1. 天然由来の繊維「リヨセル」とはどんな生地?

こちらでは、天然由来の繊維「リヨセル」を詳しく解説しよう。
繊維の作り方
リヨセルの原料はユーカリ(木材)である。この原料を特殊な溶剤を用いて溶かす溶剤紡糸法で作られた再生繊維である。また、繊維を作るときに使用される溶剤は回収して再利用することで、廃液が環境中に放出されることがないため、地球環境にも優しい繊維といわれている。
特徴
それぞれの繊維の断面が円形のため、強度が高く、水分を含んだ状態でも収縮の変化や強度の低下が少ないのが特徴だ。やわらかな風合いと適度な光沢感があり、繊維がやわらかくドレープ性があり、吸湿性も富んでいる。また、ハリやコシ、弾力性(反発性)に優れている点も特徴といえる。欠点としては、摩擦により白化や毛羽立ちを生じやすく、水分を含むと風合いが固くなる場合もある点だ。
名前の由来
リヨセルのほかにテンセルという繊維もあるが、実は同じものである。以前は、リヨセルとはオーストリアのレンチング社が、テンセルは英国のコートルズ社がそれぞれ商標として使用していた。2004年にこの両社が合併し、ブランド名を「テンセル」として繊維の総称をリヨセルと呼ぶようになった経緯がある。
2. 再生セルロース繊維リヨセルとレーヨンの違い

リヨセルの衣類生地としてのメリット・デメリットとレーヨンとの相違などを解説しよう。
メリット
リヨセルの生地には、シルクのような光沢があり、美しく、肌触りもやわらかいため、シャツ、スカート、ドレス、ワンピース、ストールなどにも採用されている。吸湿性が高いため、発汗の多い季節の衣類に多く用いられ、汗をかいてもさらりとした着心地である。また、静電気が起きにくいのもメリットの1つである。
デメリット
リヨセルは、摩擦に弱いのが大きなデメリットである。摩擦により生地が白みを帯びたり、毛羽たちを生じてしまう。とくに水分を含んだ状態では摩擦に弱くなっている。洗濯時や雨や汗で衣類がぬれたときの取り扱いにはとくに注意が必要だ。摩擦を生じさせずに、熱風も用いない方法で乾燥させることが大切だ。
レーヨンとの違い
リヨセルとレーヨンの原料は同じ木材であるが、製造工程の違いからリヨセルは精製セルロース繊維、レーヨンは再生セルロース繊維と呼ばれる。リヨセルは、製造工程に用いる薬剤も完全に再利用可能であるが、レーヨンの場合は取扱いに注意を要する薬剤を使用して破棄しなければならないため、環境負荷が高い。
リヨセルとレーヨンはともに肌触りが、シルクのようにやわらかく、優れたドレープ性がある。しかし、性質ではリヨセルは水分を含んでも縮むことはないが、レーヨンは洗濯すると縮む可能性があるのが大きな違いである。
リヨセルとレーヨンはともに肌触りが、シルクのようにやわらかく、優れたドレープ性がある。しかし、性質ではリヨセルは水分を含んでも縮むことはないが、レーヨンは洗濯すると縮む可能性があるのが大きな違いである。
3. リヨセル素材の衣類のケアと洗濯方法の注意点

こちらでは、リヨセル素材の衣類のケアと洗濯方法の注意点をご紹介しよう。
洗濯方法
リヨセルは、摩擦に弱い繊維であるため、本来もつの生地の風合いが失われることを防ぐために洗濯時間を短くすることが大切なポイントになる。また、可能な限り手洗いをすると大切な衣類を長く愛用できるだろう。こちらでは手洗い方法の1例を解説しよう。
- シミの有無を確認し、ある場合は優しく押し洗いで汚れを部分洗いする
- 衣類を裏返してキレイにたたんでから洗う
- 30度以下のぬるま湯にオシャレ着用の洗剤を適量溶かす
- できる限り生地同士で摩擦を生じないように注意しながら、手のひらで優しく押すように洗う
- 押し洗いで2回から3回すすぎ洗いをする
- 柔軟剤を使用してから脱水する
- 脱水方法は乾いた清潔なタオルに衣類をはさみ、手のひらで押すように水分をとる
- 洗濯機で脱水する場合は、洗濯ネットに入れて30秒ほどの短時間で済ませる
- 風通しのよい日陰の場所に干す
※摩擦を生じる乾燥機の使用は、リヨセルの生地を傷める原因になるため避けるべきである
アイロンがけの方法
熱に弱い素材であるため、アイロンをかけるときには140度ほどの中温でスチームを使用してかけるとキレイに仕上げられる。アイロンをかけるときには、リヨセルの傷みを防ぐために必ず当て布を使用することが大切だ。
結論
今回は、リヨセルについてその特徴やレーヨンとの違い、ケアや洗濯方法の注意点を解説した。リヨセルはいろいろな衣類に採用されている。こちらの内容を参考にリヨセルの特徴や適切なケア方法を理解し、大切な衣類を快適に長く愛用いただきたい。