1. お正月の縁起物の意味とは?
お正月を迎える前、年末に大掃除をする家庭が多い。そして、縁起物を飾ってお正月の準備をする。お正月の料理のなかにも、縁起を担いだものが多く存在している。お正月に縁起物を飾ったり食べたりする理由を解説する。
お正月は歳神様を迎えるためのお祭り
お正月とは、歳神様(としがみさま)を家のなかに迎えるお祭りである。歳神様は新しい1年に実りをもたらし、子孫繁栄を見守ってくれる神様だ。神様を迎えるために年末は家中を掃除して清める。そして、神様の目印となるように、縁起物を飾って迎え入れるのだ。
縁起物には意味がある
飾りやお正月料理などに入っている縁起物には、それぞれ意味がある。長寿や子孫繁栄、幸福などの願いを込めて、家族のために準備する。具体的な縁起物の意味については、次の章以降で解説しよう。
2. お正月の縁起物の意味【食べ物編】
お正月料理は縁起物が多く入っている。縁起物を食べ物として取り込むことで、新年が幸福になるように祈願する。お正月料理ごとに込められた意味や願いを解説しよう。
年越しそば
大晦日に食べるのが一般的な年越しそばは、「そばのように細く長く生きられますように」と、長寿を願う意味が込められている。そばにはネギが欠かせないが、これには「1年の疲れを労う(ねぎらう)」という意味がある。
鏡餅
鏡餅はお正月に欠かせない、歳神様へのお供え物である。神様が宿るようにと、神事に用いられる鏡と同じ円形だ。上下に重ねられた大小2つの餅は、太陽と月を表していて、円満に年を重ねられるようにという意味が込められている。
お雑煮
お雑煮は地域によって具材や味付けが異なるが、どのようなタイプであっても縁起物だ。お供えした野菜や餅で作ったお雑煮を歳神様と一緒に食べることで、神様の力を分けていただくという意味合いがある。
おせちの食材
おせちは縁起物の宝庫である。食材のそれぞれに異なる意味合いがあるので、紹介しよう。
- 栗きんとん(黄金色の財宝に似ていることから、豊かになるようにという願いが込められている)
- 黒豆(「マメに働けますように」と、健康を願う)
- 数の子(たまごが多数付いているので、子孫繁栄の意味合いがある)
- 昆布巻き(「喜ぶ」を「よろこんぶ」とかけている)
お酒
お正月に飲むお酒といえば、お屠蘇(おとそ)だ。お屠蘇には、病気を起こす鬼を打ち負かすという意味がある。お屠蘇は薬酒で、日本酒に「屠蘇散」を浸して作る。旧年を無事に終えたことを感謝し、新年も元気に過ごせるように願って、元旦に飲む習慣がある。
3. お正月の縁起物の意味【飾り編】
お正月飾りも縁起物が多く使われている。それぞれの飾りの意味を解説する。
門松
門松は別名「松飾り」とも呼ばれ、歳神様を家に招く目印として飾られる縁起物だ。門松は松と竹で作られているが、とくに松には「神様を待つ」という意味がある。松は常緑樹で樹齢が数千年というものもあるため、不老長寿の象徴だ。竹も、曲がらずまっすぐ伸びる植物なので、「強い志」の象徴である。どちらも寒い冬でも枯れないので、お正月の縁起物とされている。
しめ縄飾り
しめ縄飾りも、お正月は玄関先に飾る家庭が多い。しめ縄は、神聖なものと世俗の世界との境界に張られるものである。このしめ縄とウラジロ・ダイダイ・ユズリハという縁起のよい植物で作られたのがしめ縄飾りだ。ウラジロは「夫婦円満」、ダイダイは「一族代々の繁栄」、ユズリハは「子孫繁栄による世代交代」をそれぞれ表している。
結論
お正月に食べたり飾ったりする縁起物について解説してきた。お正月は歳神様を家に招き入れ、新年が良い1年になるように願うお祭りである。歳神様を迎える目印として縁起物を飾ったりお供えしたりする。そして、お供え物をいただくことで、神様の力を分けてもらうという意味合いがある。家族の幸せを願って、お正月は多くの縁起物に囲まれてみてはいかがだろうか?