- 1. 使い捨てカイロは再利用できる
- 2. 使い捨てカイロの再利用アイデア|消臭剤として
- 3. 使い捨てカイロの再利用アイデア|除湿剤として
- 4. 使い捨てカイロの再利用アイデア|土壌改良用の土として
- 5. 使い捨てカイロは水質改善にも役立っている
- 6. 使い捨てカイロを再利用する際の注意点
- 7. 使用済みの使い捨てカイロを上手に再利用してみよう
- コーヒーフィルターを2〜3枚を重ね、コーヒーメーカーにセットする
- 使い捨てカイロの中身を入れる
- 150〜200mlほどの水をゆっくり注ぐ
- 十分に水が切れたら取り出す
1. 使い捨てカイロは再利用できる
使い捨てカイロが再利用できるのは、その成分が大きく関係している。まずは簡単に、使い捨てカイロの中身や再利用できる理由などから解説していこう。
使い捨てカイロの中身
使い捨てカイロの中身は細かな鉄粉と水、塩分と活性炭、そしてバーミキュライトと呼ばれる土壌改良用の土などが含まれている。
使い捨てカイロが温かくなる仕組み
パッケージから取り出した使い捨てカイロをよく見ると、表面に微細な穴があいている。そこから入り込んだ酸素と鉄粉が反応することで酸化が始まり熱が発生する。塩分や水には酸化を促す作用があり、活性炭には酸素を供給したり熱を保ったりする役割がある。バーミキュライトには保水効果や、余分な水分を取り込んで鉄粉をサラサラにするといった働きがある。
このように使い捨てカイロは短時間で効率よく温まるための工夫、そして熱を長時間キープするための工夫が詰め込まれているのだ。なお化学反応を終えた使い捨てカイロは再度発熱することがない。ただしそれが再利用できるという理由にはならない。ポイントは各成分だ。
再利用が可能な理由
上述のように、使い捨てカイロには鉄粉や水、塩分や活性炭、バーミキュライトが含まれている。たとえば活性炭は表面に非常に微細な穴があり、臭い成分や湿気などを吸着することができる。活性炭が消臭剤や除湿剤などに用いられるのはこのためだ。
また使い捨てカイロに含まれるバーミキュライトは天然のケイ酸塩鉱物であり、園芸用の土としても用いられている。また高温で処理されることから無菌性という特徴がある。加熱時に水分が水蒸気となって放出されるため、空洞ができ、そこへ水や肥料、空気が入り込むことで高い保水性が生まれる。土の中のミネラルを豊富に保持できるなど保肥性も高い。
こうした特性を生かすことにより、使い捨てカイロは再利用が可能となる。
2. 使い捨てカイロの再利用アイデア|消臭剤として
それでは、使い捨てカイロを再利用する具体的な方法を紹介していこう。まずは消臭剤として再利用する方法から説明する。
使い捨てカイロを消臭剤として再利用する方法
すでにお伝えしたように、使い捨てカイロに含まれる活性炭には臭い成分を吸着する力がある。これを生かした再利用方法が消臭剤だ。靴の中や下駄箱、クローゼットやトイレなど、においが気になる場所に使用済みの使い捨てカイロを不織布パックごと置いておこう。
含有量がわずかなので劇的な消臭効果は期待できないかもしれないが、それでも何個か集まればある程度の効果を発揮してくれるだろう。効果の持続期間は1週間程度が目安だ。
3. 使い捨てカイロの再利用アイデア|除湿剤として
続いて、使い捨てカイロを除湿剤として再利用する方法を紹介しよう。
使い捨てカイロを除湿剤として再利用する方法
使い捨てカイロに含まれる活性炭は湿気も吸着してくれる。空気の流れが悪く湿気が溜まりやすいクローゼットや押入れ、下駄箱やシンク下などの湿気対策に使ってみてはいかがだろうか?一般的な除湿剤よりは持続時間が短いが、それでも多少は効果が期待できる。
同じく使い捨てカイロを不織布パックごと置いておくだけでよい。より除湿効果を高めたければ、中身が飛び散ったり空中に舞い上がったりしないように注意しながら、平たいお皿などに移し替えるとよいだろう。
4. 使い捨てカイロの再利用アイデア|土壌改良用の土として
使い捨てカイロに含まれるバーミキュライトの性質を生かした再利用のアイデアも紹介しておこう。
使い捨てカイロを土壌改良用の土として再利用する方法
バーミキュライトを肥料に混ぜて使うことにより、植物が育ちやすくなるといわれている。鉄粉にも土が鉄分を効率よく補給できるといった効果が期待できるため、ガーデニングが趣味の方などはぜひ覚えておくとよいだろう。ただしそのまま使用するのはNGだ。
【ろ過してから再利用すること】
一般的な使い捨てカイロには酸化を促すための塩分が含まれている。そのまま肥料に混ぜて再利用すると植物に塩害が生じるおそれがあるため気をつけよう。この場合は、一度使い捨てカイロをろ過して塩分を取り除く必要がある。
使い捨てカイロをろ過する方法
この方法であればご家庭でも手軽にろ過できる。塩分が十分に取り除かれていることを確認するため、まずは雑草が生えている場所に撒いて枯れないことを確かめよう。枯れなければそのまま肥料に混ぜて使用し、塩害が認められる場合は再度、水の量を増やしてろ過するなどしよう。
5. 使い捨てカイロは水質改善にも役立っている
東京海洋大学の佐々木剛教授により、使い捨てカイロに含まれる鉄粉や活性炭を水に入れることで、化学的酸素要求量(有機物による水質汚濁の指標=COD)が改善したことが報告された。
それを受けて、大阪府大阪市に本拠を構える「GoGreenGroup株式会社」では、使い捨てカイロの中身を使った水質改善に取り組んでいる。鉄粉と活性炭に有機酸を混ぜたものを粒状に圧縮加工する。それを水に入れることで悪臭やヘドロを減らしたり、プランクトンが大量発生するのを防いだりする効果が期待できるという。
使い捨てカイロの中身が環境改善に大きく寄与する可能性を示唆している。一つひとつは微量でも、全国から集まればかなりの量になるはずだ。同社では使用後の使い捨てカイロを回収しているので、興味がある方はぜひホームページをチェックしてみてはいかがだろうか?
6. 使い捨てカイロを再利用する際の注意点
使い捨てカイロを再利用するにあたって、いくつか注意点があるのでお伝えしておこう。
肥料として使えない使い捨てカイロもある
土壌改良用の土として使える場合、パッケージなどにその旨(使用後に土壌改良剤として使える等)が記載されている。それ以外の使い捨てカイロについては、土壌改良用に使えるかどうかが不明であるため、メーカーに確認を取るか使用を控えたほうがよいだろう。
処分する際は自治体のルールに則る
使い捨てカイロの処分方法は自治体によって「可燃ごみ(草加市)」「不燃ごみ(横須賀市)」「陶磁器・ガラスなどのごみ(松戸市)」「金属・陶器・ガラスごみ(新宿区)」などバラバラだ。適当に廃棄せず、必ずお住まいの自治体のルールに沿って処分しよう。
劇的な消臭効果や除湿効果は期待しない
消臭剤や除湿剤といった使い方は、あくまで再利用できるというひとつのアイデアだ。使い捨てカイロに含まれる活性炭の量は非常に少ないため、市販の消臭剤や除湿剤のような効果は期待しないほうがよいだろう。
7. 使用済みの使い捨てカイロを上手に再利用してみよう
使い捨てカイロは中身の特性を生かすことで再利用できる場合がある。本稿で紹介したアイデアを参考に、ぜひ上手に再利用してみてほしい。もちろん、水質改善に役立ててもらうために寄付することも立派な再利用だ。寒い季節はどうしても増えてしまう使用済みの使い捨てカイロだが、可能であればぜひ有効活用してみよう。
結論
使い捨てカイロに含まれる鉄粉や活性炭、バーミキュライトといった成分は使用後も別の用途がある。市販品ほど大きな効果は期待できないものの、そのまま処分するよりは再利用したほうがなんとなく気持ちがいいものだ。ただし、土壌改良用には使えない使い捨てカイロもあることが考えられるため、パッケージなどでよく確認してほしい。