1. 床暖房の種類ごとの特徴

床暖房には、大きく分けて2種類ある。沸かしたお湯を床下のパイプに循環させる「温水式床暖房」と、電気の力で床下の電熱線を暖める「電気式床暖房」だ。そして、使用する熱源やシステムによって、さらに数種類に分けられる。続いて、種類ごとに床暖房の特徴を見ていこう。
温水式床暖房
専用の給湯器などの熱源機を設置し、そこで沸かした温水をパイプに循環させることで、床を暖める仕組みの温水式床暖房。水を沸かすための熱源によって、いくつかの種類がある。温水式床暖房の熱源として使用されるのが、ガスや灯油、電気(ヒートポンプ)だ。ガスが一般的な熱源だが、オール電化住宅であれば、電気を使用するヒートポンプや多機能エコキュートも採用されている。電気代が安くなる深夜電力でお湯を沸かし、タンクにためておいたものを日中に使用する仕組みのため、光熱費を抑えられるのが利点だ。基本的な仕組みはヒートポンプもエコキュートも同じだが、ヒートポンプは大気の熱を再利用するため、環境に優しく、光熱費の節約にもなる。また、最もランニングコストが安いとされるのが、灯油を使った温水式床暖房。石油の原価に左右はされるものの、ランニングコストは比較的安い傾向にある。ただし給油の手間がかかるのも特徴だ。ほかにも、太陽光の熱でお湯を沸かす、太陽熱利用温水器を利用した床暖房もある。
電気式床暖房
電気式床暖房は、床下の電熱線を電気の力で暖めている。どれも電気を熱源とするが、蓄熱式、電熱線ヒーター式、PTCヒーター式などが代表的な種類だ。蓄熱式は、深夜電力で熱を蓄えておき、日中に利用する仕組み。月々の電気代を抑えられるのが利点といえる。電熱線ヒーター式は、電熱線の貼られたパネルを床下に敷くシンプルな構造で、設置費用が抑えられるのが最大の利点だ。その反面、深夜電力などではなく、電源を入れて稼働している時点の電気を使用するため、月々の電気代が高くなる傾向にある。PTCヒーター式は、日差しなどによって偏りが出る床の温度を感知し、自動で温度調整してくれるため、温度を一定に保てるのが特徴だ。さらに、温度が高い場所は発熱量を抑えてくれるため、省エネでもある。
2. 床暖房の種類ごとのメリットやデメリット

床暖房を種類ごとに比較する際は、設置のための初期費用とランニングコストが大きなポイントになる。しかし種類ごとに熱源や暖める仕組みが異なるため、注目すべきはコストのみではない。温水式床暖房と電気式床暖房、種類ごとの特徴がわかったところで、メリットとデメリットを見ていこう。
温水式床暖房のメリット
- 電気式床暖房よりランニングコストが安い
- 床の温度にムラがない
- 低温火傷の心配がほとんどない
- 立ち上がりが早く、暖まるまでの時間も短い
温水式床暖房のデメリット
- 温水パイプや給湯機など、設置のための初期費用が高い
- 設置する際の工事が電気式よりも大がかりになる
- 熱源機のメンテナンスが必要になる
電気式床暖房のメリット
- 熱源機が不要のため、温水式よりも初期費用が安く抑えられる
- 構造がシンプルなため、リフォーム時などにも設置しやすい
- メンテナンスがほとんどいらない
電気式床暖房のデメリット
- 電熱線の結合部分が暖まらないため、床の温度にムラができる
- ランニングコストが高くなる傾向にある
- 立ち上がりが遅く、温水式よりも暖まるまでに時間がかかる
- 低温火傷に注意が必要
3. 床暖房の種類ごとの費用

メリットとデメリットでも触れているが、床暖房は種類ごとに設置費用とランニングコストに違いがある。温水式床暖房は、給湯機などの熱源機が必要になり、さらに温水パイプを設置するため、設置費用が高くなってしまう。電気式床暖房は温水式と比較すると構造がシンプルであり、熱源機が不要のため、設置費用が抑えられるのだ。ただし、月々のランニングコストとしては、温水式床暖房の方が比較的安いことも忘れてはいけない。電気式床暖房も、蓄熱式やPTCヒーター式などの電気代を抑える種類もあるが、それでも温水式の光熱費よりは高くなりがちだ。長い目で見た場合は、温水式床暖房の方がコストを抑えられる可能性もある。光熱費が気になってしまい、せっかくの床暖房を使いづらいと感じてしまってはもったいない。床暖房の種類を比較する際は、設置のための初期費用だけに着目するのではなく、ランニングコストもしっかりと考慮に入れておこう。
4. おすすめの床暖房の種類は?

おすすめの床暖房の種類は、何を優先するかでかわってくる。また、基本の2種類にも、熱源や機能、システムによっていろいろなタイプがあるため、種類ごとの特徴を理解しておくのが重要だ。そして、自身や家族のライフスタイル、使用環境などを考慮に入れて検討しよう。ここから、おすすめの床暖房の種類を選ぶためのポイントを解説していく。
設置費用とランニングコストで選ぶ
設置費用は、構造がシンプルな電気式床暖房の方が安く抑えられる。一方、ランニングコストでは温水式床暖房の方が安くなることが多い。在宅時間が長く、長時間の使用が予想される場合は、温水式床暖房がおすすめだ。反対に在宅時間が短く、朝夕などの短時間のみの使用であれば、電気式床暖房が適している。
設置したい面積や部屋の数で選ぶ
リビングなどの広い面積に設置する、または複数の部屋で使用する場合は、温水式床暖房の方が適している。ソファやベッドの足元、キッチンといった部分的なスペースに設置する場合は、電気式床暖房がよいだろう。
安全性で選ぶ
小さなお子様や高齢者のいる家庭であれば、低温火傷の不安がない温水式床暖房がよいだろう。
結論
床暖房には、大きく分けて温水式床暖房と電気式床暖房の2種類があり、熱源やシステムによってどちらもさまざまなタイプがある。設置費用やランニングコストのほか、立ち上がりのスピード、メンテナンスの要否などの特徴も考慮に入れ、ライフスタイルに適した種類を選ぶようにしよう。