1. 治水の意味とは?

「治水」とは、河川の氾濫などの災害を防ぎ、水を統制することを指す。また用水の確保などの目的に応じて、川の水を利用しやすくするという面もある。
治水の例としては、ダム・堤防・放水路を建設したり、河川を拡張・掘削して整備したり、かんがいで農地をうるおしたりすることが挙げられる。
人類は水の恵みを利用することで生活を発展させてきたが、河川はときに氾濫を起こし災害の原因になることもあり、人々に大きな被害も与えてきた。そこで洪水を防ぐため、古くから治水事業が行われるようになった。
現在も災害を防ぐための治水はもちろん、水の産業利用を目的としたダムの建設などで、複雑かつ高度な治水事業が行われている。
治水の例としては、ダム・堤防・放水路を建設したり、河川を拡張・掘削して整備したり、かんがいで農地をうるおしたりすることが挙げられる。
人類は水の恵みを利用することで生活を発展させてきたが、河川はときに氾濫を起こし災害の原因になることもあり、人々に大きな被害も与えてきた。そこで洪水を防ぐため、古くから治水事業が行われるようになった。
現在も災害を防ぐための治水はもちろん、水の産業利用を目的としたダムの建設などで、複雑かつ高度な治水事業が行われている。
2. 治水と利水の違いとは?

治水と似た単語に「利水」というものがある。利水とは、水を農業用水や都市用水などにうまく利用することを指す。河川の氾濫を防ぎ水を統制するという意味を持つ治水とは、また違った意味合いだ。
利水の例としては、水道用や工業用、かんがい用といった目的で使用するために上流ダムの水をためたり放流したりして、下流河川に流れる水の量を安定させることなどが挙げられる。
ダムの中には、水力発電を行える多目的ダムもある。水力発電では水をためればためるほど役に立つが、一方では洪水に備え、ダムに一定量の空き容量も設けなければいけない。つまりダムにとっては、治水と利水が矛盾する構図になっているともいえるだろう。
利水の例としては、水道用や工業用、かんがい用といった目的で使用するために上流ダムの水をためたり放流したりして、下流河川に流れる水の量を安定させることなどが挙げられる。
ダムの中には、水力発電を行える多目的ダムもある。水力発電では水をためればためるほど役に立つが、一方では洪水に備え、ダムに一定量の空き容量も設けなければいけない。つまりダムにとっては、治水と利水が矛盾する構図になっているともいえるだろう。
3. 治水の歴史とは?

治水とは洪水による被害を防ぐためのものだが、その歴史を紐解くと、紀元前2000年ごろのエジプトではすでにナイル川の水量を調節する事業が行われていたようだ。同様にインドや中国でも、古くから大規模な治水事業が進められてきた。
戦国時代の治水事業
日本では、戦国大名が積極的な治水事業を行っていた。治水には領民を洪水から守る、耕作地を確保する、川や堀をめぐらせて城や城下町の防御力を向上させるといったメリットがあり、安定した領地を作るためには非常に重要だったのだ。
当時は川に石を積んで水流をコントロールしたり、川の中に堤を築いて川を2本に分流させたり、丸太を組んで水の勢いを弱めたりといった方法が用いられた。代表的なものに、武田信玄が築かせたという山梨県の「信玄堤」がある。
当時は川に石を積んで水流をコントロールしたり、川の中に堤を築いて川を2本に分流させたり、丸太を組んで水の勢いを弱めたりといった方法が用いられた。代表的なものに、武田信玄が築かせたという山梨県の「信玄堤」がある。
江戸時代の治水事業
豊臣秀吉が天下をとった時代、徳川家康は領地である江戸で大規模な治水事業を行った。江戸は湿地が多い土地だったが、家康は現在の東京湾に流れていた利根川を渡良瀬川に合流させるなどし、川の流れを大きく変えた。この治水事業は江戸時代も続き、3代将軍・徳川家光の時代にも引き継がれた。
また、8代将軍・徳川吉宗の時代には、既存の沼を廃して新たに用水路を作り、用水と排水を分けて流す形式が取られ始めた。
また、8代将軍・徳川吉宗の時代には、既存の沼を廃して新たに用水路を作り、用水と排水を分けて流す形式が取られ始めた。
明治時代の治水事業
明治時代になると、ヨーロッパから丈夫な堤防を作る技術が取り入れられた。ダムの建設も行われ、川の水量の調節が可能になった。
4. 日本で行われている主な治水の方法とは?

現在の日本では、水道から出る水の5割近くをダムによる河川水が占めている(※1)。都市用水の多くはダムに依存しており、治水にもダムを利用した方法が欠かせない。
とはいえ、治水の手段はダム以外にも複数ある。その特徴やそれぞれのメリット・デメリットを見ていこう。
とはいえ、治水の手段はダム以外にも複数ある。その特徴やそれぞれのメリット・デメリットを見ていこう。
ダムや遊水地を作る
まずは、ダムや遊水地を利用した治水の方法から紹介する。その方法とは河川にダムを建設し、下流に流れる水量を調節するというものだ。洪水を一時的にためることで水量を減らし、川の水位を下げている。効率的な方法だが広大な土地を必要とするため、町や村をダムに水没させなければいけないこともある。
川を切り替える
河川をほかの川に流れ込むようにしたり、放水路を作って流したりする方法もある。川を切り替えることで、下流の川の水位は低くなる。しかし水を合流させられる側の河川には、洪水が生じる危険性が増してしまう。
川幅を広げる
治水には、川の幅を広げて水位を下げるという手段も有効だ。水位が下がるだけでなく、上流の水はけがよくなるというメリットもある。一方、デメリットは川沿いの土地を水没させなければいけないことだ。
川底を掘る
川底を掘って水位を下げる方法もある。この方法では、新たな土地を必要としないのがメリットだ。しかし、川底を掘ることで川に面している海から塩水が流れ込み、上流まで侵入する可能性がある点は致命的な欠点といえる。
結論
はるか昔より行われてきた治水は、現在の私たちの生活を支えてくれている。治水には紹介したようにさまざまな方法があるが、絶対的によいといえる選択肢は存在せず、その土地や河川に合った手段の採用が重要だ。ダムや遊水地を見かける機会があったら、治水に取り組んできた先人たちに思いをはせてみてはいかがだろうか。