1. 油性ペンキのメリットと適した使い方とは?

同じペンキでも、水性ペンキはにおいが少なく、油性ペンキには独特なにおいがある。それは、それぞれ溶剤が異なるからだ。溶剤とは、ペンキの色のもとなど、塗料の成分を溶かして液状にする物質のことだ。水性ペンキは溶剤が水であり、乾燥するときは水が蒸発するためほとんどにおいがない。一方、油性ペンキにはシンナーなどの有機溶剤が使われている。油性ペンキが乾燥するとき、この有機溶剤が揮発することで、強いにおいが出るのだ。
油性ペンキのメリット
油性ペンキには耐久性の高さと、仕上がりの美しさ、乾燥時間が気温に左右されないといったメリットがある。ただし、近年では水性ペンキも進化しており、油性ペンキに劣らない耐久性を持つ製品も増えてきた。そのため、油性ペンキの方が圧倒的に耐久性が高いとは言いきれないが、乾燥は気温に左右されず、密着性が高いことから塗装する素材を選ばないという特徴もある。雨風にさらされる屋外や、室内であっても高い耐久性が必要な部分には、油性ペンキが適しているだろう。仕上がりは、製品ごとにさまざまな条件で左右されるが、油性ペンキは一度塗りでもしっかりとした発色で美しく仕上がることが多い。
油性ペンキのデメリット
油性ペンキのデメリットは、やはり有機溶剤として使われているシンナーのにおい。健康や環境に害のある、揮発性有機化合物(VOC=シックハウス症候群などの原因物質)を排出するため、リフォームなどの際は近隣への配慮も必要になる。また、室内で使用する際は、気分が悪くなる可能性もあるため、必ず換気をしながら作業しなければならない。さらに、皮膚についたり、目に入ったりしないよう注意する必要がある。最近は、弱溶剤と呼ばれる弱いシンナーを使用した油性ペンキもあり、においや健康、環境への影響が少ない製品も増えてきた。そういった油性ペンキを選ぶのも、一つの方法といえる。また、油性ペンキは水性ペンキとは異なり引火性が高い性質を持つため、保管にも注意しよう。
2. 油性ペンキを選ぶ際のチェックポイント

油性ペンキを選ぶ際のチェックポイントは、必要な機能を備えているかどうか。塗装する物の材質や使用する環境、色、質感などの仕上がりのイメージによって、必要となる機能が異なるからだ。たとえば、屋外用の油性ペンキは、厳しい環境に耐えられるよう、雨風や日差しにも強い製品が多い。また、木材用であれば、防虫、防腐効果のある製品が販売されている。何に塗るのか、どこで使用する物なのかをよく考え、必要な機能を備えているかどうかをチェックして選ぼう。ウッドデッキや木柵など、雨に濡れる木材には、保護性能の高いものが適している。浸透タイプの油性ペンキなら、はっ水、防腐、防カビ、防虫などの機能を備えたものがよいだろう。
さらに、油性ペンキの色もチェックしよう。色といっても、塗りつぶしに適したタイプから、材質の木目を活かせる透明タイプ、艶の有無など、多種多様な油性ペンキがある。塗りたいものをどう仕上げたいかを考えて選んでみよう。
さらに、油性ペンキの色もチェックしよう。色といっても、塗りつぶしに適したタイプから、材質の木目を活かせる透明タイプ、艶の有無など、多種多様な油性ペンキがある。塗りたいものをどう仕上げたいかを考えて選んでみよう。
3. 油性ペンキの塗装で用意する物と基本手順

油性ペンキに必要な道具を用意し、塗る前の準備をしてから塗っていくのが基本的な手順となる。油性ペンキの塗装で用意する物と、準備や塗り方のポイントを見ていこう。
ペンキ
ペンキは、特徴や選ぶ際のチェックポイントで確認したように、必要な機能を備えた油性ペンキを選ぶ。
ハケ・ローラー
ハケとローラーは、塗りたい部分によって使い分けるとよい。細かい部分にはハケを使用し、大きな面積を一気に塗るときはローラーが便利だ。
バケット
バケットとは、使用分のペンキを入れておく容器のこと。缶から直接使用できるように思うかもしれないが、ローラーが入らない、持ち運びしにくいといった問題もあるため、用意しておこう。バケツやトレイなどでもよい。
ペイントうすめ液
油性ペンキによっては粘度が高く、そのままではキレイに濡れないこともある。その場合は、ペイントうすめ液を適量入れて使用するとよい。また、ペイントうすめ液は、油性ペンキを塗ったハケやローラーの洗浄にも必要となる。
マスキングテープ
マスキングテープというと、オシャレな文房具のイメージが強いかもしれないが、もとは塗装の際に、塗装部分以外が汚れないよう保護するための養生テープである。油性ペンキを塗る際は、塗装部分との境目をマスキングテープで養生しておくと、端までキレイに塗ることができるだろう。
ヤスリ・サンドペーパー
木材に塗装する場合、塗装前に木材にヤスリをかけるとキレイに仕上がる。必要に応じて、ヤスリやサンドペーパーを用意しよう。
塗装剥離剤
すでに塗装されているものを塗り替えるときや、塗りなおしをするときには、塗装剥離剤を用意するとよい。前のペンキが残った状態で上から油性ペンキを塗ってしまうと、色ムラになる場合や、キレイに仕上がらない可能性がある。剥離剤、またはヤスリでもよいが、古い塗装は剥がしておこう。
塗装前の準備
新品のハケは、抜け毛、ホコリを取り除くために毛先をもみ洗いしておく。新聞や養生シートを使って作業スペースを保護しておき、塗装部の端までキレイに塗るために、境目はマスキングテープで養生しておこう。油性ペンキは、成分が沈殿している場合もあるため、開ける前によく振って撹拌してから、バケットやトレイなどに使用分だけ移すようにする。粘度が高く、うすめる必要がある油性ペンキであれば、ペイントうすめ液を適量入れて、伸ばしておこう。
塗り方のポイント
壁の端や家具の角など、細かい部分はハケを使用し、大きな面積はローラーで塗っていこう。どちらもムラや塗り残しができないよう、決まった方向で塗っていくのが重要だ。十分に乾燥させた後、2度塗りをする。その後、しっかりと乾燥させれば完了となるが、マスキングテープなどで養生している場合は、半乾きのときに剥がしておくとよい。乾き切ってしまうと剥がしにくくなり、塗料ごと剥がれるなどの問題が起こる可能性があるためだ。塗り終わったら、ローラーやハケはペイントうすめ液で洗浄し、陰干しして乾かす。トレイに出したペンキは使い切り、残ったペンキはしっかりと密閉して保管しよう。
4. 手や服についてしまった油性ペンキの落とし方

塗装していると、油性ペンキが手や服についてしまうことが考えられる。落とし方を知っておくと安心だ。
服についた油性ペンキの落とし方
油性ペンキは、乾かないうちに落とすのが望ましい。ついてすぐであれば、台所用の中性洗剤で落とせる。ほかにも、メイク落としに使うクレンジングオイルでもよい。スポンジや古い歯ブラシなどに洗剤、またはクレンジングオイルを染み込ませ、叩くようにしてペンキを取っていこう。こすると繊維を傷めてしまうため、叩くように落とすのがポイントだ。
少し乾いてきた半乾き状態でれば、マニキュアの除光液やベンジンを用意しよう。ペンキのついた服の下にタオルなどを敷いて、裏側から除光液を染み込ませた綿棒で、油性ペンキのついた部分を軽く叩く。油性ペンキが溶けてきたら、古い歯ブラシなどでさらに叩いて落としていこう。落ちにくい場合や、油性ペンキが乾いてしまったときは、ペイントうすめ液が効果的だ。
少し乾いてきた半乾き状態でれば、マニキュアの除光液やベンジンを用意しよう。ペンキのついた服の下にタオルなどを敷いて、裏側から除光液を染み込ませた綿棒で、油性ペンキのついた部分を軽く叩く。油性ペンキが溶けてきたら、古い歯ブラシなどでさらに叩いて落としていこう。落ちにくい場合や、油性ペンキが乾いてしまったときは、ペイントうすめ液が効果的だ。
手についた油性ペンキの落とし方
手についたペンキには、ペイントうすめ液が使える。ただしペンキを落とした後は、石鹸と水で丁寧に洗い流すのが大切だ。ほかにも、木工用ボンドを使う方法もある。手についたペンキの上に木工用ボンドを薄く塗って乾かす。ドライヤーを使うと早く乾くだろう。ボンドが完全に乾いてからゆっくりと剥がしてくと、ペンキごと剥がれていくはずだ。この方法は、机などにペンキがついてしまった場合にも使えるだろう。ただし、肌が弱い方は注意が必要となる。二の腕の内側など、皮膚の薄い部分でパッチテストを行ってからが望ましい。
結論
油性ペンキとひとくちにいっても、屋外専用のものや、防虫、防腐効果のある木材用など、種類はさまざまである。そのため、油性ペンキを選ぶ際は、必要な機能が備わっている製品を選ぶことが重要だ。また、必要な道具を用意し、しっかりと準備をしてから塗り始めるのが望ましい。手や服についた際も、早く対処することで、油性ペンキでも落としやすくなる。油性ペンキの特徴をしっかりと理解し、安全に使用していこう。