1. 環境にやさしい植物由来の生地「ヘンプ」とは?
こちらでは、ヘンプ生地について解説しよう。
ヘンプとは
ヘンプとは「大麻」のことであり、日本では古くから、神社での神事やしめ縄として使用されている。第二次世界大戦以降は、大麻取締法の施行に伴い、日本では栽培に許可が必要となった。そのため、国内での生産量が減少しており、他国から輸入されたものが生地に用いられている場合も多い。麻は、本来肌触りが硬いものであるが、技術の向上に伴い、肌触りのよいヘンプ生地が生産できるようになった。
麻生地の種類
麻を用いた生地には大麻(たいま)を用いたヘンプのほかにもある。衣類に採用されるものは、主に亜麻(あま)を用いたものをリネン、苧麻(ちょま)を用いたものをラミーとよぶ。現在では、そのほかにもウールとリネンを合わせたリネンウールなどさまざまな種類の麻を用いた生地が展開されている。
環境保全性が高い
ヘンプ生地の原料は、成長が早く100日から120 日でおよそ3mから4mほどに成長するのが大きな特徴だ。さらにヘンプは害虫に強く、降水量が少なくても雑草よりも早く成長するため、農薬や化学肥料を使用する必要がないため環境保全性が非常に高い。また、冷帯から熱帯まで幅広い気候で栽培することができ、土地の状態による影響も受けないことから、世界中で栽培されている。収穫後は土壌が柔らかくなることが知られており、日本ではやせた土地の改良のためにも栽培されていた歴史がある。
2. 衣類生地としてのペンプのメリットとデメリット
こちらでは、衣類生地としてのヘンプの特徴とメリット、デメリットについて解説しよう。
ヘンプの特徴
ヘンプの生地は、綿よりも伸度は劣るが、耐水性や吸湿性に優れており、自然な光沢があるのが特徴だ。また、栽培には化学肥料や農薬を必要としないため、環境に優しいエコ素材ともいわれている。欠点としては、熱いお湯で縮んだり、長時間の直射日光で変色したり、摩擦に弱いため何度も洗濯したり使用しているとチクチクした肌触りになる点だ。
通年使用できる
ヘンプ生地は熱伝導率が低く、外部の熱を通さないため、ヘンプ生地を使用した衣類は冬は暖かく、夏には涼しく過ごすことができる。
抗菌性・制菌性がある
ヘンプ生地は、抗菌性基準が基準値を上回るため、菌の増殖を抑制することが明らかとなっている。また、天然の制菌性が備わっていることも知られている。そのため、ヘンプ生地が採用された衣類は、衛生的に使用でき、臭いも抑えることができる。
紫外線をカットできる
ヘンプ生地は、紫外線防止指数50であり、紫外線を効果的にカットできる素材である。同じ麻であってもリネンは紫外線防止指数が低い。
耐久性が高い
ヘンプ生地は、耐久性に優れており、湿気を加えると更に耐久性が増すことが知られている。綿は一般的に100年ほどが寿命といわれているが、ヘンプの場合は紀元前3500年から3200年に作られたものでも原型を確認できるほどだ。
3. ヘンプ生地の衣類のケアと洗濯をする際の注意点
こちらでは、ヘンプ生地の衣類のケアと洗濯する際の注意点について解説しよう。
洗濯の可否を確認
スーツなど仕立てられたものや、ヘンプとほかの繊維が混合されたもの以外は、自宅でも洗濯することができる。洗濯表示にてドライクリーニングが指定されているときには、クリーニングを依頼する必要があるため、洗濯前には必ず表示を確認いただきたい。
洗濯方法
ヘンプは繊維が大きいため、色落ちしやすい特徴がある。そのため、衣類を購入してから2回、3回目の洗濯まではほかの衣類への色移りを防ぐためにもヘンプの衣類のみを単独で洗うことをおすすめしたい。
ヘンプ生地は洗濯機による洗濯もできるが、摩擦に弱い特徴もあるため、衣類を長く愛用したい場合は手洗いがおすすめだ。洗濯機を使用する場合では、洗濯ネットを使用して衣類を裏返し、ドライモードや手洗いモードなどで優しく洗うことが大切になる。
ヘンプ生地は洗濯機による洗濯もできるが、摩擦に弱い特徴もあるため、衣類を長く愛用したい場合は手洗いがおすすめだ。洗濯機を使用する場合では、洗濯ネットを使用して衣類を裏返し、ドライモードや手洗いモードなどで優しく洗うことが大切になる。
- 衣類を裏返して洗濯ネットに入れる
- ヘンプ生地は高温のお湯で縮むため、30℃以下の水かぬるま湯を使用する
- 汚れが目立つ場合は、漂白剤や蛍光剤を含まない中性洗剤を使用する
- 十分にすすぎ洗いをする
- 衣類にしわがよることを防ぐために脱水は弱めに1分から2分程度を目安にする
- ヘンプ生地は、長時間直射日光に当たると色があせてしまうため、日陰で風通しのよい場所に干す
アイロンがけ方法
しわをキレイにとりたい場合は、半乾きのときや霧吹きを使用してアイロンをかけると美しく仕上げられる。
- 変色や光沢をふせぐために当て布を使用する
- 麻対応の温度設定を使用するか、高温でアイロンがけする
結論
今回は、ヘンプ生地について種類や特徴、衣類生地としてのメリットやデメリット、ヘンプ生地の衣類のケアと洗濯する際の注意点について解説した。ぜひこちらの内容を参考に快適に過ごすことのできるヘンプ生地の衣類を選び、ケアも適切に実践して長く愛用いただきたい。