- 1. そもそも「漏電」とは何か?危険性も再確認
- 2. 漏電の発生を招くおそれがある7つの原因
- 3. 漏電が原因となって起こる症状は?疑うべきケースを知っておこう
- 4. 漏電しているかどうかの調査方法
- 5. 漏電およびそれによる感電のリスクを防ぐために
- 6. 漏電の原因と対処方法を知って電気を安全に使おう
- 「アンペアブレーカー」「漏電ブレーカー」「安全ブレーカー」をすべて下ろす
- アンペアブレーカーを上げる
- 漏電ブレーカーを上げる
- 安全ブレーカーをひとつずつ上げていく
- 漏電ブレーカーが急に落ちたところが漏電している部屋である
1. そもそも「漏電」とは何か?危険性も再確認
漏電とは文字通り「電気が漏れる」ことであるが、具体的にどういった状態を指すのだろうか?
漏電とはどんな状態のこと?
本来決められた回路を通る電気が、外部(通常流れることを想定していない場所)にも流れるようになった状態が漏電だ。たとえば電気配線などに施された絶縁加工が劣化などで剥がれたり、電線が切れたりすると漏電が発生する。あるいは防水性を備えていない家電などに水がかかると漏電することもある。
感電や火災といった大きな事故に発展する危険性がある
電気は目に見えない。そのため漏電していることに気づかずにヒトが家電などに触れれば感電し、大ケガひいては人命に関わる重大な事故へと発展するリスクがある。建物そのものに流れれば各所から火災が発生するといった危険性もはらんでいる。
2. 漏電の発生を招くおそれがある7つの原因
漏電は絶縁性の低下や水濡れなどによって発生するとお伝えしたが、その原因についてもう少し詳しく解説しよう。
漏電の原因1|電化製品や絶縁体そのものの劣化
自然に漏電する場合、多くは電化製品などに使われる絶縁体の劣化が原因と考えられる。購入から一定年数を経過した電化製品は、いつ漏電が起こってもおかしくない状態といえよう。メンテナンスをしながら長く使い続けることも大切だが、劣化したものは買い替えを検討しよう。
漏電の原因2|雨漏りや水濡れ
たとえば家屋が老朽化して雨漏りするといった場合、その雨水でケーブルやコンセントなどが濡れると漏電の原因となることがある。同じように、水回りが老朽化したことで水漏れすると、各家電が濡れるなどして漏電の原因となることがある。
漏電の原因3|タコ足配線
一般家庭のコンセントひとつに流せる電流は最大15A(1500W)である。コンセントが足りないからとタコ足配線を使っているご家庭も多いだろう。うっかり15Aを超える電流を使用してしまった場合、漏電の原因となるおそれがある。
漏電の原因4|トラッキング現象
プラグとコンセントの隙間に溜まったホコリが空気中の水分を吸収し、そこへ電気が流れることでトラッキング現象が発生する。これも漏電の原因となりうる症状だ。トラッキング現象で漏れる電気の量はごくわずかのため、漏電ブレーカーが作動せず火災に発展するリスクがある。
漏電の原因5|ケーブル類の破損・劣化
ケーブル類が劣化したりプラグが破損したりすると、そこから電気が漏れるおそれがある。古いケーブルやプラグを使用している場合はもちろんのこと、ケーブルがなにかの下敷きになってしまっていたり、プラグが窮屈な角度で差し込まれていたりする場合も注意が必要だ。
漏電の原因6|小動物や害獣などによる被害
ネズミにケーブルをかじられる、ペットがかじってしまったなどという場合も、それがきっかけとなって漏電が発生する場合がある。
漏電の原因7|塩害というケースもある
水に濡れると漏電するという原因は、水に含まれる不純物が関係している。すなわち「純水」であれば電気を通さないというわけだ。だが海水には多量の塩分や不純物が含まれるため、海の近くにお住まいの方などは海水、あるいは潮風などが漏電の原因となる場合がある。
3. 漏電が原因となって起こる症状は?疑うべきケースを知っておこう
お伝えしたように電気は目に見えないため、漏電が発生しているかどうか気づくのに遅れてしまうことがある。少しでも早く気づき対策を講じるためにも、漏電を疑ったほうがよいケースも覚えておこう。
電気使用量が大幅に増えた
心当たりがないのに電気料金が突然高くなったという場合は漏電が原因かもしれない。電気の使用量は各電力会社のアプリやマイページなどで月ごとに確認できるはずだ。前月などと比べて大幅に増えたときで、大量に電気を消費した心当たりもないときは、念のため調査を依頼しよう。
ブレーカーが頻繁に落ちるようになった
この原因も漏電かもしれない。一般的なご家庭の分電盤には漏電ブレーカーがあるため、ブレーカーが落ちたときにそこをチェックすると漏電が原因かどうか判断しやすい。
雨が降るたびに停電するようになった
屋根や壁が劣化しており、雨が染み込んで電気配線などを濡らしているおそれがある。電気を使いすぎているわけでもないのにブレーカーが落ちる、雨の日に限って停電が起こるといった場合は漏電が原因かもしれないので覚えておこう。
電化製品に触れるとかすかにピリピリする
この場合のピリピリは、すでに「感電」していると考えてよい。つまり漏電が発生している最中というわけだ。直ちに使用を中止するとともに電源プラグを抜き(またはブレーカーを落とし)、すぐに電力会社などに調査を依頼しよう。
4. 漏電しているかどうかの調査方法
漏電の原因がわからない場合、どのように調査をすればいいのだろう。漏電の原因となっている場所の特定方法を紹介しよう。
自分で調査する場合は「漏電ブレーカー」で漏電箇所を特定する
漏電しているかどうかを自分で調査する場合は分電盤を利用する。アンペアブレーカーと漏電ブレーカー、安全ブレーカーという3種類のブレーカーがあるので、まずはそれをすべて落とそう。次にアンペアブレーカーと漏電ブレーカーを上げ、安全ブレーカーをひとつずつ上げていく。その過程で漏電ブレーカーが下がるところがあれば、そこが漏電している部屋だ。
漏電している部屋がわかったら、そこだけ安全ブレーカーを下ろしたままにしてほかを戻そう。そうすればほかの部屋は電気が通常通り使える。同時に電力会社などに調査と修理を依頼しよう。
電力会社や電気工事店に調査を依頼する
契約している電力会社、あるいは近所に電気店や電気工事店などがあれば調査・点検を依頼し、必要に応じて修理や設備の入れ替え、家電の買い替えなどを検討しよう。
5. 漏電およびそれによる感電のリスクを防ぐために
漏電そのものを未然に防ぐことはやや難しいかもしれないが、少しでも早く検知するための方法、漏電が原因で起こる感電のリスクおよび実際に感電したときの被害を軽減させる方法などはぜひ知っておきたいところだ。
アース線を正しく接続する
アース線をコンセントのアース端子に接続しよう。それにより、万が一漏電した場合でも感電の被害を軽減できる。水回りで使用する家電などはとくに、アース線の接続を忘れないようにしよう。
漏電ブレーカーや漏電遮断器を取り付ける
新築や築浅の住宅はほぼ100%漏電ブレーカーが設置されている。だが古い住宅では設置されていないケースもある。一度分電盤を確認し、ないようであれば取り付けよう。またコンセントに漏電遮断器を差しておくといった方法もある。漏電を防ぐものではないが、いち早く検知できるためその後の被害を抑えることにはつながるはずだ。
ケーブル類は束ねて使用しない
内部で断線し、漏電につながるおそれがある。圧を加えたり束ねてねじったりせず、ストレスがかからない状態で使用しよう。
過度なタコ足配線をやめる
やむを得ず使用する場合は、同時に使用する家電の消費電力も確認し15A(1500W)を超えないように調整しよう。使用後はタコ足配線を抜いておくことも忘れないようにしたい。
コンセントやプラグまわりのホコリを取り除く
トラッキング現象を予防するため、コンセントやプラグまわりは定期的にお手入れをしよう。もちろん、お手入れの際に濡れた雑巾などで拭くのはNGだ。乾拭きまたは掃除機でホコリを吸い取るなどしよう。
濡れた手でプラグや電化製品に触れない
感電を防ぐためにも、絶対に濡れた手でプラグに触れたり、家電を操作したりしないように注意しよう。
雨漏りや劣化した水回りは修理する
雨漏りもしくは劣化した水回りからの水漏れなどが原因になっている場合、それらを修理することで根本的に解決しよう。
6. 漏電の原因と対処方法を知って電気を安全に使おう
漏電はさまざまな原因で発生する。繰り返しになるが目に見えないため、異変にいち早く気づくことが何よりも大切だ。電気を正しく恐れるため、安全に使用するためにも、ぜひ漏電とは何か?どんなことが原因で発生するのか?どうすればよいのか?などの知識を身につけておこう。
結論
漏電とは本来電気が流れるはずのない場所にも流れるようになった状態を指す。気づかずにいると感電や火災といった甚大な被害を招くおそれがあるため要注意だ。原因はさまざまあるため、少しの異変でも気付けるようになることが大切だ。