1. 土鍋の使い始めに必須の作業「目止め」とは?
まずは使い始めの土鍋に目止めが必要な理由を解説しよう。目止めが不要な土鍋など、知っておきたい基礎知識と併せてまとめた。
鍋の表面の小さな「穴」を埋める作業のこと
土鍋など土物の器には、目に見えない無数の小さな穴(目)が空いている。これは原料である土に穴が空いているためだ。この穴を塞ぐ作業のことを目止めという。
目止めの目的と必要性
目止めをしないまま土鍋を使用すると、穴の中に煮汁が入り込む。そのまま使い続けるれば、においが染み込んだり水分を吸って膨らんだりするので注意。ひび割れや水漏れの原因になるので、土鍋を長持ちさせるために目止めをしておくことが重要だ。
すぐ使いたいときは目止め不要の土鍋が便利
すぐに使用したい場合は、目止めが不要な土鍋をチェックしよう。セラミック素材や表面をコーティングしているタイプなら、目止めをしなくてもすぐ使い始められる。購入する前に目止めが必要かどうかを確認してほしい。
2. 土鍋を使い始める前の基本的な目止めのやり方
基本的な目止めのやり方を紹介する。「お粥」と「米の研ぎ汁」を使った方法を、それぞれ解説しよう。
「お粥」を作って目止めをする方法
- 使い始める前に土鍋は水洗いして、水気を拭き取ったあと十分に乾燥させる
- 土鍋に8分目の水を入れ、そこに茶碗1杯分のご飯を加える
- ご飯を混ぜたあと、火をつけて弱火でゆっくり炊いていく
- 吹きこぼれないように注意しながら加熱し、炊きあがったら火を止める
- 土鍋が完全に冷えたら、中のお粥は取り出して水洗いする
- 土鍋の水気を拭き取り、完全に乾かす
水の代わりにお湯を入れてから炊くと時間の短縮になる。ときどきかき混ぜれば、吹きこぼれを予防できるだろう。目止めに使ったお粥は食べてもOKだ。
「米の研ぎ汁」を使って目止めをする方法
- 土鍋を水洗いしてしっかりと乾燥させる
- 土鍋の8分目くらいまで米の研ぎ汁を入れる
- フタを開けたまま1時間ほど煮る
- 冷えるまで放置して冷ます
- 米の研ぎ汁を捨てたら土鍋を水洗いする
- 土鍋の水気を拭き取って完全に乾かす
米の研ぎ汁は粘り気が少ないため、穴が大きな粗土を使った土鍋にはお粥を炊く方法がよいだろう。なお、米の研ぎ汁の中にスプーン1~2杯ほどのご飯をいれてもよい。
3. 片栗粉や小麦粉で土鍋を目止めする方法もある
片栗粉や小麦粉を使った土鍋の目止め方法も、併せてチェックしておこう。手順と失敗しないためのポイントを紹介する。
「片栗粉」や「小麦粉」を使った目止めのやり方
- 土鍋を水洗いして、しっかり乾かす
- 土鍋の8分目まで水を入れ、片栗粉もしくは小麦粉を加える
- ふたをせずに火をつけ、弱火で約1時間加熱する
- 火を止めたら、中の水が冷めるのを待つ
- 土鍋の中身が完全に冷めたら、水洗いをしてしっかりと乾燥させる
片栗粉や小麦粉の量は土鍋の1割くらいが目安。また、小麦粉よりも片栗粉のほうが粘り気が強く、しっかりと目止めできる。粗土を使った土鍋には片栗粉がおすすめだ。
4. 土鍋の目止めは使い始めたあとも必要?頻度は?
使い始める前に必要な目止めだが、そのあとは必要なのだろうか。土鍋を長持ちさせるために行う目止めの適切な頻度を説明する。
定期的に目止めして「貫入」を埋めておくと長持ちする
土鍋を長持ちさせるには、使い始めたあとも定期的な目止めが必要だ。とくに「伊賀焼」など一部の土鍋は目が荒いため、小まめに目止めをしよう。また、土鍋に火をかけると、土と釉薬(ゆうやく)の収縮率の差によって小さなヒビ割れが生じる。これは貫入(かんにゅう)と呼ばれるもので、そのまま使用するとそこから水が染み込む。定期的な目止めで貫入を埋めることが、土鍋を長持ちさせるポイントだ。
使い始めたあとの目止めの頻度は?
使用頻度によって異なるが、半年に1回くらいを目安にする。よく使用する土鍋なら頻度を高くすると安心だ。また、ヒビを見つけたときは目止めをして塞ごう。土鍋を小まめにチェックして、目止めが必要かを確認してほしい。
5. 目止め以外に知っておきたい土鍋の取り扱い方と注意点
目止めをした土鍋でも、取り扱い方を間違えると傷んでしまう。5つの注意点を確認しておくことが重要だ。
金属タワシを使用しない
土鍋を洗うときは柔らかいスポンジを使用する。金属タワシを使うと、目止めした膜が剥がれてしまい、さらに表面が傷つく。土鍋を傷めないよう力を入れず優しく洗うのがポイントだ。
塩素系漂白剤や研磨剤(クレンザーなど)を使用しない
土鍋には塩素系漂白剤や研磨剤は使えない。金属タワシと同様に表面が傷つく可能性があるので、洗浄力が穏やかな食器用の中性洗剤を使用する。焦げ付いたときは、重曹と水を入れて煮立たせ、そのまま一晩ほど放置してから洗い流そう。
土鍋が熱い状態のまま水に浸けない
土鍋は急激な温度変化に弱いため、熱い状態で水に浸けると割れたりヒビが入ったりする。加熱したあとは。自然に冷えるのを待ってから洗うようにしよう。なお、外側が濡れた状態で火にかけるのも避けてほしい。火にかけるときも弱火からスタートすれば、急な温度変化を避けられる。
収納するのは完全に乾ききってから
土鍋が濡れたまま収納するとカビが発生しやすい。土鍋は吸水性が高いため、拭いたあとでも水分が残っている可能性がある。完全に乾燥したのを確認してから収納しよう。2~3日ほど天日干しをすると安心だ。
正しい保管方法も覚えておこう
土鍋は湿気が少ない場所を選んで保管する。ビニール袋や箱に入れておくと、空気が通らないので湿気が溜まりやすい。長期保管するなら新聞紙で包むのがおすすめだ。空気を通すので湿気が溜まりにくく、ホコリなども防いでくれる。
6. すぐ使いたいときに便利!目止め不要の土鍋3選
目止めが不要な土鍋を3つ紹介する。すぐ使い始めたい方はぜひチェックしてほしい。
銀峯陶器「菊花 土鍋 萬古焼」
瑠璃色などの伝統色が揃う美しい土鍋だ。耐熱性や耐久性に優れているため丈夫で長持ちする。遠赤外線効果で均一に火が通り、さらに蓄熱性も高いため料理が冷めにくい。
KINTO「IH土鍋 KAKOMI」
直火のほかに、IH調理器や電子レンジ、オーブン、ハロゲンヒーター、ラジエントヒーターに対応。モダンなデザインは食卓にスッキリと馴染む。蒸し料理が楽しめるすのこ付きだ。
TAMAKI「土鍋 サーマテック」
耐熱温度差500度をクリアした素材を使用している。ガスレンジや電子レンジ、オーブンレンジ、ハロゲンヒーター、シーズヒーターに対応。吸水性が低いため、においが染み付きにくくカビが発生しにくい。
7. 大切な土鍋を長く使うためにも目止めのやり方を覚えておこう
土鍋は適切に手入れすれば長く使用できる。使い始めに目止めをして、においの付着やヒビ割れを防ぐことが重要だ。お粥や米の研ぎ汁、片栗粉、小麦粉を使った方法をチェックしておこう。
使い始めたあとでも定期的に目止めをすれば、小さなヒビ割れ(貫入)を塞げる。ヒビを発見したときはすぐに目止めをしよう。土鍋は使いこむほどに味わいがでるので、長く使い続けるために紹介した知識を役立ててほしい。
使い始めたあとでも定期的に目止めをすれば、小さなヒビ割れ(貫入)を塞げる。ヒビを発見したときはすぐに目止めをしよう。土鍋は使いこむほどに味わいがでるので、長く使い続けるために紹介した知識を役立ててほしい。
結論
土鍋を購入したらまず目止めをしよう。お粥や片栗粉などで目止めをすれば、ヒビ割れや水漏れを防げる。使い始めたあとも、半年に1回ほどの頻度で実行するとよい。金属タワシを使わない、熱い状態のまま水に浸けないなど、注意点も併せてチェックしておくと安心だ。また、すぐに使いたいなら目止めが不要な土鍋を選ぼう。おすすすめを3つ紹介したので、購入するときの参考にしてほしい。