している。ヒトの可聴域とされる20〜20,000Hzの間の音だけを取り出して記録するのが、いわゆる一般的な音楽CDだ。これに対しアナログレコードは、音をそのまま記録している。演奏時の状況や環境などによっては、20,000Hzを超える音が記録されていることがある。
またデジタル処理をするとこぼれてしまうような音も、アナログレコードなら記録できることがある。レコードは音が良いといわれているのは、こうした要素が関係していると考えられる。
6. レコードを再生するために必要なものとは?

アナログレコードを楽しむのに必要な機材も紹介しておこう。
レコードの再生に必要なもの
本稿では詳しい解説を割愛させていただいたが、フォノイコライザーとは、簡単にいうと電気信号を増幅させる装置のことだ。フォノイコライザーがないと、どんなに優秀なアンプやスピーカーにつないでも音が小さすぎて聴こえない。これから機材を揃えるという方は、フォノイコライザー内蔵のアンプを選ぶとよいだろう。
7. レコードの仕組みを覚えると音楽がもっと楽しくなる

レコードから音が聴こえる仕組みと、プレーヤーや針の構造、そして振動を電気信号に変換する仕組みなどポイントを絞って解説してきた。レコードの仕組みそのものはシンプルだが、知れば知るほど奥深さを感じられる。いつも聴いているレコードの音溝ひとつ見るだけでも違った発見があるかもしれない。本稿が、少しでもアナログレコードに興味を持つきっかけとなれば幸いだ。
結論
レコードからなぜ音が聴こえるのか、不思議だった方はひとまずその疑問を解消できたのではないだろうか?本稿ではごく基本的な仕組みのみ説明してきたが、カートリッジや針の種類、フォノイコライザーやアンプなどより詳しく知りたい方は、ぜひご自身で調べてみてほしい。