目次
1. 「台風は右側が強い」というのは本当?

「台風は進行方向の右側のほうが風が強い」といわれるが、そもそもそれは本当なのだろうか?
台風の右側は「危険半円」と呼ばれ左側よりも強い
台風は中心に向かって渦巻き状に風が吹き、右側前方では航行する船が中心に吹き寄せられる。そのため、台風の進行方向の右側は「危険半円」と呼ばれている。また、台風の右側に当たるエリアで吹く風は、一般的に左側に当たるエリアよりも強いという特徴があるのだ。つまり「台風の右側はとくに危険」という情報は本当といえる。
台風の左側は「可航半円」と呼ぶが決して弱いわけではない
台風の右側が危険半円と呼ばれるのに対し、左側は船が台風から遠ざかりやすいため「可航半円」と呼ばれている。左側は台風に吹き込む風と台風を動かす風が逆方向でぶつかり、互いに打ち消し合って風が弱まりやすい。そのため左側の風は右側ほど強くない傾向にある。しかし、左側も風の勢いが決して弱いわけではない。
2. 台風の右側が左側よりも強くなる理由

冒頭でもお伝えしたように、台風は進行方向の右側ほど風が強くなる傾向にある。しかし、なぜ右側と左側で風の強さに差が生まれるのか疑問に感じる方もいるだろう。この章では台風の右側にあるエリアで、左側のエリアよりも被害が大きくなりやすい理由を解説する。
2種類の「風」の相乗効果で勢力が増すため
台風は巨大な空気の渦巻きで、地上に近い位置では反時計回りに強い風が吹き込んでいる。その巨大な渦巻きが上空の風に流されて動くことで、台風は移動する。
台風の右側では、中心に向かって反時計回りに吹き込む風の方向が、台風自身を動かす風の方向と一致する。それら2種類の風が合わさるため、台風の右側では風の勢いがさらに増すのだ。
一方、左側では中心に向かって吹く風の向きが、台風を動かす風の向きと一致しない。そのため互いに勢いを打ち消し合い、右側ほど強い風にはならないといえる。
台風の右側では、中心に向かって反時計回りに吹き込む風の方向が、台風自身を動かす風の方向と一致する。それら2種類の風が合わさるため、台風の右側では風の勢いがさらに増すのだ。
一方、左側では中心に向かって吹く風の向きが、台風を動かす風の向きと一致しない。そのため互いに勢いを打ち消し合い、右側ほど強い風にはならないといえる。
3. 台風の右側では雨も強くなる?

台風の右側ではとくに風が強い傾向にあるが、同様に右側では雨も強くなるのだろうか?台風の進行方向と雨量の関係について解説しよう。
台風の右側は雨が強くなる傾向にある
台風の右側は風がより強くなりやすいと説明したが、右側では風だけでなく雨も強くなるとされている。
台風は反時計回りに強い風が吹き込んでおり、その際に海からの暖かく湿った空気も取り込んでいる。その空気の影響で積乱雲が徐々に発達し、激しい雨を降らせる。つまり、台風の右側は強い風によって暖かく湿った空気を取り込みやすく、雨の勢いもより強くなるのだ。
台風は反時計回りに強い風が吹き込んでおり、その際に海からの暖かく湿った空気も取り込んでいる。その空気の影響で積乱雲が徐々に発達し、激しい雨を降らせる。つまり、台風の右側は強い風によって暖かく湿った空気を取り込みやすく、雨の勢いもより強くなるのだ。
ただし「台風の強さや大きさ」と「雨量」は比例しない
なお、台風の強さは最大風速、大きさは強風域の半径を基準に決められている。台風の強さや大きさには風が影響するが、雨とは直接的な関係がなく、強くて大きい台風だからといって雨が強いとは限らない。
反対に規模がそれほど大きくない台風でも、大量の雨を伴う場合がある。雨がひどいと土砂崩れや川の氾濫などの災害も招くため、台風の強さや大きさにかかわらず、雨の降り方にも注目しておこう。
反対に規模がそれほど大きくない台風でも、大量の雨を伴う場合がある。雨がひどいと土砂崩れや川の氾濫などの災害も招くため、台風の強さや大きさにかかわらず、雨の降り方にも注目しておこう。
4. 台風の右側が危険だと分かる過去の事例

過去の事例を見ると、台風の右側が危険だとよりわかりやすいだろう。この章では過去の台風による被害例を挙げ、台風の右側と左側ではどのような違いがあったか解説する。
甚大な被害をもたらした2019年9月の台風15号
2019年9月の台風15号では、関東地方を中心に大きな被害を受けた。とくに千葉県は台風の右側に当たる危険半円に位置し、甚大な被害が出た。台風の右側には最大瞬間風速30m/s以上の風を観測した場所が集中し、完全に停電したエリアが多いなど、台風の右側ほど危険だということが顕著にわかる事例となった。一方、台風の左側には停電していない、もしくは一瞬停電したエリアが集中した。
気象庁のホームページも確認しておこう
また、気象庁のホームページ(※1)では、過去に大きな被害を及ぼした室戸台風や伊勢湾台風などを例に、地上での風速分布が台風の右側と左側に分けて示されている。いずれも台風の右側に位置する場所のほうが風が強く、より危険であることがわかるだろう。
5. 台風への備え|家の外・家の中

お住まいの地域に台風が接近してきたら、被害をできるだけ抑えるためにも十分な備えを心がけておこう。まずは家の中や外でできる備え方について解説する。
家の外の備え
大雨が降ったり風が強くなったりする前に、家の外にある側溝や排水口は掃除して水はけをよくするといい。家のまわりに風で飛ばされそうなゴミ箱や鉢植えなどがある場合は、できる限り家の中へとしまい、難しければ飛ばないように固定しよう。また窓や雨戸はしっかり閉め、強度が不安な場合は外から板を打ちつけるなどして備えたい。
家の中の備え
窓ガラスが割れたときにケガをしないために、窓には飛散防止フィルムを貼るのがおすすめだ。浸水のおそれがある場合は、家具や家電を2階に移動させる、高所に移すなどの対策で備えておこう。
避難経路や避難場所の確認も忘れずに
事前の備えとしてとくに重要なのが、ハザードマップなどで起こりうる危険について知ったり、避難経路を確認したりすることだ。ハザードマップは市役所や区役所で手に入るほか、インターネットで閲覧できる場合もある。家族で避難場所を話し合っておくのも忘れないようにしたい。
6. 台風への備え|用意しておきたい非常用品

台風による災害時に向けて、非常用品も十分に備えておこう。ここでは最低限必要になる非常用品をまとめた。
食料と飲料
自宅には1日3リットル×人数分の水を、少なくとも3日分(可能であれば1週間分)は備えておきたい。非常用持ち出し袋にはペットボトルの水などを持てる分だけ入れておこう。
食料は自宅に1週間分ほど備えよう。お湯をそそぐだけで食べられるアルファ米や、缶詰、ビスケットなどの食料がおすすめだ。非常用持ち出し袋には家族が3日分食べられる量があるといい。
食料は自宅に1週間分ほど備えよう。お湯をそそぐだけで食べられるアルファ米や、缶詰、ビスケットなどの食料がおすすめだ。非常用持ち出し袋には家族が3日分食べられる量があるといい。
そのほかに備えておきたい非常用品
・懐中電灯
・携帯ラジオ
・スマートフォンの充電器、モバイルバッテリー
・マスクやヘルメット、軍手
・救急用品
・ウェットティッシュや洗面用具
・衣類や下着
・現金
・携帯ラジオ
・スマートフォンの充電器、モバイルバッテリー
・マスクやヘルメット、軍手
・救急用品
・ウェットティッシュや洗面用具
・衣類や下着
・現金
7. 台風の右側は左側よりも強い!日頃の備えや早めの避難が大切

紹介したように、台風の右側は左側よりも風や雨が強くなる傾向にある。台風が接近してきた際は日頃の備えや早めの避難が大切となるため、普段からしっかり準備しておこう。台風が来たときの対処法は家族内でもぜひ話し合い、いざというときの迅速な対応につなげてほしい。
結論
日本列島に台風が接近してくると大きさや強さが気になるが、同様に「自分の住んでいるエリアが進行方向のどちら側に当たるか」という点にも注意するといい。もちろん左側でも油断は禁物だが、右側ではよりいっそうの対策や備えが求められるだろう。