1. ペンの正しい持ち方を身につけることで起こる変化とは
ペンの持ち方を意識すると、いったいどのような効果があるのだろうか?ペンの持ち方を修正する必要性についてまだいまいちピンと来ていない方のために、まずは持ち方を正しくすることで起こる変化をご紹介していこう。
手や指が疲れにくくなる
正しくない持ち方をしている方のなかには、余計なところに力が入っていて長時間字を書いていると疲れてしまう方もいるだろう。手が疲れやすい、ペンだこができやすいという方はとくに、ペンの持ち方を正すことで改善する可能性がある。
字が書きやすくなる
余計なところに力が入っていたり、角度がついた持ち方をしていたりすると、字にもその影響が現れやすくなる。字が斜めになる、トメやハライが自然に書けないという方は、持ち方を正すことで自然な力の入れ方がわかり、バランスのよい字へ導くことができる。
ペンだこができにくく(悪化しにくく)なり、姿勢が改善される可能性も
ペンの持ち方を変えることでペンだこができにくくなる、もしくは悪化しにくくなるなどの変化も起きるだろう。また、正しい持ち方では手の平を下に向けるため、脇がしまって姿勢が改善される可能性もある。
2. ペンの正しい持ち方|それぞれの「指」の使い方と力加減
ペンの持ち方を正すと起こる変化をお伝えしたところで、さっそく正しい持ち方をご紹介していこう。親指・小指など指の使い方・握り方・角度など、ペンを正しく持つコツをぜひ参考にして今すぐ実践してみてほしい。
ペン先から3cmほど上を持つのが基本
ペンを持つ位置は、ペン先から指2本分ほど(約3cm)上がよい。ペン先に近すぎず遠すぎず、自然な力で握れるところを見つけよう。
ペンは親指・人差し指・中指で持つ
ペンを持つ指は、親指・人差し指・中指の3本。親指と人差し指でペンをつまみ、中指の第一関節あたりで支えるのがポイントだ。3本の指の中央にペンがくるように、持ち方のバランスを意識しよう。ペンと人差し指の間に隙間ができないようぴったりくっつけ、親指は人差し指よりもやや上の位置に来るのが正しい持ち方だ。
3本の指には力を入れすぎず、やや伸ばした状態でリラックスするのがいいだろう。手のひらはぎゅっと握らず、やさしく卵を持つように空間をあけるとよい。
3本の指には力を入れすぎず、やや伸ばした状態でリラックスするのがいいだろう。手のひらはぎゅっと握らず、やさしく卵を持つように空間をあけるとよい。
ペンを直接持たない小指の使い方も重要
小指側の側面から手首を机につけることでペンが安定しやすく、角度が保たれてバランスを取りやすくなる。ペンを持つと小指が軽く握られた状態になるので、このまま軽く自然に力を入れ、小指を支えにしながら文字を書こう。
薬指にも大切な役割がある
一見使わないように思える薬指だが、親指・人差し指・中指の3本でペンを持った際、中指に添えてペンを包み込むように補助するといいだろう。中指・薬指・小指で丸い形を作るように、そっと添えておこう。
ペンを持つ「角度」も意識しよう
紙とペンの間の角度は、60~90度程度になるように意識したい。ペンを寝かせて書くと、ペンの先端にあるボールが回転せず、インクが出にくくなってしまう。かすれないようスムーズに書くには、ペンをやや立たせながら動かすといい。
3. ペンの正しい持ち方|手のどこを「支え」とするかも重要
見過ごしやすいのは、手のどこを「支え」とするかというポイントだ。字を書くとき、紙に手のどの部分をつけて支点とすればいいのか見ていこう。
小指側の手のひらの側面で支える
上でご紹介したように、小指側の側面から手首を紙につけることでペンが安定しやすくなる。小指側の側面を紙につけて書くときの支えとすることで、ペン先のふらつきが軽減し動かしやすくなるためだ。とくに手のひらの側面で小指側のつけ根にある、「豆状骨」と呼ばれる骨のあたりをしっかりくっつけるといいだろう。豆状骨は手首の近くにある、触るとグリグリとした感触のある骨を指す。
4. ペンの持ち方と同じくらい大切なのが字を書くときの「姿勢」
ペンの持ち方が重要なのはもちろんだが、実は字を書くときの姿勢も同じくらい大切だ。以下でご紹介する姿勢もぜひ意識してほしい。
字を書くときの正しい姿勢とは
字を書くときには、まず背筋を伸ばして椅子に座り、机と体の間に拳1つほどのスペースをあけておこう。猫背では文字のバランスを俯瞰できず、字をななめに書いてしまう可能性があるためだ。
また脇の下も拳1つ分ほどあけ、机と腕の角度は45度程度になるようにしよう。ほかにも骨盤で上半身を支える、足の裏をしっかり床につける、椅子の高さを調整して机と肘を同じくらいの高さに合わせるなどのポイントも押さえておきたい。
また脇の下も拳1つ分ほどあけ、机と腕の角度は45度程度になるようにしよう。ほかにも骨盤で上半身を支える、足の裏をしっかり床につける、椅子の高さを調整して机と肘を同じくらいの高さに合わせるなどのポイントも押さえておきたい。
5. ペン以外(鉛筆や万年筆)の持ち方のポイントと「角度」について
ペンを持つ角度は60~90度が理想だとご紹介してきたが、鉛筆や万年筆を持つ場合は正しい角度が異なる。
鉛筆の持ち方のポイントと正しい角度
鉛筆はペンほど立てて持つ必要がなく、55~60度の角度で持つことが推奨される。基本的な持ち方はボールペンなどの場合とほとんど同じだが、人差し指に沿わせるように持つと安定して書きやすい。
万年筆の持ち方のポイントと正しい角度
万年筆はさまざまな角度で書けるが、60度程度の角度で持つのが自然だ。小さい文字を書く際は75度程度に立て、ゆったりとした文字を書きたいときは45度程度で持つのもいいだろう。角度が少し違うだけでも線の太さが変わるため、いろいろ試してみてほしい。
6. ペンの正しい持ち方をマスターするための練習方法
正しい持ち方をご紹介したものの、いざやってみると意外と難しいもの。大人になってからペンの持ち方を矯正するには、それなりのトレーニングが必要だ。ここでは、ペンの正しい持ち方を身につけるための矯正方法をご紹介する。スキマ時間にぜひやってみてほしい。
1日1文字を目標にコツコツと継続する
いきなり正しい持ち方をキープしようとしても、逆に疲れてしまうなど、キレイな字が書けるどころか支障がでてくる。まずは毎日練習時間を決めて、1文字でいいから正しい持ち方で書いてみる習慣をつけよう。少しずつ書く文字を増やしていくことで、書くことに慣れて正しい持ち方をキープしやすくなる。
はじめは鉛筆やシャーペンを使うとやりやすい
ボールペンは芯が硬く、線も均一で強弱がつきにくい。はじめのうちは力加減がわかりやすくなるよう、芯がやわらかく強弱のつけやすい鉛筆やシャープペンシルを使うのもおすすめだ。鉛筆を使う場合は2Bなど、やわらかい芯のものを使うとよい。シャープペンシルは0.9mmなど、芯が太めのタイプを選ぶといいだろう。
7. ペンの持ち方を矯正できるグッズを活用すると便利
持ち方の癖が強く、なかなか矯正できない方には、ペンの持ち方を修正するグッズを使うのもおすすめだ。各メーカーからさまざまなグッズが販売されているので、ぜひチェックして自分に合うものを見つけてみよう。
ペンに通すタイプ
ペンに通して使うタイプは、親指・人差し指・中指を正しい位置に導いてくれる。指がズレにくく、正しい持ち方で書く練習用にぴったりだ。
ペンと指で挟むタイプ
ペンに取り付けるタイプのグッズ以外に、ボールペンと指の間に設置して、挟んで使うタイプもある。ボールペンと指の支えとなり、適切な位置や角度をキープしてくれる。
ダブルクリップで代用する方法もある
矯正アイテムとして、身近にあるグッズを使うこともできる。書類を綴じるためのダブルクリップでペンを挟み、側面に親指と中指、クリップの挟み口部分に人差し指をそえるだけでOK。クリップの持ち手部分が指を支えてくれるので、正しい持ち方を簡単にキープすることができる。
8. ペンの持ち方を矯正したい方におすすめのアイテム3選
最後に、ペンの持ち方を矯正したい方におすすめのアイテムをご紹介しよう。
クツワ「プニュグリップ」
鉛筆にはめて使うグリップタイプで、指を置く位置にくぼみがあるため正しい持ち方を実現しやすい。すべりにくく手にフィットし、4個入りなので複数の鉛筆につけられる。
トンボ「Yo-i もちかたくんシリーズ」
「もちかたくん」は、鉛筆につけることで正しい指の位置が覚えられるアイテム。指にはさんで鉛筆をのせて使う「ユビックス」もセットになり、正しい角度も学べる。
北星鉛筆「大人のもちかた先生」
ボールペンに補助具がついたアイテムで、付属のクリップを人差し指にかけて使う。指を置く位置には大きな穴があり、持ち方がわかりやすいのも特徴だ。
9. ペンの正しい持ち方は身につけられる!一歩ずつ進んでいこう
「大人になってからペンの持ち方を直すのはハードルが高い」と思うかもしれないが、ペンの正しい持ち方は少しずつ慣らしていくことで身につけられる。はじめは鉛筆などを使い、1日1文字を目標にコツコツと練習を継続してほしい。毎日少しずつでもトレーニングして、一歩一歩進んでいこう。
結論
ペンは親指・人差し指・中指を使い、力みすぎずふんわりと包むように持つのが理想だ。角度は60~90度程度を意識し、小指側の側面を紙につけ、書くときの支えにするのがいい。うまく持てない場合はペンの持ち方を矯正できるグッズを活用するのも効果的なので、ご紹介したアイテムをチェックしてみよう。