1. 漏電が火災につながる理由

漏電は、電気が漏れて外部に流出することだ。なぜ電気が漏れることで火災が起こってしまうのだろう。
漏電で火災が発生する原因とは
漏電すると放電によるスパークが飛び散る。スパークとは火花が出ることだが、この火花が燃えやすいものに引火してしまうと火災が起きる。また「抵抗加熱」という発熱によって、火事が起こることもある。通常では、抵抗値が大きく電気が流れない絶縁部分に、何らかの傷や電気を通しやすい物質が付着することで、抵抗値が低下してしまう。すると、まるで電熱器のように発熱し、火災の原因になる。
さらにトラッキング現象といって、コンセントとプラグの隙間にホコリがたまり、そこに湿度が加わることで、漏電。発熱してホコリに引火し、火事を引き起こすことも珍しくない。
さらにトラッキング現象といって、コンセントとプラグの隙間にホコリがたまり、そこに湿度が加わることで、漏電。発熱してホコリに引火し、火事を引き起こすことも珍しくない。
2. 漏電による火災事例

では、漏電による火災にはどのようなケースがあるのだろう。具体的に見ていこう。
エアコン
エアコンは、空気中の水分を屋外に排出することで部屋の湿度を取り、快適な状態にしてくれる。しかし正常に排出されない場合、水滴が絶縁シートの間に侵入。絶縁不良を起こすというケースだ。漏電によりショートし、配線を覆っていたカバーに火がついて火災となる。
ハロゲンヒーター
電気を使う暖房器具の中でも一般的なハロゲンヒーター。経年劣化などで温度調節するための配線部分に漏電を起こし、配線周りの合成樹脂に着火し火災となる事例がある。
ドラム式洗濯機
ドラム式洗濯機の「温度制御装置」と「電源配線」の接続部分が十分でなかったため、許容以上の大きな電流が流れてしまい漏電。原因はメーカーの製造時の接続不良の場合や経年劣化の場合も考えられる。
充電器
パソコンを充電していたら、突然充電器から発火。充電器のコードカバーがはがれていたことや、直前に充電器を水で濡らしてしまったことが漏電の原因と思われる。その結果、充電器がショートして近くの燃えやすいものに着火して火災となった。携帯の充電器でもありそうな事例だ。
3. 漏電による火災を防ぐ方法

漏電による火災は発見が遅れることが多く、初期消火ができずに大火災になってしまう傾向がある。そのため、日頃から漏電対策を怠らないことが大切だ。
家電をアースにつなぐのを忘れない
アース線は、地面に打ち込まれている金属の棒を通して地球に電気を流し、漏電による火災を防ぐ役割をする。とくに水回りで使う洗濯機や冷蔵庫、ウォシュレットなどには絶対に必要だ。
電気コードの扱いには注意する
電気コードを束ねたり、曲げたり、折ったりした状態で使わないことだ。無理に折ったりすると、コードの絶縁体が傷ついてしまう危険性がある。接触不良やショートを起こして、火災の原因になる。
定期的にコンセントや配線カバーをチェックする
トラッキング現象が起こらないように、コンセントが緩んでいないか、ホコリはたまっていないか、配線カバーが壊れていないかなどをチェックしよう。
4. 漏電による火災に保険は適用される?

漏電に対する備えをしておいても、予期しないところで発生し、残念ながら火災が起きてしまうこともある。火災保険に加入している場合には、漏電が原因の火災も保険が適用される。ただし、注意点もある。
漏電で火災は起こらなかったけれど、家電は故障したという場合
火災保険の「電気的・機械的事故担保特約」を契約している場合には、家電の故障も補償されることが多い。ただし、建物に固定されている家電、たとえばエアコンやエコキュートなどの場合に限られる。扇風機や電気ストーブなどは家財とみなされて、補償対象外となるので注意しよう。
経年劣化での漏電火災とみなされた場合
火災保険の「電気的・機械的事故担保特約」では、経年劣化による漏電火災で被害が出た場合には、補償対象外となる。購入してから年数がたっており、漏電した電化製品の管理やメンテナンスに問題があった場合などでは、損害を補償してもらえないことがほとんどだ。
結論
漏電が原因で火災が起こることは、それほど珍しいことではない。目に見えない電気だからこそ、普段からのメンテナンスが重要となる。身近な電化製品や配線を定期的にチェックしよう。また、不幸にも漏電によって火災が発生してしまった場合にも、火災保険の特約に加入していれば、損害をカバーしてもらえることがあるので加入の検討をおすすめする。