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梅見の意味と由来は?梅見を使った俳句と和歌で知識を深めよう

梅見の意味と由来は?梅見を使った俳句と和歌で知識を深めよう

投稿者:ライター 吉田梨紗 (よしだりさ)

鉛筆アイコン 2021年2月15日

梅の花を鑑賞して楽しむことを「梅見(うめみ)」という。桜を見て遊ぶ花見と違ってなじみはない方も多いだろうが、実は古い歴史がある風習だ。この記事では、梅見に関する基礎知識を解説する。梅見以外の早春の季語や、梅見が使われている俳句や和歌についても紹介するので、知識を深めたい方は必見だ。

  

1. 「梅見」の意味と由来とは?

まずは日本人として知っておきたい梅見の基礎知識を紹介する。詳しい意味や由来、開花の時期など、役立つ知識を詳しく解説しよう。

梅見の意味と由来

梅見とは名前の通りに梅を見ることだ。同じ意味がある言葉として梅を鑑賞する「観梅(かんばい)」がある。現在だと花見は桜を楽しむという使い方が一般的だが、昔は花見といえば梅を鑑賞する梅見を指すものだった。梅はもともと中国の花であり、梅見の行事も中国から日本に伝来したとされている。奈良時代の貴族の間では、梅を鑑賞する梅見が主流だった。

梅から桜の花見へと変化

桜の花見が注目され始めたのは平安時代になってからとされる。中国文化の輸入を目的とした遣唐使が廃止されたことで、日本独自の文化が発展。嵯峨天皇が開催した「花宴の節」で桜の花見をした記録に残っている。平安時代までは貴族の楽しみだった桜の花見だが、鎌倉時代や安土桃山時代に町人や武士の間でも広まり、現在の花見の原型になったという。

梅見の時期は?

1月下旬~5月上旬までが梅の開花時期だ。日本は縦に長い形をしているので、開花時期も地域によって大きな差がある。さらに気象条件によっても左右されるので、梅見をしたいなら適した時期をチェックしておくことが重要だ。気象庁では都道府県別の梅の開花日が確認できるため、梅見を検討している方は参考にしてほしい(※1)。

2. 「梅見」以外の早春の季語は?

梅見は早春の季語に分類できる。梅見以外にどのような春の季語があるのか詳しく解説しよう。

早春(そうしゅん)

早春は春が始まった頃を指す季語だ。同じ意味を持つ言葉として「初春(はつはる)」「浅春(せんしゅん)」もある。2月いっぱいくらいが早春という考えが一般的だ。

春来る(はるきたる)

二十四節気の一である立春を表している。立春は太陽の黄経が315度になった時点のことで、毎年違いはあるがだいたい2月4日くらいだ。春の始まりや兆しを感じさせる季語とされる。

梅見月(うめみづき)

梅見月とは月の満ち欠けを基準にする「陰暦」2月の別名だ。時候のあいさつとして「梅花の候(ばいかのこう)」と使われるように、梅は2月を象徴する花とされている。「梅津月(うめつつき)」「梅月(うめつき)」という呼び方もあるので、ぜひ覚えてほしい。

梅東風(うめこち)

春に吹く東の風を梅東風という。東風は条件によっていろいろな名前に変化するため、同じ春に吹く東風として「桜東風」や「雲雀東風」もチェックしておこう。桜が咲く季節に吹く桜東風、立春が過ぎた頃に吹く雲雀東風など、咲いている花や時期によって名前が変化する。

薄氷(はくひょう)

薄氷とは薄く張った氷のことだ。「うすらび」や「うすらい」といった読み方もできる。早春は冷え込むことも多く、朝に水たまりなどが凍った様子を表している季語だ。

3. 「梅見」が使われている俳句4選

梅見や梅見に関係する季語が使われている俳句や和歌をまとめた。有名な歌を学ぶことで、当時の情景や先人の感情を知るきっかけになるだろう。

とふ人もなき古郷の梅見月風のなさけを袖にしるかな

室町時代の歌学書である「蔵玉集(ぞうぎょくしゅう)」にある和歌だ。蔵玉集では草木や鳥獣、月の異名などを詠んだ歌を収集して考証を加えている。

御秘蔵に墨を摺らせて梅見哉

江戸前期の俳人である「宝井其角(たからい きかく)」が詠んだ梅見の俳句だ。御秘蔵(ごひぞう)とは大切にかわいがって育てた人という意味がある。

大空のおとや知るらん梅津月いづくに聞くも風匂ふころ

陰暦二月の異名である梅津月を使用。室町前期に執筆された著者不明の歌学書「莫伝抄(ばくでんしょう)」に記載されている。

わが園に梅の花散るひさかたの天より雪の流れくるかも

梅見の風景を歌っており「集う園に梅の花が散り、天から雪が流れてくるようだ」という意味がある。古代の和歌集である「万葉集(まんようしゅう)」に収められた歌だ。

結論

梅見は奈良時代から始まった風習だ。現在では花見といえば桜だが、昔は梅を見て楽しんでいたとされる。控えめで美しい梅の花を鑑賞して、昔の花見に思いをはせてみよう。春の訪れを知らせてくれる梅の花を鑑賞しつつ、日本の歴史を感じてほしい。また、梅見と同じ春の季語である、梅見月や梅東風を確認すれば知識を深められる。先人が残した俳句や和歌を詠んでみて、当時の風景を思い浮かべてみるのも面白いだろう。

(参考文献)
※1出典:気象庁「うめの開花日 (2020年-2021年)」
https://www.data.jma.go.jp/sakura/data/phn_000.html
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  • 更新日:

    2021年2月15日

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