目次
1. 多肉植物とは

多肉植物とは、どのような植物のことなのだろう。多くの人が虜になる魅力はどこにあるのだろう。
多肉植物とは
多肉植物の多くは、アフリカを中心に世界のさまざまな場所に生息する。日本にも自生する。その特徴は、乾燥地帯でも繁殖できるように、葉や根に水分を蓄えることができること。個性豊かな外観を持ち、1万を超える品種があるといわれている。
多肉植物の魅力
多肉植物の魅力はいろいろあるが、なかでも「見た目がかわいい」「育てやすい」「季節の変化を楽しめる」といった点があげられるだろう。多肉植物は、葉に水分を蓄えるため、一般的な植物よりもぷっくりとしてかわいい。また、乾燥に強い性質なので、水やりの回数が少なくて済む。家を数日留守にしても安心だ。さらに、季節によって花を咲かせたり、紅葉したりする種類もある。
2. 多肉植物は種類が豊富!初心者にも育てやすいのは?

多肉植物は種類が多くて、どれを選んだらいいのか迷うことも多いだろう。初心者にも育てやすい人気の多肉植物を紹介しよう。
セダム
セダムは、最もポピュラーな多肉植物だ。500種類以上の品種があり、日本でも自生している。繁殖力が旺盛で、種類によっては屋外で越冬することも可能なので多肉植物の中でも比較的育てやすい。
エベケリア
春秋型種の多肉植物。真上から見るとロゼッタ型で、まるでバラの花が咲
カランコエ
夏型の多肉植物。フワフワとした毛で覆われているものや紅葉する種類もある。花の形も一重、八重、釣鐘型などさまざまで、目を楽しませてくれる。
ハオルチア
葉が柔らかいタイプと硬いタイプに分かれる。自然では岩陰などに生息しており、直射日光が苦手。室内で育てやすい多肉植物だ。多肉植物ブームの火付け役ともいわれている。
アロエ
身近なアロエも多肉植物だ。鑑賞用としてだけでなく、抗菌・鎮痛作用があるため、昔から常備薬代わりに育てているという家庭も多い。
センペルビウム
春秋型種の多肉植物。名前の由来はラテン語の「常に生きています」。その名が示す通り、非常に生命力が強く耐寒性にも優れているため、育てやすい多肉植物だ。
サボテン
おなじみのサボテンも実は多肉植物。乾燥に強く、太陽が大好きだ。日光不足になると、変色したり、トゲが落ちたりするので要注意だ。上手に育てると花も楽しめる。
3. 多肉植物が元気に育つための環境作りと水やりのコツ

多肉植物が元気に育つためには、環境と水やりが重要だ。
土は水はけがよいものを選ぶのが基本
多肉植物は、水はけのよい土を好む。園芸用の土に赤玉土、鹿沼土などの水はけのよい土を加えよう。
ほどよい風通しと日当たりが大切
日当たりと風通しも多肉植物を元気に育てるために必要な要素だ。室内で育てる場合は、窓辺に置き、たっぷりの日光と風を通して蒸れにくい環境を整えてやろう。
水やりは「与えすぎ」に注意
もともと乾燥を好む多肉植物では、水のやりすぎは根腐れの原因になってしまう。生長期に水を与えること、休眠期には断水することなどの注意が必要だ。水やりは、鉢の中の土が乾燥しているかどうかをチェックしてからにしよう。
4. 多肉植物の上手な育て方とポイント

せっかくお気に入りの多肉植物を手に入れたのだから、長く楽しみたいものだ。多肉植物は種類によって生長期が異なるため、まずは購入した多肉植物の生長期がいつなのかを知ることが大切だ。
春秋に生長期を迎える多肉植物の育て方
春と秋の生長期には土が乾いたら、たっぷりと水を与える。高温多湿が苦手なので、夏は根腐れを防ぐためにほぼ断水する。冬も耐寒性を高めるために断水して育てよう。
夏に生長期を迎える多肉植物の育て方
冬の寒さに弱いため、室内や温室で育てるようにしよう。春・秋の水やりは土が乾いてから。夏の生長期には、夕方以降の涼しくなったころに水やりするといいだろう。冬は休眠期なので月に1、2回程度に抑えておく。
冬に生長期を迎える多肉植物の育て方
低温を好む多肉植物だ。とはいえ、霜に当たってしまうと弱ってしまう種類も多いので、注意が必要だ。水やりは、冬の晴れた日の午前中に行うようにしよう。
5. 多肉植物の植え替えにもチャレンジしよう

多肉植物は一般的な植物よりも生長がゆっくりだ。それでも大きくなれば植え替えの必要がある。
植え替えが必要な理由
多肉植物も何年も同じ土で育てていると、土も硬くなってしまう。また、葉が生長するにしたがって根も伸びるため、鉢が小さくなって根詰まりをおこしてしまう。
植え替えに使う道具
多肉植物の植え替えに必要な道具は、ひと回り大きな鉢、水はけのよい土、スコップ、鉢底ネット、鉢底石、ハサミ。割りばしやピンセットがあれば、細かい作業がやりやすくなる。
植え替えのタイミング
植え替えの目安は1~2年に1度。タイミングとしては、生長期の少し前の時期に植え替えをするといいだろう。
植え替えのやり方
- 新しい鉢に鉢底ネットと鉢底石を敷き、スコップで土を1/4ほど入れる
- 古い鉢から苗を抜いて、根をほぐす
- 干からびた古い根はハサミでカットする
- 新しい鉢に入れて土をかけ、整えてやれば完成
6. 多肉植物の増やし方は大きく3パターン

多肉植物の増やし方は「葉挿し」「挿し木」「株分け」の3種類。種類によって増やし方が異なる。
葉挿し
土に多肉植物の葉の根元が軽く埋まるくらいに置く。細かな土の方が挿しやすい。すぐに水をやるのではなく、根が出るまで我慢。発根したら水を与える。
挿し木
多肉植物の枝に葉が付いている場合は、落としてから挿し木にする。3~4日切り口を乾燥させてから土に挿す。すぐには水やりをせず、1週間~10日くらいしてからたっぷりと水を与える。
株分け
株分けをする1~2週間は断水し、土が乾いた状態で株分けをする。あまり小さく株分けしないことがコツだ。
7. 多肉植物をもっと楽しもう!寄せ植えと飾り方のアイデア

多肉植物は寄せ植えにすると、表情が豊かになり、季節ごとの楽しみも増える。飾り方のアイデアも紹介しよう。
多肉植物を寄せ植えで楽しむためのアイデア
多肉植物は、寄せ植えに適した植物だ。寄せ植えをするときには、さまざまな種類を植えて楽しみたい。ひとつ注意するポイントは、生長期が同じ種類を寄せ植えすることだ。生長期と休眠期が同じものだと、水やりなどの管理がしやすくなる。
多肉植物をオシャレに飾るためのアイデア
箱庭風の寄せ植えも楽しいが、多肉植物は頻繁な水やりが必要ないため、食卓にさりげなく飾ることも簡単だ。たとえば、ココット皿やカップに入れて飾るとかわいらしい。また、夏場にはガラス容器に飾れば涼しげな演出もできる。
8. 多肉植物にとって注意すべき害虫と病気

多肉植物は比較的丈夫な種類が多いが、害虫や病気には注意が必要だ。
ハダニ
高い気温と乾燥を好むダニ。多肉植物の葉の栄養を吸収し、弱らせる。吸汁された場所は、色が抜けたように見える。水で洗い流すか、水やりのときに薬剤を希釈して対処する。
カイガラムシ
多肉植物の中では、サボテンによく寄生する虫だ。カイガラムシは、すす病菌などの他の病気の原因にもなる。ピンセットや歯ブラシなどでこそげ落して対処する。
アブラムシ
春から秋にかけて発生する。とくに3~5月は要注意だ。ウイルス病も媒介する。あっという間に増えるので、見つけたら流水で洗い落とすか、ガムテープなどで駆除する。
ナメクジ
夜活動する害虫だ。多肉植物を食い荒らして弱らせてしまう。白く光る這った跡を見つけたら、どこかに潜んでいると考えて間違いない。
アカダニ
大きさは0.5mm程度で体の色は赤。サボテンの虫被害の多くがアカダニだ。流水で洗い流すか専用の薬剤を使って駆除する。
ネジラミ
乾燥した根に付きやすい害虫だ。白い綿のようなもので覆われており、多肉植物の養分を吸い取って枯らす。こちらも流水で洗い流すか専用の薬剤を使って駆除する。
根腐れ
あまり水やりを必要としないのが多肉植物の特徴だ。水をやり過ぎたり、水はけの悪い土や鉢を使ったりすると根っこが腐ってしまう。また、休眠期に入ってからも水をやると根腐れを起こす。生長期と休眠期を見極めて、水やりをすることが予防策だ。
うどんこ病
葉の表面がまるで粉を吹いたようになる病気。この白い粉のようなものは、実はカビだ。発生しやすいのは、晴れと雨が交互に繰り返す初夏と秋。うどん粉病を発症したら、専用の薬剤を散布して対処しよう。
9. 多肉植物は初心者でも育てやすい!ぜひチャレンジしてみよう

多肉植物は見た目もかわいく、水やりなどの世話も面倒ではないので、育てやすい植物だ。出張などでときどき家を留守にするという方が気軽に育てることができるのも多肉植物ならではといえる。多肉植物は生長がゆっくりで、スペースもとらないので、ひとり暮らしの方もぜひチャレンジしてみてはいかがだろう。
結論
多肉植物は、丈夫で室内でも育てやすい。植え替えや増やし方も簡単だ。ただ、根腐れなどのトラブルが生じることもあるので、上手に育てるためには、購入した多肉植物の生長期がいつなのかを知ることが大切だ。病気や害虫の被害もあるため、対処法を覚えておこう。アレンジがしやすい多肉植物で部屋を飾れば、ちょっとした癒やし効果も期待できるだろう。