1. 「冬土用」とは?土用は夏だけじゃない!?

まずは冬土用についての基礎知識について紹介する。一般的に知られている夏土用との違いと併せて詳しく説明しよう。
土用の基礎知識
土用の正式名称は「土旺用事(どおうようじ)」で、季節の変化の目安となる特定の日(雑節)の一つだ。季節を示す二十四節気「立夏」「立秋」「立冬」「立春」の直前にある約18日間を土用といい、もともとは中国古来の五行思想が由来となっている。
「夏は火」「秋は金」「冬は水」「春は木」と、季節にはそれぞれ五行の要素が割り当てられていた。五行の中で土を表す季節がなかったことから、その変わり目が土用と呼ばれるようになったとされる。
「夏は火」「秋は金」「冬は水」「春は木」と、季節にはそれぞれ五行の要素が割り当てられていた。五行の中で土を表す季節がなかったことから、その変わり目が土用と呼ばれるようになったとされる。
冬土用とは?
立春前の約18日間が冬土用だ。現在では土用といえば立秋前の「夏土用」であり、「土用の丑の日」「土用餅」「土用しじみ」といった風習が親しまれているが、他の土用も暦には記入されている。
現行暦だと太陽の黄経が「夏が117°」「秋が207°」「冬が297°」「春が27°」になったときを、土用の入りと定めている。冬土用の期間には毎年違いがあるので、いつなのかチェックしておこう。
現行暦だと太陽の黄経が「夏が117°」「秋が207°」「冬が297°」「春が27°」になったときを、土用の入りと定めている。冬土用の期間には毎年違いがあるので、いつなのかチェックしておこう。
2. 2021年の「冬土用」はいつからいつまで?

2021年の冬土用が始まる土用入りと、終わる冬土用明けの日にちを紹介しよう。また、土用の期間中の丑(うし)の日・未(ひつじ)の日・間日(まび)についても挙げておく。
- 1月17日:冬土用入り 丑の日(一の丑)
- 1月18日:間日(寅)
- 1月19日:間日(卯)
- 1月21日:間日(巳)
- 1月23日:未の日
- 1月29日:丑の日(二の丑)
- 1月30日:間日(寅)
- 1月31日:間日(卯)
- 2月2日:間日(巳)
- 2月2日:冬土用明け
- 2月3日:立春
古い暦では日にちを十二支で表しており、丑にあたる日が「丑の日」だ。土用は約18日間なので、十二支がめぐることで丑の日が2回くることもある。2021年の冬土用は2回の丑の日があるわけだ。
また、間日は「土公神(どくじん)」が土の中からでてくるとされる日にちだ。陰陽道で土を司るとされる神様で、「土公(つちぎみ)」とも呼ばれる。冬土用の間日は「寅」「卯」「巳」なので、こちらも確認しておこう。
また、間日は「土公神(どくじん)」が土の中からでてくるとされる日にちだ。陰陽道で土を司るとされる神様で、「土公(つちぎみ)」とも呼ばれる。冬土用の間日は「寅」「卯」「巳」なので、こちらも確認しておこう。
3. 「冬土用」に避けた方がいいこととは?

冬土用の期間中には「してはいけない」とされていることがある。避けた方がいいことと、間日について紹介しよう。
土を動かさない
土用は土公神が土の中にいる期間だ。土を動かす作業を避けるべきとされており、冬土用でもそれは同じである。具体的には造園や柱立て、移築、基礎工事、壁塗り、井戸掘りなどがあげられるだろう。
工事の着工や工程をずらして避ける建築関係の方は多い。冬土用だけではなく、春土用や夏土用、秋土用でも同様のことがいえる。ただし、そうなると工事ができる期間が制限されるため、してもよい日についてもチェックしてほしい。
工事の着工や工程をずらして避ける建築関係の方は多い。冬土用だけではなく、春土用や夏土用、秋土用でも同様のことがいえる。ただし、そうなると工事ができる期間が制限されるため、してもよい日についてもチェックしてほしい。
土を動かしていい日
土用の間であっても、土公神が土の中から出てくる間日なら土を動かせる。土をいじりたいなら、冬土用の間日である寅と卯、巳の日を選ぼう。ただし、冬土用以外だと土用の間日はそれぞれ異なる。
春土用は「巳」「牛」「酉」、夏土用なら「卯」「辰」「申」、秋土用だと「未」「酉」「亥」の日だ。もし土用の最中に工事をする場合は、こちらも確認したほうがよいだろう。
春土用は「巳」「牛」「酉」、夏土用なら「卯」「辰」「申」、秋土用だと「未」「酉」「亥」の日だ。もし土用の最中に工事をする場合は、こちらも確認したほうがよいだろう。
移動もNG?
土用の由来となっている五行は方角とも大きく関係している。北は水、南は火、西は金、東は木に当てはめられるが、土はどの方角にも属していない。
そこから土用の間は移動を避けるべきとされている。縁起が気になる方は、土用の期間中に大きく移動する引っ越しや旅行は避けたほうがよい。
そこから土用の間は移動を避けるべきとされている。縁起が気になる方は、土用の期間中に大きく移動する引っ越しや旅行は避けたほうがよい。
4. 「冬土用」に縁起の良い食べ物と過ごし方は?

一般的にうなぎの印象が強い土用だが、冬土用では違う食べ物を食べる。冬土用に縁起がよいとされる食べ物と過ごし方について解説しよう。
「ひ」のつく食べ物
冬土用では未の日に「ひ」のつく食べ物を食べるのがよいとされる。ヒラメや干物、ひじき、菱餅などがあげられるだろう。また、同様に赤い食べ物も縁起がよいとされている。りんごやトマト、いちご、かに、タコといった食べ物を冬土用に食べてほしい。
冬土用にもうなぎ?
うなぎは「う」から始まる食べ物がよいとされる夏土用の丑の日に食べる。しかし、うなぎの旬は夏ではなく晩秋から初冬にかけてだ。冬土用に美味しいうなぎを食べようという取り組みも始まっているので、旬の味を楽しんでみよう。
丑湯を楽しもう
「丑湯(うしゆ)」という習慣をご存知だろうか。緑茶や桃の葉、よもぎの葉などの薬草をお風呂に入れて、ゆったりと浸かって体を休める。一般的には夏土用の習慣だが、体が冷えやすい冬土用に取り入れるのもよいだろう。緑茶やハーブティーの茶葉をパックに入れて浮かべるだけなので簡単だ。
結論
土用は日本で昔から続いてきた習慣の一つだ。現在では土用といえば夏土用だが、立春前の冬土用にも注目してみよう。土用の期間を意識することで、四季の移り変わりを実感できる。土いじりを避けてみたり、「ひ」がつく食べ物を味わったりすれば、冬土用について理解が深まるだろう。