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耐震診断ではどんなことをする?義務づけられている建物や診断方法は

耐震診断ではどんなことをする?義務づけられている建物や診断方法は

投稿者:ライター 松本マユ (まつもとまゆ)

鉛筆アイコン 2022年1月20日

東日本大震災や熊本地震など、ここ数年で大きな地震は何度も起こっている。日本は地震大国ともいわれるため、大地震の際に自宅が倒壊しないか心配な方もいるだろう。そこでこの記事では、家の耐震性能をチェックできる「耐震診断」について解説する。耐震診断は何のために行うのか、義務づけられているのか、どういった方法で調査するのか、費用がいくらかかるのかなど、さまざまな疑問にお答えしよう。

  

1. 耐震診断とは何?どんなことをするの?

耐震診断では、建物にどれくらいの耐震性能があるかを調べ、大地震で倒壊しないか確認する。耐震診断を行う専門の機関はいくつかあるが、自治体の補助金を受ける場合はいずれも「一般財団法人日本建築防災協会」が定めたマニュアルをもとに診断している。

耐震診断の内容は?

耐震診断の内容は、一般診断と精密診断の2種類に分けられる。一般診断での主な調査内容は、現地の基礎や地盤、劣化の状況、壁の材質、屋根の重量などだ。この段階では、壁や床などを壊して調査することはない。

一般診断で判明した耐震性能がよくない場合は、精密診断を行う。コンクリートの強度や柱と壁の断面積などを診断し、一般診断よりも詳細な結果を出すのだ。精密診断では、構造を確認するために壁などを壊す場合もある。

2. 耐震診断が義務づけられている建物とは

耐震診断の対象となるのは、昭和56年(1981年)5月31日以前に着工された建物だ。該当時期の建物は耐震性能が低いおそれがあり、耐震診断が義務づけられている。同年の6月1日に「建築基準法施行令」が改正されたため、6月1日以降に着工された建物は新耐震基準を満たしており、耐震診断の義務はない。

しかし、昭和56年6月1日以降に着工された建物でも耐震診断を受けられる。雨漏りする、シロアリなどの被害があるといった場合は、建物の劣化が進んでいる可能性が高いため、耐震診断を一度受けておくといいだろう。

3. 耐震診断の診断基準と調査方法

耐震診断の方法は建物の構造によって異なる。第一次診断、第二次診断、第三次診断という3つの方法があるので、それぞれの違いについて見ていこう。

第一次診断

第一次診断は、壁量が多い建物を診断する。柱と壁の断面積や、コンクリートの強度をもとに耐震性能を測る。3つの耐震診断方法の中ではもっとも簡易的だ。

第二次診断

第二次診断では、柱や壁の強度、壊れかけても耐力を失わない「靭性」と呼ばれる性質などを調べる。主に柱や壁の倒壊により耐震性能が決まる建物を診断する。算出の難易度は第一次診断よりも高い。

第三次診断

柱や壁だけでなく梁(はり)の強度も考慮に入れ、建物の「保有水平耐力」を計算する。主に梁が倒壊したり、壁が回転したりすることで耐震性能が決まる建物向きだ。耐震診断の中ではもっとも高難易度だ。

4. 耐震診断の依頼先

自宅の耐震診断を行うには、お住まいの自治体に依頼するといい。自治体は耐震診断の申し込みを毎年受け付けており、自治体の補助で格安もしくは無料で受けられる。申し込み時には、新築した年や延べ面積がわかる書類が求められる場合が多い。対象となる住宅の条件や申し込み期間は自治体のホームページなどで確認しよう。また、一般財団法人日本耐震診断協会(※1)や、日本木造住宅耐震補強事業者協同組合(※2)などの団体に依頼するという手もある。

耐震診断を行ったほうがいいか迷った場合は、一般社団法人日本建築防災協会が運営する「耐震支援ポータルサイト」(※3)で、「誰にでもできるわが家の耐震診断」というプログラムを使ってみるのがおすすめだ。パソコンやスマートフォンからアクセスでき、自宅の耐震性能が簡単にわかるので参考にしてみてはいかがだろうか。

5. 耐震診断の費用

耐震診断を自治体に依頼した場合、格安な費用、もしくは無料で行ってもらえるケースが多い。ただし、耐震診断の対象となる住宅には条件が定められているため、ホームページなどで確認しよう。また自治体によっては、1m2(平方メートル)あたりの補助限度額を定めているところもある。

耐震診断を行っている団体に申し込む場合、鉄筋コンクリート造や鉄骨造では、1m2(平方メートル)あたり1,000~3,000円程度が相場だろう。木造住宅の場合、20万円以上はかかると見ておいたほうがいい。

結論

大地震はいつ起こるかわからないものだ。もしもの際に自宅が倒壊しないためにも、昭和56年5月31日以前に着工された建物では必ず耐震診断を行い、結果に応じて自宅を改修工事するといい。それ以降の建物でも、家の耐震性に不安があるなら診断を受けてみるといいだろう。
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  • 公開日:

    2020年12月 1日

  • 更新日:

    2022年1月20日

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